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緩和推進には利回り曲線への影響考慮、3次元以外も議論=日銀総裁

ロイター 9月5日(月)12時11分配信

[東京 5日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は5日都内で講演し、マイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)の推進にあたっては、イールドカーブ(利回り曲線)と金融仲介機能への影響を踏まえて判断していく必要がある、と語った。

また、量・質・金利の3つの次元の緩和手段の拡大は「まだ十分可能」とし、それ以外のアイデアも議論の対象になる、との見解を示した。

総裁は、9月20━21日の金融政策決定会合で議論する「金融緩和政策の総括的な検証」をテーマに講演した。

検証のポイントには、2%の物価安定目標を早期に実現する観点から、1)2013年4月のQQE導入以降、金融政策がどのように機能し、何が2%の実現を阻害したのか、2)マイナス金利付きQQEの効果と影響━━を挙げた。

このうちマイナス金利付きQQEの効果と影響では、マイナス金利と大規模な国債買い入れの組み合わせで「イールドカーブ全体の低下に大きな効果をもたらした」とし、「この枠組みは極めて強力であることがはっきりした」と断言。貸出や社債などの金利が低下し、「マイナス金利政策は企業や家計の資金調達コストの低下にしっかりとつながっている」と評価した。

現段階で貸出金利の低下による金融機関の収益圧迫で「金融仲介機能が悪化する事態にはなっていない」としながらも、長く金融機関間の競争が続いてきたことなどから、日本の場合は「マイナス金利が金融機関の収益に与える影響が相対的に大きい」と指摘。

保険や年金の運用利回り低下や、退職給付債務の増加などによるマインド面も通じた経済への悪影響も指摘し、マイナス金利付きQQEの推進にあたっては「強力なイールドカーブへの影響力と、広い意味での金融仲介機能への影響を踏まえながら、判断していく必要」があると語った。

市場では日銀の緩和策の限界も指摘されているが、総裁は「金融政策で意識すべきは限界ではない」と強調。量・質・金利の3つの次元の緩和手段の拡大は「まだ十分可能。それ以外のアイデアも議論の俎上(そじょう)から外すべきではない」とし、経済・物価に加えて「金融」の状況も踏まえ、「最も適切な政策対応を検討していく」と述べた。

追加緩和は「日本経済全体にとって必要であれば、ちゅうちょすべきでない」と述べ、「日本経済にとって2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することのベネフィット(利益)は大変大きい」と締めくくった。

*内容を追加します。

(伊藤純夫、竹本能文)

最終更新:9月5日(月)14時9分

ロイター