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ガス小売全面自由化へ動きが加速、電力と同様の競争環境を整備

スマートジャパン 9月5日(月)9時25分配信

 いよいよ電力に続いて都市ガスの小売全面自由化が2017年4月1日に始まる。家庭を含めてガス料金の規制を撤廃するのと同時に、既存のガス会社以外でも家庭向けの小売が可能になる。これまで電力会社や電話会社は都市ガスと組み合わせたセット割引を提供できなかったが、今後は電力と都市ガス・LP(液化石油)ガス、携帯電話やインターネット通信サービスを含めて一括で販売できるようになるわけだ。

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 すでに8月1日からガス小売事業者の事前登録の申請が始まり、いち早く東京電力や関西電力が申請を出した。そのほかの電力会社も追随する見通しで、来年1月には電力と都市ガスのセット料金プランを発表して営業活動を開始できる。

 一方で守る立場のガス会社には厳しい競争が待ち受ける。政府は自由化後のガス料金が地域によって値上がりすることを防ぐため、引き続き規制料金(経過措置料金)によるガスの販売を義務づける事業者を10月から11月に選定することになっている。

 供給地域内のシェアが高い東京ガス・大阪ガス・東邦ガス(中部地域)の大手3社を指定することは確実だ。現在の電力市場と同様に、規制料金を続ける場合には新規参入の事業者と比べて自由料金の単価を安く設定しにくい。

 小売全面自由化に伴って、ガスの製造部門や導管部門にも規制が加わる。製造部門にあたるLNG(液化天然ガス)基地には法律による規制はなかったが、2017年4月から届出制に変わる。LNG基地から需要家までガスを運ぶ導管サービスは従来と同様に許可制で、他の事業者にサービスを提供する場合の「託送料金」は国の認可が必要になる。

 東京ガスをはじめ既存のガス会社は自由化後の託送料金の認可を申請済みで、12月までに認可を受けて託送料金を確定させる見込みだ。新規参入の事業者は新しい託送料金をもとに料金プランを決めて営業活動に入る。この一連の流れは1年前の電力の自由化と同じで、年明けの1月から各社が料金プランを発表することになる。特に電力会社のセット料金に注目が集まる。

LNGの輸入量は電力会社が6割以上

 電力と都市ガスの市場構造で大きく違う点は、供給する資源のシェアにある。電力市場では電力会社みずからが大規模な発電所を運営してほぼ独占的に電力を製造している。対して都市ガス市場では、原料になるLNGの輸入量の6割以上をガス会社ではなくて電力会社が抑えている状況だ。

 電力会社は火力発電用に大量のLNGを調達する。電力の販売量が低下する中で、余剰のLNGを都市ガスとして販売するチャンスが広がった。ただし需要家までガスを供給するための導管はガス会社が保有・運営している。

 全国の導管の5割以上を東京ガス・大阪ガス・東邦ガスの3社が地域ごとに独占して運営する状態だ。他の地域でも既存のガス会社が導管を運営しているため、電力会社を含む新規参入の事業者はガスの輸送業務を委託することになる。電力事業でも電力会社の送配電網を利用する点で同様だが、ガスの導管網は地域全体をカバーしていない。

 現在のところガスの導管網が整備されている区域は全国の国土の6%弱に過ぎない。東京・大阪をはじめ大都市圏の周辺地域に限られている。世帯数では67%をカバーするものの、都市部を除くとLPガスのシェアが圧倒的に高くなる。広い地域を対象に電力とセットで販売するためには、都市ガスとLPガスの両方を供給できる体制を整える必要がある。

 すでに東京電力をはじめLPガス会社と提携してセット販売に乗り出す動きが始まっている。今後は地域を越えて電力・都市ガス・LPガス会社の提携が広がることは確実だ。大手の事業者を中心に各地域で陣取り合戦が激しくなっていく。都市ガスの小売全面自由化を機に、電力の小売競争が加速する可能性も大きい。

電力3社が競争環境の整備を求める

 政府は電力と同様に都市ガスの市場でも健全な競争を促進するため、小売全面自由化に向けてガイドラインを整備する。ガイドラインは2種類を用意する方針だ。1つは需要家を保護するための「ガスの小売営業に関する指針」で、料金の説明方法や契約形態を規定する。

 電力・ガス取引監視等委員会が9月2日に公表した素案を見ると、電気事業者を対象に策定した「電力の小売営業に関する指針」と同様の構成になっている。需要家に対する情報提供から契約解除に至るまでの一連の業務を対象に、「望ましい行為」と「問題となる行為」を規定する内容だ。

 たとえば電力などとセットで販売する場合に、料金割引や契約解除の条件を適切に説明しないと、「問題となる行為」とみなされて業務改善命令・勧告の対象になる。このほかにガス特有の規定として、マンションやオフィスビルに一括で供給する「一括受ガス」の禁止などを加える。

 もう1つのガイドラインは「適正なガス取引についての指針」で、事業者間の取引のあり方を規定するものだ。大口の需要家向けにガスの小売を自由化した1995年から5年後の2000年に初めて策定した。その後も数回にわたって内容を見直してきたが、小売全面自由化に合わせて現行の内容を再び改正する。

 改正後のガイドラインには、新規参入の事業者が既存のガス会社のLNG基地を利用する場合の料金設定に関する規制などを盛り込む予定だ。LNG基地を運営するガス会社の製造部門は自社の小売部門と第三者の小売部門に対して、同一の利用条件の場合には同一の料金を設定しなければならない。

 さらに需要家と結ぶ長期契約や中途解約の違約金についてもガイドラインで規制することを検討中だ。電力の場合には「適正な電力取引についての指針」(2016年3月改正)の中で、不当な解約制限などを「問題となる行為」に規定している。

 東京電力・中部電力・関西電力の3社は電力・ガス取引監視等委員会の会合に参考資料を提出して、ガス会社の問題行為を指摘した。需要家に提供するリース機器の契約条件に新規参入を阻害する内容が含まれているためだ。

 自由化を前に電力会社とガス会社の攻防が激しさを増していく。委員会では今後の会合を通じて、2017年3月までに2つのガイドラインの内容を確定して公表する。既存のガス会社に対する規制をどのくらい盛り込むかによって、4月から始まる自由競争の進展度は大きく変わってくる。

最終更新:9月5日(月)9時25分

スマートジャパン

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