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社名は「新興」でも老舗製メーカーが倒産した業界の構造変化

ニュースイッチ 9/4(日) 9:15配信

「Riz」ブランドで知られる得意先のシンエイに連鎖

 老舗の靴製造業者の新興製靴工業が、7月29日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。傍系の靴卸業者であるシンエイ(東京都台東区)の倒産に伴う連鎖倒産として、業界内では注目を浴びている。

 当社は、1946年2月に設立された婦人靴の製造業者。前身となる新興製靴は39年の設立だが、戦災の影響で解散を余儀なくされ第二会社として当社が事業を引き継いだ。近時はメーカーなどからOEM(相手先ブランド)で受注。自社で商品企画からデザイン、サンプル品の作成、量産品の製造までを一貫して請け負うスタイルで営業基盤を固めてきた。

 傍系のシンエイとのつながりは強く、同社のプライベートブランド「リズ」「マリー」を筆頭に20ブランド以上を手がけていた。メーカー、アパレル卸業者、百貨店との取引もあり、2010年12月期には売上高約33億8000万円を計上していた。

 しかし、不要不急のアパレル用品の販売が伸び悩むなかで、靴業界全体が厳しい環境に置かれている。円安の影響から仕入コストがかさむ一方、消費不振から販売価格への転嫁が難しく経営環境は徐々に悪化。

 こうした中、有力仕入れ先であった江戸川商事(台東区)が15年3月に倒産。商品供給を絶たれ、サプライヤーの再選定に苦心した。また、主力得意先であるシンエイの販売が伸び悩んだ影響もあり、15年12月期の売上高は約24億8400万円までダウン。慢性的な赤字体質となった。

 それでも、大規模なリストラで生産体制を見直すなど収益改善に努めたが、7月28日にシンエイが民事再生法の適用を申請。同社に対して約1億5000万円の不良債権が発生し、これに連鎖する形で民事再生法の適用を申請した。なお、8月19日には東証2部上場のラオックスが当社をグループ傘下に置く旨を発表している。

<データ>
新興製靴工業(株)
住所:東京都墨田区墨田4-58-3
代表:大野拡史氏
資本金:2600万円
年売上高:約24億8400万円(15年12月期)
負債:約21億6700万円

帝国データバンク情報部

最終更新:9/4(日) 9:15

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