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日銀総裁:3次元以外も俎上に-総括検証は緩和縮小方向ではない

Bloomberg 9月5日(月)12時10分配信

日本銀行の黒田東彦総裁は5日昼、都内で開かれた共同通信の「きさらぎ会」で講演し、20、21の両日開く金融政策決定会合でまとめる総括的な検証について、「市場の一部で言われているような緩和の縮小という方向の議論ではない」と述べた。

黒田総裁は量、質、金利の各次元での拡大は「まだ十分可能だ」と述べるとともに、「それ以外のアイデアも議論の俎上(そじょう)から外すべきではない」とも語った。政策の「ベネフィット」と「コスト」の比較衡量は「状況によって異なる」と指摘した。

機動性を旨とする金融政策においては、経済・物価あるいは金融の状況によっては、「コストを考えた上でなお思い切った措置が必要になることは十分考えられる」と述べた。

日銀は7月29日の金融政策決定会合で、指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れペースを年間6兆円にほぼ倍増する追加緩和を行うとともに、マイナス金利付き量的・質的金融緩和の下での経済・物価動向や政策効果について、総括的な検証を行うと表明。政策委員会の議長である黒田総裁がその準備を執行部に指示した。

マイナス金利の影響

講演ではマイナス金利が金融機関の収益に与える影響についても言及。「これまでのところ、マイナス金利政策は企業や家計の資金調達コストの低下にしっかりとつながっている」としながらも、こうした評価は「あくまで、『これまでのところ』であって、この先、貸し出し等の金利の低下にどの程度波及するかは、一概には言えない」と述べた。

さらに、預金金利がそれほど低下していない中にあって、貸出金利が大きく低下したということは、「それが金融機関の収益を圧縮する形で実現しているということだ」と指摘。今後の貸出金利への波及についても「金融機関の貸し出し運営スタンスにも影響される面がある」とした上で、「金融仲介機能に与える影響についても考慮する必要がある」と述べた。

黒田総裁はマイナス金利がマインド面に与える影響についても言及した。マイナス金利導入後、長期金利や超長期金利の水準が大幅に低下しているが、こうした下で、「保険や年金の運用利回りの低下が見込まれており、貯蓄性の商品の一部で販売停止などの動きがみられている」と指摘。「一部には、割引現在価値でみた退職給付債務が増加し、減益要因となっている企業もみられている」と述べた。

その上で、「こうした現象が直接的にマクロ経済に及ぼす影響はそれほど大きなものではないかもしれない」としながらも、「マインドという面で、人々の間に広い意味での金融機能の持続性に対する不安をもたらし、経済活動に悪影響を及ぼす可能性には留意する必要がある」と述べた。

農林中金総合研究所の南武志主席研究員は、黒田総裁の講演内容について「マイナス金利は評判が悪い。新たに金融仲介機能に配慮して金融緩和機能が広まるものがあるならやると思う。金融政策に限界がないと言い続けてきた以上、3つ以外の4つ目というのは当然ある」との見解を示した。

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Masahiro Hidaka

最終更新:9月5日(月)13時16分

Bloomberg