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【あの時・延長50回の死闘】(4)「勝った喜びより終わった喜び」

スポーツ報知 9月5日(月)15時8分配信

▽全国高校軟式野球選手権・準決勝 中京3―0崇徳=延長50回=(2014年8月28~31日・兵庫、明石トーカロ)

【写真】試合会場だった明石トーカロ球場には、試合のスコアシートが記されたプレートが設置されている

 4日目に入った準決勝の一戦は、延長46回から再開された。ただ、すでに2日間延期されていた決勝戦の開催リミットがこの日。勝者はそのままダブルヘッダーで決勝戦に臨むため、規定により、残り9イニングの54回で決着がつかなければ抽選で決勝進出チームを決めることになっていた。50回表、中京の攻撃。ついに試合が動いた。

 先頭の8番・西山裕基捕手(3年)が内野安打で出塁。次打者は、投前への送りバント。崇徳・石岡が反応し、二塁へ送球したが、自身の感覚とは違って間に合わなかった。「疲れから下半身が言うことを聞かなくて。手投げになってしまった」。これが犠打野選となると、続く打者にも四球を与え無死満塁になった。

 そして、2番・後藤敦也二塁手(3年)がこの試合21度目の打席に入った。石岡の2球目、直球を捉えた当たりは右翼線へ。2点タイムリー二塁打で、ついに均衡が破られた。

 実は、捕手・沖西佑太(2年)のサインはスライダーだった。石岡は首を縦に振らなかった。「満塁になった時、自分のなかで全球真っすぐでいこうって決めたんです。これで抑えたら格好いいなって。それが甘く入って…」。なおも無死二、三塁、投ゴロの間に3点目を追加された。

 待望の援護をもらった50回裏、中京・松井は2死一塁から気力を振り絞り、最後の打者を空振り三振に仕留めた。28日午前9時59分に始まった試合は、31日午前10時2分にゲームセット。

4日間、10時間18分の死闘に終止符が打たれた。「勝った喜びというよりかは、ようやく終わった喜びの方が大きかったですね」(松井)。そう、忘れてはならないのだが、勝った中京ナインにはダブルヘッダーの決勝戦が待っていたのだ。

 激闘の決着から、わずか2時間足らずで迎えた決勝戦。松井は「正直、投げられる状況ではなかった」とベンチスタートだったが、0―0の4回途中から救援のマウンドへ。味方打線が6、7回に1点ずつを奪うと、8回からは6者連続三振を奪い、2年ぶりの全国制覇を成し遂げた。

 1回戦から決勝までの4試合で計1047球を投げ抜いた松井。計75回2/3を1失点、防御率は圧巻の0・12だった。(種村 亮)=敬称略=

 ◆石岡 樹輝弥(いしおか・じゅきや)1996年6月19日、広島・広島市生まれ。20歳。小学4年から「安佐クラブ」で野球を始める。安西中では軟式野球部でプレー。崇徳高では1年夏からベンチ入り。福岡大では工学部に所属。球種はスライダー、チェンジアップ、カーブ。168センチ、58キロ。右投左打。

最終更新:9月5日(月)15時34分

スポーツ報知

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