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【漢字トリビア】「宇」の成り立ち物語

TOKYO FM+ 9/5(月) 18:00配信

「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「宇宙」の「宇」。
9月12日の“宇宙の日”に向けて、TOKYO FMでは宇宙にまつわる様々な企画をお届けしています。9月19日には中川翔子さん、国立天文台の渡部潤一先生がナビゲーターとなり、歌手・声優の水樹奈々さんも語り手として登場する、宇宙や星座にまつわる情報を紹介する特番「三菱電機 presents 星に願いを ~The Celestial Railroad~」も放送。
天高くなる秋、さらに遠く、宇宙の果てに想いをはせてみたい季節です。今回は「宇」に込められた物語を紹介します。

「宇」という漢字は「宀(うかんむり)」の下に、先端がゆるく曲がった大きな刀を意味する形、「于(ウ)」と書きます。
屋根を表す「うかんむり」に「長く曲がったもの」を意味する字を添え、大きな家の「のき・やね」を示しているといいます。
そこからさらに地上をおおう、すべてものを包み込む大きな空間、「宇宙」の「宇」として使われるようになりました。
いにしえの人々にとっての「宇宙」とは、頭上に広がる空のまた上、遠く果てない別世界。
そこに彼らは、輝く光のはしごや鋭い雷の剣、美しい水をたたえた湖を思い描いていたのかもしれません。

9月12日は公募で定められた記念日、「宇宙の日」。
日本人初のスペースシャトル搭乗者、宇宙飛行士の毛利衛さんがはじめて宇宙へ飛び立った日です。
そのとき、毛利さんは宮沢賢治の詩を宇宙へ持っていきました。
彼は、同じ科学者としての目をもつ賢治のことばに影響を受けたといいます。
そんな毛利さんが宇宙で驚いたのは、地球をとりまく空気の色。
宇宙から見た地球は、賢治の作品で表現されていた色そのものをまとっていました。
炎のような、輝ける青。
賢治は、宇宙へ旅立つ日を夢にみながら、果てしない想像の力でその姿を描いていたのでした。

ではここで、もう一度「宇」という字を感じてみてください。

宇宙の中の地球、その地球の上に立つ自分を想像してみること。
それは、宇宙開発が進み続ける今、そう、難しいことではありません。
1990年、NASAの無人宇宙探査機ボイジャーが、およそ64億キロ離れた場所から撮影した、宇宙の中の地球。
その幻想的な青い輝きを放つ小さな点を、カール・セーガン博士は「ペイル・ブルー・ドット」と名づけました。
その写真を見ていると、こんな小さな点の上でひしめきあい、他人をおしのけ陣地を広げようとするおろかさに気づかされます。
――正しく強く生きるとは 銀河系を自らの中に意識して これに応じて行くことである
宮沢賢治は、宇宙的視点で世界全体の幸福を願いました。
おりしも、9月15日は中秋の名月。
輝く月のむこうに広がる壮大な宇宙を眺めながら、今、この時代のほんとうの幸福について、想いをめぐらせてみましょうか。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……、
ほら、今日一日が違って見えるはず。


*参考文献
『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)
『この人を見よ!歴史をつくった人びと伝16宮沢賢治』(プロジェクト新・偉人伝/編 ポプラ社)
『新しい宇宙のひみつQ&A』(的川泰宣/著 朝日新聞出版)

(TOKYO FMの番組「感じて、漢字の世界」2016年9月3日放送より)

最終更新:9/5(月) 18:00

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