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農業と両立「田んぼソーラー発電」見学会で期待の声

THE PAGE 9/5(月) 16:05配信

THE PAGE

 環境を荒らさない田んぼ発電を――。田畑に棚のように架設したソーラー発電で売電と太陽光調節の農地管理をするソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)が広がり始め、3日長野県上田市で見学会と検討会がありました。造成地の崩壊などの懸念も指摘されることがあるメガソーラー(大規模太陽光発電)と違って、大掛かりな工事の必要がなく、農家が取り組める地産地消エネルギーとして期待されています。

農作物は「太陽光に当たり過ぎるのもよくない」

 上田市の一般社団法人NECO(自然エネルギー共同設置推進機構)が主催し、県内外の開発関係者、地元の市民など60人が参加。同市塩田の水田に6月に完成したばかりの50キロワットのソーラーシェアリングの水田を見学しました。

 この発電を始めた同市の合原(ごうはら)亮一さん(58)によると水田約3000平方メートル(3反)のうちパイプで架設した高さ3メートルほどのソーラー発電施設は1500平方メートルを占め、太陽光パネル672枚を装備。パネルは長さ1メートル余、幅40センチほどと小型で、太陽光の強さなどを感知して自動的に向きを変えることができます。

 農業用のソーラー発電の特徴は、水田の上を全部覆わずに間隔を設け、パネルが強い太陽光を直角に受けているときは農地に注ぐ光量が抑制され、曇りや雨で太陽光が弱まるとパネルが太陽光と平行になって光を十分に通します。

 NPO法人上田市民エネルギーの理事でIT関係の会社も経営している合原さんは「農作物は強い太陽光に当たり過ぎるのもよくないので、太陽光パネルの自動制御は作物にもいい環境を作りだしている」と話しています。

 設置に1700万円かかったが、13年で経費は回収できる見込み。さらに一般に普及すれば経費はもっと安くなるといいます。設置は農業委員会による農地の一時転用の許可が必要で、上田市での許可は「長野県内で2件目ではないか」(合原さん)。

設置のための大規模工事は必要なし

 見学地近くの会場で開いた検討会では、ソーラーシェアリングを考案した長島彬(あきら)さん(ソーラーシェアリングの実験などに取り組むCHO研究所代表)が、「農作物の多くは一定以上の太陽光を必要としないので、田畑に設けたソーラー発電による太陽光のコントロールはむしろプラスに働いている」と指摘。

 さらに「農地に架設するソーラーシェアリングは設置のための大規模開発は不要で、がけ崩れなどの問題は起きない。また、限られた平面利用から立体的な利用に土地利用を拡大できる点で意義がある」と強調しました。

 千葉県を中心にソーラーシェアリングに取り組んでいる東(ひがし)光弘・市民エネルギーちば合同会社代表は、「農水省も2013年にソーラーシェアリングに理解を示す通達を出し、農業委員会でソーラー設置のための一時転用許可が出るようになった」。2015年のソーラーシェアリングの申請は全国で400件、うち千葉県が200件を占めたとし、「2016年はソーラーシェアリング元年と言っていい」と期待しました。

 このほか会場では(1)ソーラーシェアリングの太陽光パネルは小型で可変式のため風の影響を受けにくく頑丈な施設は不要、(2)設置作業は数人の大人で2週間ほどでできる――など農家が普段の作業の延長で設置に取り組めることなどが評価されました。

 合原さんは「農業委員会も手探りのところがあったが、こちらも十分な資料とデータを示して理解を得ることができた。今後の普及を期待したい」と話しています。

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■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説

最終更新:9/9(金) 20:53

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