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社説[高江へ作業員搬送]警察責務からの逸脱だ

沖縄タイムス 9月4日(日)8時55分配信

 東村高江周辺の米軍北部訓練場ヘリパッド建設工事で、県警が警察車両に民間の作業員を乗せ、工事現場入り口まで運んでいたことがわかった。警察法に定められた警察の責務から逸脱していることは明らかである。

 市民らによると、2日午後0時ごろ、警察車両3、4台が東村高江の北部訓練場N1ゲート前で、民間の作業員十数人を下ろした。

 市民や県警の話を総合すると、搬送の経緯はこうだ。

 N1ゲート前から約3キロ離れた国頭村安波の県道70号で、市民らが道路上に車両を止めたため、作業員らが乗った車両が通れなくなった。

 このため作業員らは機動隊員が警護する中を徒歩で通過し、その後に警察車両に乗り込んだようだ。

 県警によると、先行して歩いていた作業員がおり、戻る方向が同じだったために現場指揮官が「乗りますか」と声を掛けたという。

 県警は作業員と市民が相対した場合にトラブルになる可能性を予測したとして「安全確保が目的」と理由を説明している。機動隊が警備しながらトラブルなく歩いており、説明には説得力がない。

 ヘリパッド建設工事が大幅に遅れており、沖縄防衛局は「H」「G」「N1」の3地区の建設工事を同時に進める方針である。

 県警は、何を根拠に作業員を工事現場のゲートまで送り届けることをしたのか、工事の遅れと関係があるのか、これからも続けるつもりなのか、説明する責任がある。

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 そもそも警察の責務は警察法2条で「犯罪の予防、鎮圧及(およ)び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締(とりしまり)その他公共の安全と秩序の維持に当(あた)る」ことと定めている。厳格にその範囲に限られるべきであることも明記している。

 ヘリパッド建設に携わる作業員を警察車両でN1ゲートまで運ぶのは明らかに警察の責務を逸脱している。

 2項では「責務の遂行に当つては不偏不党且(か)つ公平中立」を強調している。作業員の搬送はヘリパッド建設工事に加担することになり、不偏不党、公平中立の立場にも反する。同じ2項には憲法が保障する個人の権利や自由について警察の「権限の濫用(らんよう)」を戒め、3条には憲法や法律を擁護することを服務宣誓することをうたっている。

 これが戦後警察の出発点である。だが、警察は高江で市民らの「表現の自由」を強権的に押しつぶしているのが現状だ。

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 気になるのは、昨年の警察法の改正で国家公安委員会の任務として「特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助ける」ことが新たに加わったことだ。

 この問題を指摘している名桜大の大城渡上級准教授(憲法学)は、戦前戦中と同じように時の政権の都合のいいように警察が利用されているのではないかと懸念する。

 県公安委員会は高江ヘリパッド建設工事で500人の機動隊を県外6都府県公安委に要請しているが、これと関連があるのか。県公安委は記者会見して明らかにすべきだ。

最終更新:9月4日(日)8時55分

沖縄タイムス