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【U-18アジア選手権】韓国戦の逆転劇生んだ全力疾走 野手心理を突く“打点王”の絶妙走塁

Full-Count 9月4日(日)12時57分配信

林中の激走で平凡な遊ゴロが一転、送球エラーで同点→逆転の流れを呼ぶ

 台湾・台中市で開催中の第11回BFA U-18アジア選手権は、4日最終日を迎える。3日の韓国戦に3-1で勝利した日本は、5戦全勝で決勝戦への切符を手にした。アジア最大のライバル・韓国戦に向けて温存していた高橋昂也(花咲徳栄)が、今大会初登板ながら8回途中を3安打1失点と快投。後を継いだ堀瑞輝(広島新庄)、藤平尚真(横浜)が完璧リリーフをしたことが大きな勝因の1つだが、試合の大きなポイントの1つとなったのが、4回攻撃中に見せた林中勇輝(敦賀気比)の全力疾走だった。

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 日韓ともに先発投手が抜群の立ち上がりを見せた。打者につけいる隙を与えなかったが、3回表、韓国打線は先頭キムが四球で出塁すると、手堅く送りバントとレフト前安打で1点先制に成功。膠着していた試合の流れが、韓国サイドに傾いた。

 が、直後の4回表、日本が流れをつかみ返した。先頭打者は、この日から1番に座った松尾大河(秀岳館)。小枝守監督の「性格の強さとスイングが強くできる部分を試したかった」という思惑通り、レフトへの安打で出塁。送りバントなどで2死一塁としたところで4番の九鬼隆平(秀岳館)が四球を誘い、2死一、二塁とした。だが、打席に立った林中の打球はボテボテの遊撃ゴロ。万事休すと思われたが、一塁へ激走する林中を見て焦ったのか、韓国の遊撃キムの一塁送球は一塁手の頭上を高く越える悪送球となった。

 このエラーで二塁走者だった松尾が同点ホームを踏むと、韓国先発キムは動揺を隠せず。なおも2死二、三塁で、次打者・入江大生(作新学院)の初球が暴投となり、三塁走者の九鬼が逆転ホームイン。「点が入ったので肩の力を抜いて、いつも通り打席に立てました」という入江にはセンター前にヒットを許し、日本に3点目が入った。

「全力疾走とかは、野球を始めたばっかりの子でも、誰でも絶対できること」

 全力疾走で逆転劇をつないだ林中は、今大会では「小学校3年生以来」という一塁を守るが、本来は遊撃手。「僕もショートをやっているので、ボールを取って、ランナーを見た時に全力で走ってたら、やっぱり焦りますし、暴投にもなったりする」と、遊撃手の心理を絶妙に突く走りを見せた。

 代表を率いる小枝監督や大藤コーチの教えも生きている。「僕たちもフライを上げて全力で走らなかったこともあった。全力疾走とかは、野球を始めたばっかりの子でも、誰でも絶対できること。そういう基本をしっかりしようっていうことを、小枝監督、大藤コーチが強く言っておられました」と、基礎の基礎を意識。小さなプレーをおろそかにしない姿勢が生きた。

 試合後、小枝監督は4回に出た韓国の失策を振り返り、「あれを引っ張り出したのは、打者走者の全力疾走だったと思います」と、満面の笑みで林中の走塁を褒めた。日本を出る時、指揮官は「どこの国よりどこの学校より、できることは(手を抜かずに)しっかりやる、日本らしいプレーをしよう」と選手に声を掛け続けたが、その言葉は選手にしっかり伝わっている。

 4日に開催国・台湾と戦う決勝戦も、基礎を大切にする意識は変わらない。

「先頭が出て、送ったり走ったり、小さいことでつなぐプレー。僕たちらしい野球ができたら負けることはないと思う。ピッチャー陣は何枚もすごい投手がいますから。野手も大きいの(長打)を狙うんじゃなくて、1番から9番まですごい打者が揃う打線なんで、線でつなぐ打線にしていけばいいと思います」

 今大会11打点と大活躍の林中。「中高でも、大事なところで大事な野球をする、ということを教わってきた。派手な野球はできないんです。(敦賀)気比のかたまりです(笑)」と照れくさそうに、でも誇らしげに笑った日本の“打点王”は、決勝の舞台でも地道なプレーで勝利を狙う。

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

最終更新:9月4日(日)12時57分

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