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【8月米雇用統計】FRBに9月利上げを確信させるには、力強さに欠ける結果と判断

ZUU online 9月5日(月)19時50分配信

■結果の概要:雇用増加数は3ヵ月ぶりに20万人割れ、市場予想も下回る

9月2日、米国労働省(BLS)は8月の雇用統計を公表した。非農業部門雇用者数は、前月対比で15.1万人の増加(*1)(前月改定値:+27.5万人)となり、3ヵ月ぶりに20万人を下回ったほか、市場予想の+18.0万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)も下回った。

失業率は4.9%(前月:4.9%、市場予想:4.8%)とこちらは前月に一致、市場予想は上回った。一方、労働参加率(*2)は62.8%(前月:62.8%)と前月から横這いとなった。

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(*1)季節調整済の数値。以下、特に断りがない限り、季節調整済の数値を記載している。
(*2)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に対する労働力人口(就業者数と失業者数を合計したもの)の比率。
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■結果の評価:雇用者数、賃金ともに伸びが鈍化、9月利上げを確信させるには力不足

8月の雇用増加数は、6、7月の増加ペースが月間20万人台後半と持続不可能な水準となっていたことから、前月からの伸び鈍化は予想通りである。

また、市場予想を3万人程度下回ったものの、後述するように7月の数値が2万人上方修正されたことから、市場予想に近い結果であったとも言える。ただし、雇用増加ペースが大きく低下した5月からの3ヵ月平均が19万人増となっていたことを考慮すれば、8月の結果は5~7月の増加ペースに比べてやや鈍化が大きかったと評価すべきだろう。

一方、家計調査では失業率、労働参加率ともに前月と同水準となっており、8月は労働需給に一段の改善はみられなかった。さらに、時間当たり賃金(全雇用者ベース)は、前月比が+0.1%(前月:+0.3%、市場予想:+0.2%)と前月、市場予想を下回る伸びに留まったほか、前年同月比でも+2.4%(前月:+2.7%、市場予想:+2.5%)と、こちらも前月、市場予想を下回っており、賃金の伸び加速はみられなかった。

このようにみると、8月の結果は労働市場の回復基調の持続を示したものの、雇用や賃金の伸びが鈍化していることから、労働市場回復の力強さを感じられるものではなかった。

7月のFOMC議事録では、追加利上げ時期について意見集約されていないことが示されていた。その後、先月下旬のジャクソンホールでのシンポジウム以降、FRB関係者から追加利上げに前向きな発言が続いたことから、市場の一部には8月の雇用統計が市場予想並みの結果となる場合にはFRBが9月に追加利上げを実施するとの見方がでていた。

しかしながら、8月の結果は、9月のFOMCにおいて追加利上げで意見集約できるような強い結果でなかったとみられる。このため、筆者は、9月追加利上げの可能性は低いと判断している。

■事業所調査の詳細:製造業、建設業で雇用が減少

事業所調査のうち、非農業部門雇用増の内訳は、民間サービス部門が前月比+15.0万人(前月:+21.4万人)と前月を下回った。

サービス部門の中では、小売が前月比+1.5万人(前月:+1.1万人)と前月から増加したほか、情報関連が+0.4万人(前月:▲0.4万人)とプラスに転じた。しかしながら、人材派遣業が▲0.3万人(前月:+1.3万人)と減少に転じるなど、専門・ビジネスサービスが+2.2万人(前月:+8.0万人)となったほか、医療サービスも+1.4万人(前月:+4.5万人)となるなど、幅広い業種で前月から雇用の伸びが鈍化した。

財生産部門は、前月比▲2.4万人(前月:+1.1万人)と減少に転じた。資源関連が▲0.4人(前月:▲0.5万人)と雇用減少が持続したほか、製造業▲1.4万人(前月:+0.6万人)や建設業▲0.6万人(前月:+1.1万人)も減少に転じた。

政府部門は前月比+2.5万人(前月:+5.0万人)と前月から伸びが鈍化した。内訳をみると連邦政府が+0.1万人(前月:+0.2万人)、州・地方政府も+2.4万人(前月:+4.8万人)といずれも鈍化した。

前月(7月)と前々月(6月)の雇用増(改定値)は、前月が+27.5万人(改定前:+25.5万人)と+2.0万人上方修正された一方、前々月は+27.1万人(改定前:+29.2万人)と▲2.1万人下方修正された。この結果、2ヵ月合計の修正幅は▲0.1万人の下方修正となった。

なお、BLSの公表に先立って8月31日に発表されたADP社の推計は、非農業部門(政府部門除く)の雇用増が+17.7万人(前月改定値:+19.4万人、市場予想:+17.5万人)となり、大幅に上方修正された前月改定値は下回ったものの、市場予想は上回った。

8月の賃金・労働時間(全雇用者ベース)は、民間平均の時間当たり賃金が25.73ドル(前月:25.70ドル)となり、前月から+3セント増加した。一方、週当たり労働時間は34.3時間(前月:34.4時間)と、こちらは前月から減少した。その結果、週当たり賃金は882.54ドル(前月:884.08ドル)と、6ヵ月ぶりに前月から減少した。

■家計調査の詳細:労働参加率、失業率の改善は足踏み

家計調査のうち、8月の労働力人口は前月対比で+17.6万人(前月:+40.7万人)と前月から伸びは鈍化したものの、3ヵ月連続の増加となった。内訳を見ると、失業者数が+7.9万人(前月: ▲1.3万人)と前月から増加に転じたものの、就業者数が+9.7万人(前月:+42.0万人)と前月から大幅に伸びが鈍化した。

非労働力人口は+5.8万人(前月:▲18.4万人)と、3ヵ月ぶりに増加した。この結果、労働参加率は62.8%(前月:62.8%)と前月から横這いとなった。

失業率は、小数第2位までとると8月は4.92%(前月:4.88%)となり、3ヵ月ぶりに悪化した。このように8月の家計調査では、労働需給の改善は足踏みする結果となった。

次に、8月の長期失業者数(27週以上の失業者人数)は、200.6万人(前月:202.0万人)となり、前月対比では▲1.4万人(前月:+4.1万人)と3ヵ月ぶりに減少した。この結果、長期失業者の失業者全体に占めるシェアは26.1%(前月:26.6%)となったほか、平均失業期間も27.6週(前月:28.1週)と、いずれも3ヵ月ぶりに改善した。

最後に、周辺労働力人口(171.3万人)(*3)や、経済的理由によるパートタイマー(605.3万人)も考慮した広義の失業率(U-6)(*4)をみると、8月は9.7%(前月:9.7%)と、前月に一致した(図表8)。この結果、通常の失業率(U-3)と広義の失業率(U-6)の差は4.8%ポイント(前月:4.8%ポイント)と、前月から横這いとなった。

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(*3)周辺労働力とは、職に就いておらず、過去4週間では求職活動もしていないが、過去12カ月の間には求職活動をしたことがあり、働くことが可能で、また、働きたいと考えている者。
(*4)U-6は、失業者に周辺労働力と経済的理由によりパートタイムで働いている者を加えたものを労働力人口と周辺労働力人口の和で除したもの。つまり、U-6=(失業者+周辺労働力人口+経済的理由によるパートタイマー)/(労働力人口+周辺労働力人口)。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

最終更新:9月5日(月)19時50分

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