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本道に相次いだ台風上陸 偏西風や気圧配置で北上

苫小牧民報 9月5日(月)15時49分配信

 8月に相次いで北海道への上陸や接近を繰り返した台風。大雨などにより、河川の氾濫や土砂崩れ、道路の寸断、農地冠水など胆振日高地方にも大きな被害をもたらした。観測史上初の異常な気象状況となった背景について、札幌管区気象台気象防災部地球環境・海洋課の中山寛予報官に聞いた。

 ■8月に6回も本道に台風が接近、上陸した理由

 今年8月は平年に比べて日本の南側の海面水温が平均で1・5度ほど高く、台風の種となる積乱雲が発生しやすい状況にあった。気圧配置に関しては、太平洋北東側で高気圧が平年より強く、日本列島が気圧の谷となり、発達した台風が北上しやすい状況だった。

 偏西風の蛇行も、北海道に台風が上陸しやすい条件となったため、発生した台風の多くが北海道に上陸、接近した。3度上陸した台風の進路になった道東方面に特に大量の雨が降り、甚大な被害をもたらしたと考えられる。

 台風が発生しやすい海面水温、北上しやすくさせた気圧配置、偏西風の蛇行など、あらゆる条件が重なった要因は不明だが、観測史上初という状況をつくり出す条件が整ってしまったというのが実情だ。

 ■雨もかなり多かったが

 今年8月は、北日本で太平洋側を中心に降水量が多く、平年の2倍以上となっている。特に北海道では、連続して上陸した台風の影響で、8月の降水量が道内225観測地点のうち、89地点で過去最高を更新。道東では平年に比べ3倍の降水量を記録した。胆振日高の観測地点でも降水量がかなり多い所があった。

 1976年から2015年までの国内の短時間強雨発生回数を10年単位ごとに見ると、1時間降水量50ミリ以上の年間発生回数は平均で19・9回、80ミリ以上は2・2回それぞれ増え続けている。特に1990年代後半以降、1時間当たり80ミリを超える降水量の発生回数が増えており、全国的に豪雨の発生頻度が増加傾向にあると言える。

 道内においても、例えば1時間降水量30ミリ以上の年間発生回数は年々多くなっている状況にある。90年代後半からほとんどの年で20回を超え、2010年以降は急激に多くなり、10年、12年、13年は60回を超えている。

 海面水温も気温と同じ程度、この100年で1度前後上昇しているため、水蒸気を含む量が多くなり、いったん飽和すると一度に降る雨の量が多くなる傾向にある。全国、全道的に見ても、一度に大量の雨が降る傾向は右肩上がりで増えており、地球温暖化の影響もあると考えられる。

 ■どう備えるべきか

 気象庁発表の向こう1カ月の予報では、8月と同じような気圧配置が続くと予測されている。台風シーズンと重なることもあって、9月も台風に十分な注意が必要だ。

 気象庁のホームページなどでは、1時間後の雨雲、風速、波の高さなどの予報も公表しており、こうした気象予報をチェックした上で事前の対策を講じる必要がある。台風から温帯低気圧に変わったと報道されても、気圧などの構造上、名称が変わるだけなので、雨量や風の強さは台風並みに強い場合もあり、温帯低気圧になったからと油断せず、気象情報を確認してほしい。

 各自治体でハザードマップが作成されているので、事前に住んでいる場所が浸水地域かどうかなどをチェックし、避難経路、危険箇所なども確認しておいてほしい。

 自治体が出す避難準備情報は、自主避難と理解されがちだが、災害が発生するかもしれないので、避難に時間がかかる体の不自由な人などは早めに避難してほしいという意味。準備情報だからと油断せず、天候が荒れる前に避難しておく必要がある。10月までは台風シーズン。9月も接近、上陸のリスクが高いので、身を守るためにも気象情報や防災情報にアンテナを張ってほしい。

最終更新:9月5日(月)15時49分

苫小牧民報