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新卒3年目の@yhattが、GitHubで世界中から「Star」をもらえた理由

@IT 9月5日(月)6時10分配信

●新卒入社2年半のエンジニアがGitHubで高評価を獲得

 服部雄輝さん(26歳)は、北海道の大学院を卒業後、Webマーケティングやインターネットメディア事業を中心に新しいビジネスを展開する「Speee(スピー)」に入社した若手エンジニアだ。

【その他の画像】Marpとは

 社会人2年目に自身で考案したソフトウェアのソースコードをGitHub(ギットハブ)で公開したところ、世界中のユーザーから4000個以上も「Star」をもらい、GitHubのトレンド入りも果たしたという経験を持つ。

 ここで「GitHubって何?」という読者もいるかもしれないので、ごく簡単に説明しておくと、ソフトウェアのソースコードバージョン管理ツール「Git」を利用する際のソースコードや各種情報を公開し、世界中のユーザーと共有するためのインターネット上のサービスである。

 さまざまなオープンソースソフトウェアのプロジェクトが集まるWebサイトであり、ユーザーは自身のソフトウェアを公開することもできるし、他のユーザーのプロジェクトにコメントしたり、最新のソースコードを手に入れたり、プロジェクトに参加して共同で開発したりすることもできる。

 GitHubには「Star」という機能がある。気に入ったプロジェクトに「★」マークを付けて、後から参照しやすくしたり、作成者に対して高評価の意を伝えたりする仕組みだ。他のSNSの「お気に入り」や「いいね!」のようなものだと考えれば分かりやすいだろう。

 服部さんは、GitHubで世界中から4000個超の「Star」を獲得したのだ。GitHubの大半のユーザーが進取の気性にあふれるエンジニアであることを考えれば、服部さんが開発したソフトウェアに対する評価がいかに高いものか、お分かりいただけるだろう。

●“もう1つの強み”を作っておくためにデザインを学ぶ

 服部さんは、北海道札幌市近郊で生まれ育った。

 機械いじりやアマチュア無線が趣味だった父親の影響で、子どものころからエンジニアという仕事に興味を持っており、小学校4年生のころには既にPC雑誌を読み、自宅にあったPCでオンラインソフトウェアを使ってみたり、体験版のVisual Basicでちょっとしたプログラミングを行ってみたりしていた。

 そんな子ども時代を過ごした服部さんだったが、進学した函館の大学では「情報表現」について研究したという。

 「情報をどのようにすれば、より人に伝えやすくなるか? という学問です。分かりやすい例で言えば、アイコンやピクトグラムなども含まれます」

 服部さんが情報系ではなくデザイン分野を専攻したのには、目的があった。それは“もう一つの強みを持つ”ということ。

 「子どものころから、さまざまなオンラインソフトを使っていたので、既存のソフトウェアには、機能面はよく練られているもののデザイン面では完成度を高める余地があるものも少なからずある、と思っていました。将来、自分がソフトウェアを開発する仕事に就くなら、その部分もしっかりと押さえておきたいと考えました」

 第1の強みであるソフトウェア開発については、大学院で主に画像処理について本格的に学んだ。もちろん、就活では志望をIT業界に絞り込んだ。

●地方学生ならではの苦心。就活費用節約テクとは?

 服部さんは就活に当たって、志望する企業を立地で選ばず、業務内容で選んだ。そのため就職先候補には東京に本社を構える企業が並んだ。

 北海道と東京とを往復する就職活動は、日程的にも金銭的にも、学生にとっては厳しいものだった。特に交通費と宿泊費は金額が多く、1回の往復で7~8万円程度掛かったという。

 「就職活動時はトータルで5~6回は東京と北海道を往復したので、結果として総額40~50万円ぐらい掛かっているはずです」

 これでも服部さんなりに工夫を凝らした結果だという。

 「面接日を集中させ、1回の上京で複数社を訪問できるようにスケジュールを調整し、交通機関はLCC(格安航空会社)を積極的に利用しました」

 しかし、LCCが就航するのは利用客の多いメジャーな航路。函館空港からでは選択肢がなく、新千歳空港を利用することになる。函館から札幌に移動して、そこから飛行機に乗らなければならないという煩わしさもあった。

 服部さんの友人には、1カ月間、仲間数人で東京に部屋を借り、そこを拠点に就活をしていた人たちもいたという。服部さんは就活時期が友人たちとは合わず、そこに加わることはできなかった。「時期が合えば、そうした節約術も積極的に利用したかったのですが……」と、残念さをにじませた。

●Marp開発にも生かされたもう1つの強み

 そうした就活のかいもあり、見事Speeeに就職した服部さん。入社後は、管理部に配属され、技術書をそろえた社内ライブラリ管理システムや、経費管理システムなど、社内で利用する業務システムの開発を任された。

 Speeeのエンジニアは、さまざまな分野における技術スキル向上を目的とし、個人で制作したプロダクトやライブラリを外部に公開する取り組みを行っている。

 服部さんは自身の勉強のために、空き時間を利用して業務で作るものとは全く異なるソフトウェアの開発に取り組んでいくことにしたという。

 それが、Markdown記法でプレゼン用のスライドを手軽に作成できるソフトウェア「Marp」だった。

 Speee社内はスライド作成ニーズが高く、しかも手軽に記述できるMarkdown記法のものが好まれていた。

 Markdown記法は、もともとHTML文を手軽に作成する目的で作られた記法だ。例えば文章を強調したければ「*ここを強調*」とアスタリスク1つで囲むだけよく、見出しや箇条書なども、HTMLに比べ簡潔な表記で記述できる。これをスライド作成に応用したのがMarpなのだ。

 「Markdown記法で記述できるスライド作成ソフトは既に幾つか存在していましたが、OSに依存していたり、有料で気軽に試せなかったり、別途外部ソフトウェアが必要だったりして、『これは!』と思えるものがないと感じていました。それならば自分で作ってしまおう、と考えたのがスタートです」

 Windows、MacOS、Linuxに対応し、外部ソフトウェアの助けを借りずにスライドをPDFに出力できる他、入力した内容がリアルタイムにスライド形式で表示される直観的な使いやすさもMarpの大きな特徴だ。誰にでも使いやすい仕様、直観的なインタフェースなど、その開発に当たっては、大学時代に学んだ情報表現の知識が大いに役立った言うまでもない。

 2016年5月にリリースしたMarpが、同7月にWebメディア「Hacker News」に掲載されたことがきっかけで多くの反響を呼び、服部さんは一躍、社内外から注目される存在になった。

 後は冒頭で紹介した通り。現在もMarpへのStarは増え続けている。

●大切なのは技術のその先にあるものを見据えること!

 服部さんに、就活生へのアドバイスを聞いた。

 「技術は『目的』ではなく、何かを実現するための『手段』。エンジニアになりたい人は、エンジニアになって何をしたいのか、『先』まで見据えておくことが大切ではないでしょうか。

 1本の柱だけではなく、サブの柱を持っておくことも大切です。僕はメインの『開発』に加え、大学で『デザイン』を学びましたが、サブは人によって、目的によって異なると思います。強みを2つ以上持っていれば、就活で有利なのはもちろんですが、就職した後で生かせるシーンが必ず訪れるはずです」

 学生時代に勉強しておけば良かったことは「英語」だという。

 「自分が作ったソフトウェアを世界中の人に見て、使ってもらうためには英語が必須です。日本語オンリーでもいいのですが、それでは日本のユーザーからの反響しか見込めません。GitHubでは、翻訳ソフトと格闘しながら何とかやっています。一度公開してしまえば、後はネイティブの人から『ここの英語表現がおかしい』といったツッコミも入るので、助かります(笑)」

 現在、服部さんの目標は、バージョン0.0.8のプレリリース版であるMarpを、バージョン1.0の正式リリース版にすること。常に“その先”を見据えている服部さんの目には、大きな希望が満ち溢れていた。

[竹内充彦, 聞き手:@IT編集部,@IT]

最終更新:9月5日(月)6時10分

@IT

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