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人工知能時代、労働補助型ユートピアVS労働代替型ディストピア

ハンギョレ新聞 9/4(日) 22:09配信

ユ・ギルサン雇用情報院長報告書 第4次産業革命めぐる2つのシナリオ 雇用と自由時間が増える労働補助型 ロボットが人間に代わる労働代替型 「既存の社会保険体系が崩壊する可能性も …基本所得などセーフティーネットの強化求める」

 人工知能革命、つまり「第4次産業革命」が到来すれば、人工知能が人間を補助すると共に、新しい仕事が増えるだろうか、それともブルーカラーだけでなく専門職の仕事まで一気に消えることになるだろうか? このような結果が社会保障にはどのような影響を及ぼすだろうか?

 30日、保健福祉部が主催した「社会保障委員会民間委員ワークショップ」で、雇用情報院のユ・ギルサン院長が発表した「第4次産業革命と社会保障」報告書によると、第4次産業革命が雇用と社会保障に及ぼす影響は、楽観論と悲観論の二つのシナリオに分かれる。第4次産業革命は人工知能が人間の高次判断機能まで遂行し、技術融合によって様々な分野で新しい技術革新を創出する技術革命の段階を指す。韓国では今年3月、李世ドル(<イセドル>ドルは石の下に乙)九段と人工知能プログラム「アルファ碁」との対局以降、第4次産業革命がもたらす未来に対する関心が高まっている。

 まず、ユ院長は第4次産業革命が雇用に及ぼす影響を楽観論と悲観論に分けた。楽観論は、人工知能を活用すれば、さらに多くの新規雇用と職業が生まれると予想するものだ。科学技術が「労働補助型」で発展し、人間と相互補完する関係に発展するだろうとの判断に基づいている。昨年、ボストンコンサルティンググループ(BCG)は第4次産業革命によって製造業でも情報技術(IT)分野の人材に対する需要が高まり、今後10年間でドイツの製造業で39万人の雇用が拡大するとの見通しを示した。また、800個の職業における2000個の作業のうち、人工知能によって代替できる職務は約45%に留まるとの研究分析結果(マッキンジー社・2015年)も発表された。

 しかし、雇用が様々な分野で一気に消滅するという「労働代替型」の悲観論を主張する人も少なくない。悲観論は人工知能が低賃金、単純反復型の職務はもちろん、事務職と専門職まで代替するとの見通しに基づいている。今年の世界経済フォーラム(WEF)では、2020年まで人工知能とロボットの影響で世界的に710万以上の働き口がなくなり、200万個が新たに創出され、結果的に510万個の働き口が減少すると予想する報告書が発表された。消えた職種の3分の2がホワイトカラー分野で発生する見込みで、今年小学校に入学する全世界の7歳児の65%は、今は存在しない新しい職業を持つようになるものと見られる。ユ院長は「第4次産業革命が労働補助型で進むとユートピアが、労働代替型で進む場合はディストピアが到来するだろう」と指摘した。

 ユ院長は、未来社会の人たちが直面する社会保障の変化もこれに沿って予測できると指摘した。ユートピアが到来するという最初のシナリオによると、肉体的にきつい労働は人工知能ロボットが行い、人間はより創意的で感性を要する仕事に集中するようになる。結果的に成長、雇用、福祉の好循環構造が作られ、労働時間の短縮やワーク・ライフ・バランスが取れる一方、社会保障に対する負担も減ることになる。

 ディストピアが到来するという悲観的シナリオは次のようなものだ。第4次産業革命が労働代替型で進み、専門職を含む様々な職種が消えてしまうと、大量失業で福祉財政がさらに必要になるが、これを支える納税者は大幅に減る。社会保障制度を持続可能にする基盤がなくなり、深刻な状況を迎えることになるだろうという内容だ。 すでに第3次産業革命期にも「雇用無き成長」や「常時雇用不安」という新しい社会的危険要因が登場したが、第4次産業革命期にはこのような副作用が一層深刻になることが懸念される。

 ユ院長は「これからはいつでもどこでも機械と人間がつながることで、仕事と生活の境界が崩れ、正社員と非正規労働者の境界も無意味になっていくなど、柔軟性と移動性が労働のキーワードになるだろう」と予想し、「第4次産業革命時代の企業はより柔軟な労働市場を求めて投資することになり、雇用の形もさらに多様化し、労働市場の両極化も進むだろう」との見通しを示した。

 また、ユ委員長は「既存の労働関係法と社会保障制度が第2次産業革命期のブルーカラー正社員の権利を保護するために発展して来たため、第3次産業革命期にも合わなくなり深刻な死角地帯が存在するのに、伝統的雇用形態が例外的存在になる可能性が高い第4次産業革命期にはさらにズレが生じる可能性が高い」としたうえで、「伝統的社会保険制度が崩壊する可能性が高まり、社会保険の死角地帯が広がるおそれが大きいだけに、基本所得、失業扶助、青年手当など公的扶助によるセーフティーネットの強化を求める声が高まると思われる」と指摘した。例えば、第4次産業革命期には雇用形態の多様化、フリーランスなど、プロジェクト基盤の下請雇用の増加やアイデアだけで創業する1人企業の増加、自発的時間制労働者の増加などが予想されるため、既存の社会保険制度では保護できない階層が大幅に増える見通しだ。

ファン・ボヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:9/4(日) 22:09

ハンギョレ新聞

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