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死して7年、なお主役 青森の基幹種雄牛「第1花国」

デーリー東北新聞社 9月5日(月)11時11分配信

 枝肉重量や脂肪交雑(霜降り)で優れた肉牛を生産する上で、重要なのが基幹種雄牛の存在だ。青森県内では、県産子牛の評価を高めた名牛「第1花国」が2009年に死んだが、冷凍精液を使って多くの子牛が生産され、今なお主力として君臨する。一方、後継として期待される基幹種雄牛も続々と登場。“ポスト第1花国”の座を巡る動きも活発化している。

■とんでもない経済効果

 牛肉輸入自由化で日本短角種から黒毛和種への転換が県内で急がれる中、1993年に誕生したのが第1花国だった。

 当初は無名時代が続いたが、02年、「和牛五輪」として5年に1度開催される全国和牛能力共進会に出品された子牛が6位入賞し、全国的に知られるように。その後、全国三大枝肉共励会で計5度の最高賞に輝き、地位を確立した。

 07年には“花国効果”で県家畜市場(七戸町)の年間の子牛平均価格が全国トップに。全国から購買者が詰め掛け、下位に甘んじていた県産子牛の価値を押し上げた。ある関係者は「とんでもない経済効果を生み出した」と賞賛する。

 ■さらに10年

 10万9千本―。第1花国が死んだ際に注目を集めた、冷凍精液の本数だ。当時は年間1万本以上を販売していたため、10年で在庫が切れるといわれたが、近年は年間2千~3千本で推移。現在の在庫は約5万本で、さらに10年以上は供給できる見通しとなっている。

 冷凍精液の製造・販売や種雄牛の選抜を手掛ける、県産業技術センター畜産研究所(本所・野辺地町)によると、県内の繁殖用雌牛の25%を第1花国系統が占めており、近親交配を避ける動きから販売ペースが落ち着いてきたという。

 依然として人気は根強く、県家畜市場には毎月、第1花国系統の子牛が100頭近く上場される。種雄牛別ではダントツだ。

 同研究所の石山治所長は「死んでかなりたつが、人気が衰えない。最近になって新たに人気となっている交配パターンも出てきている。つくづくすごい牛だと思う」と舌を巻く。

 ■名牛に続くのは

 黒毛和種は肉質に優れた兵庫系、発育や繁殖牛の資質に優れた島根系、発育能力や体格に優れる気高系の三つに大別。基幹種雄牛を決める上で、重要なポイントとなっている。

 これまで県の基幹種雄牛に指定されたのは9頭。13年に「優福栄(ゆうふくさかえ)」が急死し、現在生存しているのは島根系の第1花国を父に持つ「第2花国」、気高系の「光茂(みつしげ)」、兵庫系の「平安平(ひらやすひら)」の3頭となっている。

 中でも指定から日が浅く、後継として期待が大きいのが平安平だ。青森、宮崎両県が実施した第1花国と「安平」との精液交換事業で誕生し、母は気高系の代表格の系統。青森県の枝肉検定で、脂肪交雑を表す指標で最高成績を収めた。

 県家畜市場で4月に9頭だった平安平の子牛は、今月は63頭まで増加する見込み。第1花国に次ぐ上場頭数で、市場での主役になりつつある。来年、宮城県で開かれる和牛五輪への出場も有望視される。

 同研究所和牛改良技術部(つがる市)の阿保洋一研究管理員は「後継牛づくりを進め、生産者が安心して取り組めるような青森独自の血統を確立したい」と意気込んでいる。

デーリー東北新聞社

最終更新:9月5日(月)11時11分

デーリー東北新聞社