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ドル・円反落、黒田総裁講演で103円前半-追加緩和具体策に踏み込まず

Bloomberg 9月5日(月)9時3分配信

5日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=103円台前半へ反落。日本銀行の黒田東彦総裁の講演で追加緩和の具体策について言及がなかったことから、円に買い戻しが入った。先週末には米雇用統計を受けて5週間ぶりに104円台前半までドル高・円安が進んでいた。

ドル・円は一時、前週末終値から64銭円高の103円28銭まで下落し、午後3時31分現在は103円46銭前後。早朝の取引では104円15銭までドル買い・円売りが先行したが、2日に付けた7月29日以来の高値104円32銭には届かず、黒田総裁の発言をきっかけにドル売り・円買いが強まった。

黒田総裁は都内で開かれた共同通信の「きさらぎ会」で講演し、20、21の両日開く金融政策決定会合でまとめる総括的な検証について、「市場の一部でいわれているような緩和の縮小という方向の議論ではない」と述べた。量、質、金利の各次元での拡大は「まだ十分可能だ」と述べるとともに、「それ以外のアイデアも議論の俎上(そじょう)から外すべきではない」と語った。

みずほ証券の金融市場調査部の山本雅文チーフ為替ストラテジストは、黒田総裁の講演について「総括的な検証で、少なくとも円安効果のある追加緩和のイメージができなかった」とし、21日の日銀会合までは「思惑で動きやすい」展開が続くと予想。「今は1日で1、2円平気で動いてしまう相場なので、今日とは限らないが103円割れというのは十分ある」と話した。

先週は米国の利上げ観測を背景にドル高・円安が進行。週末発表された8月の米雇用統計は市場予想を下回ったが、年内利上げの方向性は変わらないとの見方からドル高・円安が一段と進んだ。

米金利先物市場動向に基づくブルームバーグの算出によると、9月の米利上げの予想確率は9月2日時点で32%と前日の34%から若干低下。年内利上げの確率は59%と前日の60%とほぼ変わらずとなっている。

米雇用統計を受けて、ジャン・ハッチウス氏らゴールドマン・サックスのエコノミストは9月の米利上げの確率を55%と従来の40%から引き上げ、ビル・グロース氏は9月利上げがほぼ確実になったとの見方を示した。一方、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は9月は見送りと予想。バンク・オブ・アメリカ(BofA)やドイツ銀行のエコノミストも、9月利上げは困難との見方を示した。

三井住友信託銀行アーケット金融ビジネスユニットの細川陽介為替セールスチーム長は、ドル・円は米雇用統計後に104円台前半へ上がったが、「9月利上げへ前のめりになれる結果でもない中で、方向感が見えづらくなっている」と指摘。そうした中で、黒田総裁の講演は「上値を追っかけて買うほどの材料というわけでもない一方、緩和期待が残るという点では下値も限定的となりそうだ」と語った。

Hiroko Komiya

最終更新:9月5日(月)15時36分

Bloomberg