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中国美的に譲渡した東芝「新たな白物家電の始まり」

アスキー 9月6日(火)9時0分配信

東芝の白物家電事業は、赤字のまま、マイディアグループにバトンが渡された。

今回のことば
 
 「東芝の白物家電がグローバルに展開していくチャンスを掴んだ。これは東芝の新たな白物家電の始まりである」(東芝ライフスタイルの石渡敏郎社長)
 
東芝白物、中国美的に譲渡
 東芝の白物家電事業が2016年6月30日付けで、中国マイディアグループ(美的集団)に譲渡された。
 
 東芝は白物家電事業を担っていた東芝ライフスタイルの株式の80.1%を約537億円で譲渡。東芝ライフスタイルの名称や体制をそのまま維持するとともに、今後40年間に渡って東芝ブランドを継続し、白物家電事業を展開することになる。
 
 東芝ライフスタイルの石渡敏郎社長は「東芝ブランドの冷蔵庫、洗濯機、エアコン、掃除機、調理機器、電池などの開発、製造、販売体制は、これからも東芝ライフスタイルが継続することになる。さらに、東芝ライフスタイルが持つブランド、人材、コア技術を生かす」とする。
 
 東芝ライフスタイルの国内7社(製造2社、販売5社)、中国6社(製造4社、販売2社)、アジア6社(製造3社、販売3社)の拠点も活用。東芝ブランドの冷蔵庫、洗濯機、クリーナーは東芝ライフスタイル愛知事業所で開発。オーブンレンジおよびIH炊飯器は東芝ホームテクノで開発。エアコンは東芝キヤリアで開発する体制を維持する。また、販売についても、量販店などと強いパイプがある東芝コンシューママーケティングを通じて行なうことになる。
 
アフターサービス体制は維持
 さらに「東芝が維持してきた品質水準とアフターサービスの体制も維持する。日本のお客様には、引き続き、安心して、購入してもらい、利用し続けてもらえる。品質やカスタマサービスについて、東芝ライフスタイルが責任を持って提供していく」と語る。
 
 一方「マイディアグループが持つグローバル展開、製品開発力、世界的ネットワーク、品質を組み合わせることで、事業シナジーが発揮できる」という新たなメリットについても強調する。
 
 マイディアグループとのシナジーとして短期的な成果にあげるのが、部品調達先を共通化することで、冷蔵庫や洗濯機などをそれぞれ数1000万台規模で生産しているマイディアグループの調達規模を活用。製品コストをさげることができるというメリットだ。
 
 マイディアグループは世界第2位の白物家電メーカーであり、全世界200ヵ国以上で展開。総売上高は約228億ドルを誇る。冷蔵庫や洗濯機の生産規模は、1社で日本全体の年間需要を上回る水準だ。
 
 「マイディアが10の部品を購入していたのに対して、東芝は1。それを今後は一緒になることで、11の規模を購入できる」とする。その調達力を生かすメリットは、東芝ライフスタイルにとっては計り知れないといえる。
 
 加えて、製品ラインアップの充実を図ることもできるのもマイディアグループとのシナジー効果のひとつにあげる。「マイディアグループは、ハイエンドからスタンダードまでの幅広い製品群を網羅している。これを活用して、国内市場向けに東芝が展開してこなかった製品を補完できる」と石渡社長は語る。
 
 たとえば東芝では、300リットル以下の小型冷蔵庫や、単機能の小型電子レンジなどはラインアップしてこなかった。マイティアグループのリソースを活用することで、こうした製品も品揃えができるようになるというわけだ。
 
 「顧客の要望を聞きながら、東芝品質を維持した新たな製品ラインアップを揃えることができる。ここでは単にマイティアグループの製品を持ち込むのではなく、そこに東芝の技術を入れ東芝ブランドで展開していく。1年以内に新たな製品を投入したい」と語る。
 
東芝ブランドは拡大の方針
 マイディアグループは、過去10年で45億ドルを研究開発に投資。1万人の技術者、2万1000件の特許を持つ。今後の東芝の製品に、こうした知見を生かすこともできるだろう。
 
 「東芝のなかでは、コスト削減が優先されて、成長への投資が難しかった。だが、マイディアグループでは東芝ブランドの製品を拡大する方針を掲げており、技術投資やマーケティング投資が拡大していくことになる。それに期待している」とする。
 
 すでに、冷蔵庫、洗濯機、クリーナーなどにおいて具体的なプロジェクトが数10個走っている。
 
 「毀損した東芝ブランドの白物家電を復活させるにはいい製品を投入し続けることが大切である」と石渡社長は語る。今後は、設計や開発における技術協力、相互の製造拠点を活用した生産のほか、スマート家電の共同開発などにも踏み出すという。
 
長期的メリットは海外進出
 長期的なメリットとして石渡社長が掲げるのが、東芝ブランドによる海外進出だ。
 
 「アジア、中近東では、両社のブランドが存在することになるが、東芝とマイディアブランドが、激しく1位、2位を争っているエリアはない。東芝は、アジア、中近東においては歴史的に強いポジションがあり、ここは東芝ブランドが継続することになる。一方で、米国や欧州、インドなど、これまで東芝ブランドとして参入できていなかった市場にも参入していくことができると考えている。マイディアグループのリソースを活用することで、世界で有名な白物家電メーカーと互して市場展開できるようになり、東芝の白物家電がグローバルに展開していくチャンスを掴んだといえる」と語る。
 
 そして、同時にグローバル人材の育成も可能になるとの期待も寄せる。
 
新たな白物家電の始まり
 東芝の白物家電事業は、赤字のままマイディアグループにバトンが渡された。石渡社長は「2015年度には思い切った構造改革を実施しており、大幅な固定費削減を行なった。2016年度にはその刈り取りとともに、さらなるコストダウンへの取り組みも進めている。2017年度(2017年1月~12月)には、これらの成果が期待でき、黒字化させることができる。それには自信を持っている」と強い口調で語る。
 
 「これは東芝の新たな白物家電の始まりである」と石渡社長。新たな体制下で、今後、東芝のブランドの白物家電事業はどんな発展をみせるのか。これからの動きが楽しみだ。
 
 
文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

最終更新:9月9日(金)12時44分

アスキー