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“静岡茶祖”の製粉プラント、4分の1スケールで再現

伊豆新聞 9月6日(火)14時29分配信

 静岡茶の祖といわれる鎌倉時代の高僧・聖一国師(しょういちこくし=1202~80年)が宋の国(現在の中国)からもたらしたとされる製粉プラントの模型が、河津町の木工職人の手で作られている。当時の設計図に基づく4分の1スケールで、水力で実際に稼働する精巧な模型。完成後は静岡市内で実物大の再現を夢見る依頼人の手で、市民らの気運盛り上げなどに役立てられるという。

 制作しているのは同町浜の土屋宗一郎さん(73)=天城カントリー工房会長=。静岡市葵区大川地区に生家がある国師の偉業を広く市民に知ってもらおうと活動する同市清水区の花井孝さん(72)=地域活性化戦略研究所長=が、過去にログハウスやスカイツリーの模型を手掛けた土屋さんを新聞紙上で知って制作を依頼した。

 国師は1235年に宋に渡って仏教を学び、帰国後は福岡市の承天寺、京都五山の一つ東福寺を開山。仏典とともに茶葉も持ち帰り、静岡の地に広めた。さらに東福寺所蔵の書物「大宋諸山図」には現在の製粉プラントの原型とされる製粉の仕組み「水磨様(すいまよう」の図面があり、わが国の製粉技術は国師がもたらしたともいわれている。

 花井さんは国師の顕彰事業に取り組む静岡市と連携し、水磨様の再現を検討、実現に向けた資料として模型制作を思い付いた。「花井さんの語るロマンに胸を打たれた」という土屋さん。依頼を快諾し、水車を使って石臼を動かす工程を描いた図面を参考に、先月下旬、制作に着手した。

 模型は内部が見える建屋付きで幅約160センチ、奥行き80センチ、高さ120センチ程度になる予定。水車は直径約45センチで、ポンプで流した水の力で水車を回し、歯車を介した動力で石臼をひく製粉の仕組みを再現する。材料は耐水性に優れた松材。現在は水車など可動部分の制作を進めている。

 土屋さんは「図面には寸法や歯車部分の詳細な造りが描かれておらず、想像力に頼る部分があって難しい。日本に製粉技術をもたらした最初の水車を実物大で再現しようという構想には夢があり、私の持てる技術を全て注ぎたい」と言って作業に精を出した。花井さんは「完成が待ち遠しい。静岡市が駿府公園に計画している歴史博物館の一角に、実物大の水磨様を再現したい。実現すれば、子どもたちの教育、文化、地域活性化につながるはず」と話した。

 模型は10月に同市内で開かれる水磨様再現の合意形成を図る専門家会議の場で、披露する予定という。

 【写説】実物大の4分の1スケールで制作している水磨様の模型を披露する土屋さん=河津町浜の天城カントリー工房

最終更新:9月6日(火)16時22分

伊豆新聞