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「LINEモバイル」で格安プラスαの価値を――LINEがMVNOに参入した理由

ITmedia Mobile 9月5日(月)23時49分配信

 LINE、Twitter、FacebookのSNSが使い放題となるLINEのMVNOサービス「LINEモバイル」の詳細が発表された。サービスはLINEの100%子会社であるLINEモバイルが提供する。

【「LINEフリー」プランの詳細】

 LINEはなぜ、MVNO事業に参入したのか? 数あるMVNOサービスの中で、LINEモバイルはどのように差別化を図っていくのか?

●料金と品質プラスαが求められている

 LINEの舛田淳取締役は、「スマートフォンは、私たちの生活でなくてはならない不可欠な存在であるにもかかわらず、日本ではまだ半分近くのユーザーがスマートフォンを使っていない」と現状を説明する。その理由として「月額通信料が高い」「自分に合ったプランがない」「通信量制限に悩まされている」という3つを挙げ、「料金と実際のニーズにギャップがある」と舛田氏は説明する。

 MVNOが増えて、大手キャリアよりも安いサービスは多数あるが、スマートフォンの普及率が爆発的に伸びているわけではない。一方で、「SNSやメッセンジャーさえ使えればいいという声さえ聞こえる」「ゲームや動画のリッチコンテンツの利用が急速に上がっている」と舛田氏が話すように、スマートフォンの用途は多様化している。

 「ユーザーニーズを満たすには品質や価格と、さらにプラスαが求められている。そのためにMVNOに参入した」と舛田氏は語る。そんな中でLINEが着目したのが、スマートフォンでも特に利用率が高い「SNS」。「SNSはよく使うけど、他のサービスは使わない。でも速度制限に悩まされている」といったユーザーに対して、LINEが使い放題になる「LINEフリー」と、LINE/Facebook/Twitterが使い放題になる「コミュニケーションフリー」を提案する。

 LINEモバイルの嘉戸彩乃社長によると、プラン名の「フリー」には、「利用シーンがフリーであること」と「制限や複雑な条件がないこと」という意味が込められているという。

 月額500円~/1GBのLINEフリーは「LINEを始めたいからスマートフォンを使いたい」「グループチャットして家族とコミュンケーションをしたい」というユーザーに向けたエントリープラン。他社のデータ専用1GBプランは「イオンモバイル」は月額480円、「FREETEL SIM」が月額499円で、LINEモバイルは「LINE使い放題」を含めて月額500円からなので、競争力のあるプランだといえる。

 月額1100円/3GB~月額2640円/10GBのコミュンケーションフリーは一般ユーザーからヘビーユーザーまでをカバーするプラン。他社の3GBプランは「IIJmio」「BIGLOBE LTE・3G」をはじめ900円前後が多いが、+210円でLINE、Twitter、Facebookが使い放題になるのは、3サービスのヘビーユーザーにとってはお得だ。

 「LINEモバイルは、最低限の料金で済ませたいという人に向いているし、子供に持たせてもよい。フィルタリングも無料で提供するので、安全に使える。子供とLINE、Facebook、Twitterだけできればいいというニーズには応えられる。サブ端末、サブアカウントとして使うヘビーユーザーにも対応できる」と舛田氏は多彩なユーザーに訴求できることを強調する。

●カウントフリーはNTTコムが支援

 LINEモバイルの肝である「SNSのカウントフリー」は、NTTコミュニケーションズがMVNEとして技術を提供している。NTTコムも自社のMVNOサービス「OCN モバイル ONE」で、「050 plus」や「マイポケット」などの通信量をカウントしない「カウントフリー」を提供しており、そのノウハウが生かされているとみられる。

 嘉戸氏によると、NTTコムが保有する設備で、タグから対象サービスのIPアドレス、ポート番号、パケット内容のヘッダの一部を機械的、機動的に識別することでカウントフリーを実現しているという。なおパケット内容にテキスト・画像・動画は含まれない。「対象サービスは日々進化し、タグも日々変化している」(嘉戸氏)ため、正確に識別するには、コンテンツプロバイダー(今回はLINE、Twitter、Facebook)との密接な連携が必要になる。「パートナーシップを組んだ状態でやるからこそ、カウントフリーの対象にする・しないをきちんと判別できる」と舛田氏は胸を張る。

 こうしたサービスでは、何らかの不具合によって実際は通信量がカウントされていた――という恐れもあるが、同様のサービスで実績のあるNTTコムが開発に携わり、しかもコンテンツプロバイダーともしっかり情報共有しているということで、信頼できるシステムと考えてよさそうだ。

 また、LINEのカウントフリーを導入する際に「LINEモバイル以外にパートナーシップを組んでいるMVNOはいない」(舛田氏)そうで、多くの時間や技術を要するため、現時点で他のMVNOとパートナーシップを結ぶ予定もないとのこと。

 カウントフリーを利用するにあたっては、ユーザーに対して、利用時に明確な同意を求め、同意をしないとLINEモバイルは利用できない。カウントフリーは全プランに導入されているので、カウントフリーをやめたい場合にはLINEモバイルを退会する必要がある。

 今後は音楽配信サービス「LINEミュージック」もカウントフリーの対象に追加する予定。LINEゲームについては「今回はスマートフォンユーザーで最もニーズの大きいところ(SNS)からスタートした。その次に、少し狭くて深いところにチャレンジしていきたい」(舛田氏)とのことで、対応する可能性はあるようだ。

●MVNOとして初めてLINEの年齢認証が可能に

 MVNOサービスとしては初めて、LINEの年齢認証が可能になったのも特筆すべき点だ。これまで、LINEで年齢認証ができるのは大手キャリアのみで、MVNOだと18歳未満と見なされ、ID検索ができなかった。

 LINEモバイルに契約できるのは18歳からだが、親が契約をして子供に利用してもらうケースもあるので、契約者と利用者を識別する仕組みを導入した。

 他のMVNOに年齢認証の仕組みを開放するかについては未定。「MVNOの契約者が親、利用者が子供だと、親の年齢で認証されてしまうという問題がある。LINEとして未成年者を守っていきたい。契約者と利用者を認識するのは今回が初めてなので、まずは自分たちのサービスできちんとやっていきたい」(嘉戸氏)

 データ通信専用SIMでも、LINEアカウントをFacebook認証やSMSの認証なしで作成できるのも便利なポイントだ。

●リアル店舗での販売も視野に

 LINEモバイルの販売は当初はWebのみだが、嘉戸氏によると、今後はLINE STOREや量販店での販売も視野に入れているとのこと。舛田氏も「当然、オンラインだけでは私たちが目指す、スマートフォンの普及率を100%に近付けるには不十分だと思っている」とコメントしている。

 MNPについては、ユーザーが任意のタイミングで切り替えられる仕組みを導入しているので、SIMカードが届くまで“不通”になってしまうことは防げる。

 支払いはクレジットカードとLINE Payで対応する。口座振替については「ユーザーからの強い要望をいただいてから対応したい」(嘉戸氏)とした。またLINE Payカードなら未成年でも作成できる。

 サポートについては、電話とメールで対応するほか、有人チャットも準備中とのこと。

 端末については富士通、シャープ、ASUS、Huawei、ZTEから幅広いモデルをそろえたが、LINEモバイルのオリジナル端末の登場にも期待したい。「エントリーユーザーからヘビーユーザーまで、国内メーカーから海外メーカーまで、いろいろなニーズに応えたのが今回の端末。種類は十分かなと。ただ、新しい端末が発売され、メーカーとの話し合いが済めば、拡張していく」(舛田氏)

 今回発表したサービス内容は「LINEモバイル 1.0」という位置付けで、ユーザーからの要望を踏まえて、随時サービスを強化していく。

 「既にいろいろな声を頂いているので、これをベースに、進化した(LINEモバイルの)2.0をできるだけ早くお見せしたい。われわれの言う『早く』というのは、それほど時間を掛けるものではない」と舛田氏は話し、スピーディーなサービス強化にも意欲を見せた。

最終更新:9月6日(火)1時49分

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