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[コラム]「北朝鮮崩壊論」とTHAAD

ハンギョレ新聞 9/5(月) 8:29配信

 昨今韓国の主要メディアが伝える北朝鮮「事態」を見ていると、北朝鮮はすでに崩壊過程に入ったように見える。朴槿恵(パククネ)大統領も北朝鮮のエリート層すら崩れるなど、深刻な亀裂の兆しを見せており、体制動揺の可能性が高まっていると述べた。今年の光復節(8月15日)の記念演説では、北朝鮮当局の幹部と全ての北朝鮮住民に統一時代を開くことに参加するよう呼びかけた。一言で言うと、北朝鮮は崩れかけており、統一は近づいているというニュアンスが漂っていた。北朝鮮崩壊論と統一大当たり論が今や一つになったような気がする。果たしてそうだろうか?

 振り返ってみると、北朝鮮の張成澤(チャンソンテク)処刑事件は、朴槿恵政権の「信頼プロセス」を抹消した事件でもあった。その時点で「統一大当たり論」が産声を上げたからだ。南北関係が対決に突き進む時点での「統一大当たり論」は、韓国主導の統一だけが「乱麻」を切る「快刀」であると訴えていた。北朝鮮が核開発で体制崩壊を早めているとしながら、統一を強調するのは、その統一が和解と協力によるものではないことを表明するものだった。結局、韓国が選択した統一の道とは制裁と圧迫であり、北朝鮮の「暴政」を終わらせるものといえるだろう。

 その制裁と圧迫の一端に中国がある。韓国は中国が動かなければ、制裁は焼け石に水になると信じている。中国が北朝鮮の核問題の解決において決定的な役割を果たしてくれることを望んでいたのもそのためだった。昨年朴槿恵大統領が同盟国の圧力にもかかわらず、(戦勝節記念式典に出席し)天安門の城閣にまで上った背景には、中国の役割を引き出す目的もあっただろう。

 北朝鮮がいきなり4回目の核実験を行ったことを受け、韓国はこれまでで最上の関係を維持している中国が「本格的な役割」をしてくれることを期待した。北朝鮮を窒息させるほどの制裁を望んでいたのだ。しかし、わずか数日で、韓国の期待は「怒り」に近い「失望」に変わった。そして高高度防衛ミサイル(THAAD)の導入が取り上げられた。中国を「狙った」側面がないとは言えない。韓米がTHAAD配備を決定すると、最上といわれた両国関係は一瞬で冷え切った。両国の信頼基礎がどれほど弱いものだったのかを見せる出来事だったと言えよう。

 韓国が配備しようとしているTHAADには、北朝鮮の核ミサイルを防御する機能と韓米同盟を強化する機能とがある。それに追加されたのが、中国を圧迫する機能である。事実、これまで北朝鮮の核問題をめぐる政局で、南と北の間でバランスを保ってきた中国は、最近数年間、韓国に傾き始めた。ところが、THAAD問題が起きたことで、中国人たちは圧倒的に反対方向に傾いた。中国と韓国、両国関係の本質的な性格が変わるほど、中韓関係は国交正常化以来、最大の危機に直面した。

 結果的に、韓中のTHAAD論争の中核には、北朝鮮の核と北朝鮮をめぐる両国間の認識の差がある。韓国は、北朝鮮核問題の究極的な解決が制裁と圧迫を通じた北朝鮮政権の交替や崩壊にあると判断しているようだ。なのに、中国が韓国に力を貸してくれることを望んでいる。中国は平和、安定、不戦、不乱を強調し、対話を通じた問題解決を主張している。「戦争も辞さない」とまで言い放つ韓国の一角にとっては陳腐な主張かもしれない。これを北朝鮮の核に対する容認と見なす人もいる。中国が北朝鮮をかばったため、(事態が)ここまで悪化したともいう。だから、THAADが嫌なら、北朝鮮の核とミサイルを除去しろという。結局、中国がTHAADの脅威を受けないためには、韓国と共に北朝鮮を強力に制裁して圧迫しなければならないという論理ではないか? その最後が北朝鮮という巨大な「セウォル号」の沈没につながった場合、代案はあるのだろうか?

 韓国の対北朝鮮政策は、北朝鮮の「体制崩壊」を誘導する方向に傾いているようだ。THAADもそのような文脈で中国に対する圧迫につながるものと見られる。それが可能だと思うなら、中朝関係70年の底力をあまりにも軽く見ているのではなかろうか? その一方で、結局、中国にとって最も大きな脅威は北朝鮮ではなく、米国だ。THAAD問題をめぐる中韓の軋轢と米中の軋轢が異なるのも、そのためだ。

金景一・北京大学教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

最終更新:9/5(月) 8:29

ハンギョレ新聞

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