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「SMAP」解散による経済損失はどのくらい?

ITmedia ビジネスオンライン 9月5日(月)6時40分配信

新人記者が行く:
 

●SMAPが年間で生み出す経済効果は?

 8月14日に解散を発表したアイドルグループのSMAP――。1988年の結成以来、音楽活動のみならずバラエティ番組、ドラマ、映画など多方面で活躍し、国民的人気を博してきた。

【 SMAPの年間経済効果 636億円の内訳はこうなっている】

 そのSMAPが解散した場合、どのくらいの経済損失となるのか。今年1月、SMAP解散騒動をきっかけに、それを算出した人物がいる。関西大学の宮本勝浩名誉教授(経済学者)だ。

 損失額はどのくらいなのか、また、その額は他のアイドルグル―プと比べてどのくらい大きいのか、宮本教授に聞いた。


鈴木: SMAPは年間でどのくらいの経済効果を生んでいるのでしょうか。内訳を含めて教えてください!

宮本: まず、ファンクラブの年間収入が約40億円あります。入会している約98万人の入会金や年会費ですね。

鈴木: ファンクラブだけで40億円……。「活動休止」状態でも年間でそれだけ入ってくるわけですから、「解散」と「休止」では大きな違いですね。

宮本: そうなんですよ。続けますと、コンサートの収入が95億円。CD、DVDの収入が約23億円。ドラマやCMなどのテレビ出演の収入が約60億円。関連グッズの収入が30億円。そして、コンサートに参加する年間100万人近くが使う交通費や飲食費、宿泊費が約30億円になりますので、ここまでの合計が280億になります。

鈴木: では、SMAPの年間経済効果は280億円?

宮本: いいえ、違います。経済学では、SMAPファンの人が使ったこの280億は「直接効果」と呼ばれています。経済効果を分析するときには、このお金(直接効果)がどれだけ周辺に影響を及ぼしているのか調べるために、一次波及効果、二次波及効果まで計算します。

鈴木: 面倒臭そうですね……その一次波及効果とは、どういうものなんでしょうか?

宮本: 一次波及効果というのは、ファンが使った280億円分の“原材料”となるお金を指しています。例えば、CDが売れれば、CD本体やケースなどの材料を作っている会社ももうけますよね。他にも、コンサート会場内で食べ物が売れれば、その食べ物の仕入れ先にもお金が回ります。計算したところ、この一次波及効果が219億円ありました。

鈴木: なるほど。二次波及効果は?

宮本: 二次波及効果は、先ほど言った原材料を作っている会社やグッズショップ、コンサート会場内の飲食店などの関連会社(店舗)で働く人の所得です。SMAPが活動することによって、その人たちにも所得が生まれ、その分消費も増えるということですね。この二次波及効果は137億円でした。

 このように経済効果を算出するときは、「直接効果」「一次波及効果」「二次波及効果」の3つを計算するわけですが、これを合計すると636億円になります。これが、SMAPが1年間活動することによって生み出されるお金の量(経済効果)なのです。

●AKB48が解散するよりもインパクトが大きい

鈴木: 636億円ですか……。しかし、どうやって直接効果や、波及効果の数字を算出したのですか?

宮本: 重要なのは、直接効果のデータです。ここが分かれば、あとの一次波及効果、二次波及効果は過去の統計から算出できます。コンサート収入(来場者数)がこのくらいのときは、飲食に使われるお金もこのくらい、そしてグッズに使われるお金はこのくらい――という感じで。

 ただ、直接効果を調べるのは本当に大変です。基本的に芸能事務所は数字を公表してくれないので、さまざまなルートを使って独自にデータを集める必要があります……。ちなみに、今回の直効効果のデータについては、週刊誌の『週間新潮』が調べたものを活用しております。

鈴木: なるほどー。よく分かりました。ところで、今回のSMAP解散による年間の経済損失は636億円ということですが、アイドルグループの中ではどのくらい大きい額なのでしょうか? いまいちピンとこないのですが……。

宮本: 「AKB48」の経済効果について算出したところ、564億円(2011年時点)でした。あのAKB48が解散するよりも経済損失のインパクトが大きいということです。

鈴木: しかも、メンバーがたくさんいるAKB48に対して、SMAPは5人。あらためてSMAPのスゴさが分かりますね。ちなみに過去の人気アイドルグループ「光GENJI」や「おニャン子クラブ」よりも経済効果は大きいのでしょうか。

宮本: 計算していませんのでお答えできません。ただ、SMAPは、現在活動している日本のアイドルグループの中で最も大きな経済効果を生み出しているのではないでしょうか。これだけ影響力の大きいグループが解散してしまうのはもったいないですし、個人的にもファンなので非常に残念です。今回は「解散しないで!」という思いで経済損失額を算出しました。

鈴木: そうだったんですね。宮本教授はこれまでに「阪神タイガース優勝の経済効果」「街コンの経済効果」などさまざまな経済効果を算出してきていますよね。今度はほかの経済効果についても教えてください。今日はどうもありがとうございました。

最終更新:9月5日(月)6時40分

ITmedia ビジネスオンライン