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[ニュース分析]手が付けられない「物流大乱」被害はなぜ大きくなったか?

ハンギョレ新聞 9月5日(月)11時56分配信

19カ国44港湾で韓進海運船舶69隻が足止め 貨物運搬の支障で最大140億ドル訴訟憂慮も 韓進海運、終盤まで経営陣・債権団が綱引き 韓国政府、不十分な事前準備と非常対策 遅れた「関係部署合同対策TF」構成

 韓進(ハンジン)海運が先月31日、企業再生手続(法定管理)に入った後、世界各地で運航に支障が出るなど「韓進海運発グローバル物流大乱」が手が付けられないほどに拡大している。韓進海運の構造調整は終盤まで経営陣と債権団の綱引きが続き、産業被害に対する韓国政府の対策が不十分だったという批判が強い。

 政府は4日午前、政府ソウル庁舎で海洋水産部のキム・ヨンソク長官主宰で企画財政部・外交部など9部署が参加して対策を協議した。政府は海洋水産部が運営中の非常対応班を「関係部署合同対策タスクフォース(TF)」として拡大改編することにした。

■世界各地で船舶68隻が運航支障

 海洋水産部と韓進海運の話を総合すれば、船舶68隻が19カ国44港湾で足止めされていることが明らかになった。今月2日の44隻、3日の53隻から一日でさらに14隻が増え、韓進海運船舶の運航支障が急速に拡大している。米国、中国、日本、スペインに続き、スリランカ、ベトナムなどでも船舶が入出港出来ずにいる。これらの国では港湾当局が入出港を阻んだり、荷役関連企業が未払いになっている代金を払えなどの理由で貨物の荷役作業を拒否している。

 最も緊急な問題は、韓進海運船舶に積載された輸出貨物だ。運航に支障が出て納期に遅れが相次いでいる。韓国船主協会は、韓進海運の船舶には貨物が約41万TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個)が載せられていると明らかにした。8281社の荷主が荷物を預け、貨物の価額だけで140億ドルと推算された。ややもすれば韓進海運が最大140億ドル規模の訴訟に巻き込まれると懸念されているのも、そのためだ。韓進海運事態で輸出に支障をきたす企業を支援するため、貿易協会内に設置した「輸出貨物貿易あい路申告センター」にも、今月1~2日の二日間に25件の被害申告が寄せられた。その合計被害額は50億ウォン(4億7000万円)になる。

 路線運賃も暴騰している。韓進海運の主力路線である釜山~米ロサンゼルス路線のコンテナ船運賃は、僅か一日で1FEU(40フィートコンテナ1個)当たり1100ドル台から1700ドルに55%も急騰した。韓国~パナマ~米国東海岸を結ぶコンテナ路線の運賃も50%騰がった。

 米国の小売・流通企業にとっても非常事態になった。3日<マーケットウォッチ>の報道によれば、ウォルマートなど大型流通企業が会員になっている小売業指導者協会(RILA)のサンドラ・ケネディ会長は、米商務部と連邦海事委員会(FMC)に送った書簡で「(韓進海運の)物流支障とそれにともなう被害を最小化するために、韓国政府や他の利害関係者などと共に努力してほしい」と要求した。

■韓国政府の事前準備不良

 韓進海運の法定管理にともなう被害が拡大していることと関連して、政府の事前準備が不十分だったという批判が出ている。海運業の不況にともなう構造調整方案が検討されてから10カ月が過ぎたが、終盤まで韓進海運問題は「存続させるかどうか」に焦点が合わされていた。主務部署の海水産部も韓進海運を存続っさせる方に重きを置いていただけに、法定管理後の余波に対する政府次元のきめ細かい対策は不十分だった。

 足止めされている数十隻の韓進海運船舶に対して、韓国政府は特別な対策を出せなかった。傭船料、荷役・運搬費、装備賃借料など韓進海運の未払い代金だけで6500億ウォン(約600億円)だ。韓進海運が直接返済するか、債権団が支援をすれば解決の糸口を見つけられる。輸出企業は足掻くばかりだ。貿易協会に被害申告をした企業の関係者は「政府がこうした事態を予防できるよう、猶予期間を与えるなり、韓進海運利用企業にあらかじめ警告をすべきだった」と不満を露わにした。

 9~10月が海運業の最繁忙期という点も悪材料として作用している。収穫感謝祭やクリスマス商品を集中配送しなければならない9~10月は、一カ月前に予約しなければコンテナ船をおさえられない。韓国国内の荷主が他の国内外船舶を活用できるよう支援するという政府の対策は、現実を知らない机上の空論だということだ。現代商船の船舶を投入することにしたのも米国路線の場合、早くとも8日から、ヨーロッパ航路には今月第2週(12日から始まる週)からになる予定だ。納期が命の輸出業者にとっては苦しい状況だ。韓進海運が属した海運同盟の船会社に輸送支援を要請するという政府の計画は無用の長物になった。すでに海運同盟の“CKYHE”が韓進海運の貨物は載せないと宣言し、事実上退出措置を下したためだ。

キム・ソヨン記者、ワシントン/イ・ヨンイン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:9月5日(月)11時56分

ハンギョレ新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。