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独メルケル首相与党、州議会選で敗退 反移民党に

BBC News 9月5日(月)11時14分配信

ドイツ北東部のメクレンブルク・フォアポンメルン州で4日、州議会選の投開票が行われ、メルケル首相率いる政権与党のキリスト教民主同盟(CDU)が、反移民を掲げるポピュリスト政党「ドイツのための選択肢」(AfD)に敗れ、3位に転落する見通しとなった。部分開票結果で明らかになった。この州議会選は、来年秋に予定される連邦議会選前の重要な前哨戦とみられていた。

1位は得票率3割の中道左派「ドイツ社会民主党」(SPD)で、AfDは得票率21%で2位となり、同19%のCDUより支持を集めた。

メクレンブルク・フォアポンメルン州議会選に先立ち、他の政党はいずれもAfDとの連立の可能性を否定していた。

しかしAfDの躍進は、来年の連邦議会選前にメルケル政権の基盤を揺るがす可能性もある。

メルケル首相のもと、ドイツは昨年110万人など、大勢の難民と移民を国内に受け入れており、移民に反発する国民感情が高まっている。

こうした状況で、当初は反ユーロを掲げていたAfDは移民反対を掲げ、反メルケル政党として支持を増やしてきた。

一方で、AfDは人種差別的な恐怖を煽るポピュリスト政党だという反対も根強く、政治的影響力は限定的だ。

CDUは2006年以来、メクレンブルク・フォアポンメルン州で少数派としてSPDと連立を組んでおり、今後も同州の政権に残る見通し。しかしドイツ・メディアによると、得票率19%は同州議会選で過去最悪の結果だという。

CDUのペーター・タウバー事務局長は、「AfDの躍進は多くの人にとって、わが党の全員にとって、苦々しい結果だ」と述べた。「相当数の人が、不満を表明するために抗議票を入れた。特に難民について、それが顕著だった」。

BBCのベルリン特派員デミアン・マクギネス記者は、今回の屈辱的な選挙結果によってメルケル首相は、難民歓迎の姿勢を修正するよう今まで以上に圧力にさらされるだろうと指摘する。

メクレンブルク・フォアポンメルン州のAfD代表で元ラジオ司会者のレイフ・エリク・ホルム氏は支援者を前に、「アンゲラ・メルケル首相時代の終わりが今日、始まったのかもしれない」と述べた。

主要国サミット(G20)のため訪中しているメルケル氏は3日、独紙ビルトに対し、「難民支援によってドイツの誰かの福祉手当を削減などしていない。むしろ一部地域では、社会福祉状況が改善している。誰かから何かを奪ったりしていない。ドイツの国民生活の質を維持し向上させるという、大きな目標を実現し続けている」と、移民反対派の批判は的外れだと反論した。

<分析> ジェニー・ヒル、BBCベルリン特派員

アンゲラ・メルケル首相にとって屈辱的な結果だ。本人の地元だけあって、なおさらだ。メルケル氏はメクレンブルク・フォアポンメルン州選出なのだ。

来年の総選挙に向けた重要な試金石とみられてきた今回の選挙の争点はひとつ、メルケル氏の難民政策に尽きる。1年前から首相は「ヴィア・シャッフェン・エス」(私たちにはできる)と繰り返してきたが、ドイツの有権者は納得していない。

AfDの反移民姿勢、そして日に日に強くなる反イスラムの主張は、移民の同化や国内治安を懸念する人たちを強く引き付ける。

メルケル首相の展望は明るいとは言い難い。支持率はここ5年で最低レベルにある。ただし、もうこれでおしまいだと見限るのは時期尚早だ。逆境から立ち直るのが得意だし、メルケル氏と交代できるほど重みのある大物は見当たらない。

<AfDとは>

・2013年欧州債務危機におけるドイツによる南欧諸国救済に反対し、ベルント・ルッケ、アレクサンドル・ガウラント、コンラート・アダム3氏が結党。

・穏健派とされるルッケ氏はドイツのユーロ圏離脱を推進しようとしたが、他の2名は、ユーロ関連事案のみを政策テーマとすることに不満を抱いた。

・ルッケ氏は党が日に日に、人種差別的になっていくと批判し、2015年7月に離党。

・右翼活動家フラウケ・ペトリ氏が代わりの党代表に就任。

・2014年ザクセン州議会選で10%近く得票し、ドイツ地方議会選で初めて、反ユーロ政党として議席を獲得。その後も他の州で議席を獲得した。

・2014年欧州議会選で7人当選(ルッケ氏を含む)したものの、AfDに残る議員は2人。

・2016年5年に反イスラム政策を綱領に採択。

・2016年7月には南独バーデン・ビュルテンベルク州議会のAfD議員が、ホロコーストは「いくつかの問題行為」に過ぎないのに重大視しすぎだと発言したため、同州の党は分裂した。

(英語記事 Angela Merkel's CDU 'suffers Mecklenburg-Western Pomerania poll blow')

(c) BBC News

最終更新:9月5日(月)11時14分

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