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ギタリスト本田毅、変幻自在の「音」への探求深めた初ソロライブ/ライブレポート

MusicVoice 9月4日(日)11時24分配信

 ロックバンド、PERSONZやfringe tritoneをはじめとして、幅広い活動を展開する、ギタリストの本田毅が8月20日、東京・大岡山のGoodstock Tokyoで初のソロライブ『Effectric Guitar scape1』を開催。チケットは即日ソールドアウトだったことから、急きょ追加公演が組まれ、28日に同所で二度目のソロライブを実施した。

【写真】ライブ写真

 バンドあるいはサポートとしての活動をメインとする一方で、楽器のデモンストレーションについても方々でその抜群のギターセンスを披露する本田。80年代にPERSONZのギタリストとして頭角を現して以降、独自のセンスとともに、音色へのこだわりについては常に注目を浴び「本田毅だけにしか出せない」トーンで、人々を魅了し続けている。

 そんな彼が、ギターの「音」にこだわった面を存分に披露するべく、20日、ライブという形式では初のソロステージをおこなうこととなった。全曲、インストゥルメンタルという本田ならではの世界観。音と寄り添う彼の真意に触れる夜であった。

■単なる芸術家ではない、本田のエンターテイナーとしての資質

 定刻を少し過ぎた頃、ステージ下手より拍手に導かれて登場した本田。「この日、本田はどんなステージを見せてくれるのか?」「どんな音を聴かせてくれるのだろう?」椅子に座り、ギターを抱えて静かにチューニングをおこなう本田に、会場に訪れた観衆はじっと期待の視線を向けていた。

 そして、ステージはスタートした。アルペジオっぽいギターのフレーズが徐々に変化し、ふとゆったりとした変拍子を形作っていく。やがてキング・クリムゾンの代表曲「Red」を彷彿させる荒々しいロックギターの調べとともに、披露されたオープニングソング、その名も「CRIMSON」。ギターの音が縦に横にと、歌メロのない空間を複雑に織り込み、かつ絶妙なハーモニーを描き出す。「バッキングっぽいフレーズを弾いているのに、バッキングに聴こえない」まさにこれこそが本田のもつ音楽観、世界観の真骨頂ともいえる。バッキングと感じて聴こえるフレーズに、歌心すら感じられるのだ。

 演奏の間には、少し緊張した様子を見せながらも、この日集まってくれた観衆への礼を告げていた本田。緻密な音作りには妥協を許さない、頑固なまでの姿勢が垣間見える別の面とのギャップを感じさせた一時だが、逆にそんな一面を見せたことで、本田はあくまでアーティストであり、かつパフォーマー、プレーヤーで、エンターテイナーあることを思い起こさせた。

 曲は続いて、ギターソロから「INDIA ROCK」へ。コードワークやカッティングなどのバッキングプレーだけでなく、ロックギターの王道的な“カッコイイ“ギターソロも披露。そこには目を見張るような超絶テクニックが織り込まれているわけでもないのに、それ以上の印象を観衆の耳にアピールしてくる。そして、キャッチーなメロディの中に絶妙にタイミングで入れられるグリッサンドやアーミングなどの小技は、スパイスの如くメロディの印象をさらに鮮烈にし、観衆の“聴きたい”と感じる欲をさらに掻き立てていった。

■「音」を追求しながらも、「音」に縛られない楽曲

 MCでの和やかな雰囲気を見せつつ、序盤はワイルドなギターサウンドを目一杯フィーチャーしたロックなサウンドをメインに観衆を惹きつけたが、「FIXXED」ではクリーンサウンドで聴かせるカッティングからの展開よりも、また違ったアイデアやトリッキーなフレーズを印象づける。かと思えば「looper solo」「7/8」「delay solo」「ETHNIC」と、エフェクト音の様々な特性や、癖になるようなリズムへの造詣を存分に生かしたナンバーが続く。

 あるときはカッティングの中に、またあるときは繰り返されるギターリフの中に、そしてまたあるときは、スッとさりげなく入れられたオブリガートフレーズの中に、さらには印象的なリズムの味付けの中にと、聴くものの意識をしっかり捕らえるポイントが巧みに作られている。それは線で描かれたメロディというよりは、インストゥルメンタルという利点を生かした、幅も奥行きもある面、それ以上に立体的でかつ鮮やかな色彩感すら感じさせるものだ。

 ステージは後半、QUEENギタリストであるブライアン・メイを彷彿させる、鮮烈かつ温かみのあるギターのハーモニーサウンドを駆使した、ミュージカルの傑作『オズの魔法使い』のテーマソング「OVER THE RAINBOW」をプレー。そして、ラストは「TECHFX」より、テクノサウンド的なリズムにロックギターサウンドを前面に押し出す圧巻のプレーへ。その上でユニークなエフェクト音を様々に駆使し、曲とプレーをさらに印象づけていく。

 いよいよラストの「NOISE DNB」、さらにアンコールの「BUG IN THE HEAD」へ。端々に積極的にちりばめられたエフェクト音には、新しい音に対する本田自身の貪欲な姿勢も見られた。しかし、それが単に機材の新たなテクノロジーや、奇抜な効果に溺れたものではないことは、この日見せたステージのそれぞれの曲が、しっかりと観衆に聴かせるものとなっていたことからも明らかだ。

 楽曲を作る最終目的として「聴くものの印象に強く残るもの」を第一優先に考え、かつ自分の気に入った音を目一杯印象づけられるように注力して作られた、この日披露された本田の楽曲には、そんなイメージが感じられた。この日、20日はまだ初めてのソロライブだったが、これから彼がその可能性をどのように広げていくのか? 本田自身のバンドfringe tritoneなどの活躍とともに、今後の動向が気になってたまらないところだ。

(取材・桂 伸也)

■セットリスト

「本田毅 1st ソロライブ“Effectric Guitar scape1”」
2016年08月20日@大岡山Goodstock Tokyo

01. CRIMSON
02. Guitar solo~INDIA ROCK
03. Guitar solo~FIXXED
04. looper solo
05. 7/8
06. delay solo
07. ETHNIC
08. OVER THE RAINBOW
09. TECHFX
10. SCARE CROW
11. Guitar solo~NOISE DNB
encore
E01. BUG IN THE HEAD

■ライブ情報

TAKESHI HONDA solo act Effectric Guitar scape 2

▽2016年11月5日(土)
18:00開場 19:00開演

▽2016年11月6日(日)
16:00開場 17:00開演

最終更新:9月4日(日)11時24分

MusicVoice

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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