ここから本文です

【U-18アジア選手権】決勝打はイメトレの賜物 日本を頂点へと導いたMVP納の心理

Full-Count 9/5(月) 22:17配信

前日に1番打者から降格「すごく悔しかったです」と奮起の決勝打

 三塁側に陣取る日本代表ベンチと応援団に、重くのしかかる雰囲気が一気に晴れた。第11回BFA U-18アジア選手権の決勝戦。チャイニーズ・タイペイと戦う日本は、再三得点チャンスを作るが1点が奪えず。自慢の守備にもミスが目立ち始めた6回裏の攻撃。相手の2四球をきっかけに、日本に2死一、三塁のチャンスが巡ってきた。打席に立つのは8番・納大地(智辯学園)。力一杯振り抜いた打球が一二塁間を破るライト前ヒットとなると、三塁走者の林中勇輝(敦賀気比)がホームイン。0-0の均衡が破られた。

過去10年の各球団ドラフト指名選手一覧

 あわよくば二塁を目指そうと一塁ベースをオーバーランした納は、相手野手が捕球するのを見て一塁で停止しようと判断。クシャクシャの笑顔で歓喜に沸くベンチに目を向けると、全身からあふれる喜びを抑えきれずに、大きくジャンピング・ガッツポーズを決めた。

 今大会は初戦から1番打者を任された。「選抜から出塁率がすごく高かった」という小枝守監督の期待を受け、1戦目の香港戦は3安打4打点の大活躍。その後も攻撃の起点となったが、セミファイナル2戦目の韓国戦からリードオフマンには松尾大河(秀岳館)が起用され、納は下位打線を打つことになった。指揮官は「松尾君の気持ちの強さを生かしたかった。納君には打順を下げて自由度の高い打撃をして欲しかった」と打順変更の理由を明かしたが、納自身は「すごく悔しかったです」と振り返る。

 だが、そこで腐らないのが納の持ち味。「反骨精神じゃないですけど、自分が何とかしたいと思っていました」と打順降格を前向きに捉え、決勝戦という大舞台で虎の子の1点を叩き出した。この1点が決勝点となり、日本は2大会ぶり5度目のアジア王者に君臨。見事、納も大会MVPを手に入れた。

「ベンチの中までみんなが喜ぶ姿までイメージしてます」

 強豪・智辯学園に入学し、甲子園をはじめレベルの高い手に汗握る場面を何度も何度も経験した。伝統校で教わったのは「周りが緊張するような場面でも、しっかり自分を見失わずに、いつも通りのプレーをすること」だという。「国際大会でも智辯学園の教えが生きました」と誇らしげに胸を張る。

 例えば、1点を追う9回裏2死一、二塁。長打で同点、一発で逆転サヨナラという場面で、納は「自分のところに打席が回ってこい」と願うタイプだという。「自分が決めてやる、自分のところに回ってこいってワクワクしますね」という強心臓。試合前、そして打席へ向かう前にはイメージトレーニングを欠かさない。

「自分のヒットで点が入って、ベンチの中でみんなが喜ぶ姿までイメージしてます」

 決勝戦は、頭の中で何度もイメージしたシーンが現実となった。国際大会での優勝が掛かった大事な一戦。一塁ベースを越えたところで生まれた渾身のガッツポーズは、たまたま生まれたラッキーな安打を喜んだのではなく、自分の思い描いたイメージを現実のものとしたことに対する達成感の表れだった。

 閉会式で「Most Valuable Player(MVP)」と書かれた記念プレートを受け取ると、ここでも少し誇らしげに胸を張った。MVP獲得まではイメージし切れていなかったかもしれないが、それはうれしいサプライズ。最高の結果をイメージしながら、これからも野球人生を突き進んでいく。

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

最終更新:9/5(月) 22:17

Full-Count

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

失うことで不完全さの中に美を見出した芸術家
画家のアリッサ・モンクスは、未知のもの、予想しえないもの、そして酷いものにでさえ、美とインスピレーションを見出します。彼女は詩的で個人的な語りで、自身が芸術家として、そして人間として成長する中で、人生、絵の具、キャンバスがどう関わりあってきたかを描きます。 [new]