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本木雅弘の起用は是枝裕和の助言から、西川美和「永い言い訳」の配役に自信見せる

映画ナタリー 9月4日(日)17時27分配信

本日9月4日、トークイベント「Meet the Filmmaker」が東京・アップル銀座にて行われ、監督作「永い言い訳」の封切りを控える西川美和が登壇した。

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直木賞候補となった書き下ろし小説を西川美和自ら映画化した本作は、妻の事故死を悲しめずにいる人気作家が、同じ事故で肉親を失った遺族との交流を通して変化していくさまを追ったヒューマンドラマ。作家の衣笠幸夫を本木雅弘が、その妻を深津絵里が演じ、妻とともに亡くなった親友の夫に竹原ピストルが扮している。

トークイベントには「夢売るふたり」に引き続き西川美和の監督作をプロデュースした西川朝子、西川美和が所属する制作会社・分福のプロデューサー、北原栄治も出席。本作の脚本執筆ではいつもと逆のプロセスを踏んだという西川美和は「映画では、予算や尺などの関係から描けないことがある。でも今回は(小説で)自由に書いてから、プロットに落とし込んでいった」と振り返る。

キャスティングに関して西川美和は「当て書きかと人に言われるぐらい、自分でも成功していると思う」と明言。主演の本木について「是枝(裕和)監督に小説を読んでもらったんですが、そのときに『本木さん、幸夫にそっくりだよ』とおっしゃってくれて。言い訳がましい、タイトル通りの役なんですけど」と笑い、「私はデビュー作のときからいつか本木さんと一緒にやりたいと考えていて、是枝監督も『不思議と憎めない、チャーミングな人』と言っていたので、オファーをかけてみました」と述懐する。その後、西川美和は「初対面のとき、本木さんは『西川さん、私とやりたいと思ってないでしょ?』という話を3時間弱ぐらいしゃべられて、もうこの人しかいないと思った」というエピソードを明かし、笑顔を見せた。

プロットよりも先に小説を受け取ったという西川朝子は「純文学的な内容を映画化するうえで、『子供を撮りたい』『時間をかける』という監督の希望を交えながら、いかに商業作品として成立させるかということをいろいろと考えた」とコメント。北原が、実作業を中心に携わったことに触れ「春夏冬は少なくとも撮りたいという希望があった。撮影に時間をかけられたことは贅沢だった」と述べると、西川朝子も「撮影は少人数体制になってしまったが、それによって親密な映像が撮れたし、結果的に素晴らしい内容になった」と同意する。

「子供とやるのは初めてだった」という西川美和は、「うまい子役ではなく、子供らしい子とやりたかった。だから演技経験のない子たちに集まってもらった」と子役の配役について言及。続けて「子供の演出にはやっぱり苦労しました。これまでは大人たちと短期間で、即断即決で無駄がない撮影をやってきた。でも今回は整然と進めていくのではなく、いろんな無駄などを抱えながら探っていくという方法を取ってみた」と語り、「自分のリーダーシップが揺らいでも、人の意見を取り入れて結果をよくするという貪欲さを学習できた」と総括した。

最後の挨拶で西川美和は「時間をかけて、練りに練った作品。作り手なのでできた瞬間からいろんな後悔があるんですが、今まで作ってきた作品とはスタイルが違う所があるし、ご覧いただいた方々からも『これまでとは後味が違う』とご意見をいただいている。絶対映画館で観るのがいいと思うので、ぜひ劇場に足をお運びください」と語り、イベントの幕を引いた。

「永い言い訳」は、10月14日より全国ロードショー。

最終更新:9月5日(月)12時29分

映画ナタリー