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サルビアに願い込め 都立農業高生「震災風化させない」

福島民報 9/5(月) 10:05配信

 東京都府中市の都立農業高は福島県南相馬市の住民が毎年育てているサルビアの種を譲り受けて栽培し、10月に都内で開かれるイベントなどで展示・配布する。東日本大震災の記憶が風化しないよう願いを込めた。生徒や教職員は他の都内の農業高にも参加を呼び掛け、4年後の東京五輪・パラリンピックに向けて都内を彩り、盛り上げようと活動の継続を誓っている。
 サルビアは南相馬市鹿島区上栃窪地区の住民が毎年県道沿いの花壇に植えてきた。古里を彩ろうと30年以上続けている。震災後は福島民報社などが取り組む「スマイルとうほくプロジェクト」として同地区にスマイルマークの花畑を作った。取り組みに共感した東京都渋谷区の渋谷公園通商店街振興組合が種をもらって都内で栽培し、その種を都立農業高が譲り受けた。
 学校では都市園芸科の生徒や教職員が6月に約1千粒の種をまき、敷地内の温室で500鉢を栽培している。同校の片山南美子教諭(45)の指導を受けた生徒が残暑の続く中、温度調節に気を配り、交代で水やりや植え替えを続けている。
 7月に1度咲いたが花を切り、催事に合わせて再び開花するよう調整している。1年の箕輪玲那さん(15)は「花は被災地の方が思いを込めて育ててきた。大切に栽培し後輩にも受け継ぎたい」と額の汗を拭った。
 育てたサルビアは10月下旬に都内の日比谷公園で開かれるガーデニングショーや11月5、6日の文化祭で展示や配布を予定している。南相馬市の住民が育てた花の子孫であることを紹介し、震災の地震や津波、東京電力福島第一原発事故で受けた被害、命の大切さ、日本中で生まれた絆について思い起こしてもらう。毎年継続するほか、都内に4つある他の農業高にも同じ取り組みを広めたいと考えている。
 同校はこれまで都内で開かれたスポーツの各種国際大会で主催者の依頼を受け、生徒が育てた花で会場を彩ってきた。平成32年の東京五輪・パラリンピックに向けての盛り上げを見据える。
 斎藤義弘校長(56)は伊達市出身。実家は果樹農家で、県内の風評被害にも心を寄せる。「震災と原発事故を忘れないよう栽培を続ける。地域をサルビアで彩る試みも検討したい」と活動を後押しする。
 上栃窪行政区前区長の佐藤紀男さん(69)は「地域で長年育ててきたサルビアを都内で栽培してもらえることは最高の喜び。見る人の心を明るくしてほしい」と期待を寄せている。

福島民報社

最終更新:9/5(月) 10:22

福島民報