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「もう汗だくや」かつての利用者が力に 大津市「こどもSWセンター」【子どもの貧困・先進地に学ぶ(5)】

沖縄タイムス 9/5(月) 6:30配信

 滋賀県大津市のこどもソーシャルワーク(SW)センター。社会福祉士の幸重忠孝代表らが家庭や学校でさまざまな困難を抱える子どもたちを支える拠点として2016年4月、民家を改装し、開設した。

 8月の盆休み前には関係者総出で大掃除。ボランティアの若者たちも作業を手伝った。かつて10代の居場所で支援を受けていた若者たちが現在、ボランティアスタッフとなり、活動を手伝っている。

 「掃除終わった。窓も拭いといたで」「そんなとこまできれいにしてくれたん?  ありがとう、メッチャ助かるわ」。職員からの感謝の言葉に若者が照れくさそうに笑う。「もう汗だくや、1回帰って着替えてくるわー」

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 センターで運営する夜の居場所「トワイライトステイ」は生活困窮家庭の子どもたちを支援。週1回午後5~9時、スタッフと一緒に食事や入浴、遊び、学習などをしながら家庭的な雰囲気で過ごす。安心できる居場所づくりのため、少人数の子にマンツーマンで対応している。

 スタッフの社会福祉士、木村友香理さんは「自然にしゃべってくれるまで無理せず待つ。最初はあっち行けーって言っていた子がだんだん本音を話すようになってきた」と手応えを語る。「自分を見てくれている大人がいるっていうことが、子どもには安心なんでしょうね」

 かつてトワイライトステイ利用者で現在、活動を手伝っている若者の一人は「そこに事務所があるから来るだけッス」と照れながらも「自分の弟や妹よりもかわいい」と話す。来所する子どもたちにとっては「お兄さん」的存在だ。

 高校中退後も「何となく」、トワイライトステイに通い続けてきた。他者と会話するのが苦手で通い始めた当初はほとんど無言で過ごしていたが、通い続けるうち、少しずつ話せるようになってきたという。

 代表の幸重さんは「当事者だった視点で不登校などの子に接することができるのは、彼らならではの特徴。大学生ボランティアにはできない」と評する。かつて支援対象だった若者たちがトワイライトステイの運営を手伝ったり、利用者の小学生と遊んだりするようになった“成長”を温かく見守る。「学齢期を終えると途切れてしまう支援が多いが、彼らにとっても引き続き居場所が必要。手伝う場面を増やすなど緩やかに移行しつつ、つながりを継続していければ」

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 現在コーディネートに関わる事業はトワイライトステイ2カ所、老人ホームなどを活用するフリースペース3カ所。合わせて約15人の子どもを支援している。軌道に乗った時点で手放しながら、徐々に居場所を増やしていく考えだ。

 幸重さんは「子どもや若者の生活圏にあることが大事。何歳になっても学校や就労などで困ったとき、気軽に立ち寄れる場所にしていきたい」と話す。「貧困の『貧』は政策による解決が必要だが、『困』は孤立を防ごうとする地域の力で、ある程度支えていくことができる」と強調する。(「子どもの貧困」取材班・田嶋正雄)

沖縄タイムス 子どもの貧困取材班

最終更新:9/28(水) 13:00

沖縄タイムス