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21年ぶり「新作ファミコンソフト」を作った男 カセット型にこだわり、貯金数百万円ぶっこんだ傑作

withnews 9月8日(木)7時0分配信

 「5年間、仕事以外のすべてをゲーム作りに注いできました」。そう語る男性が、21年ぶりとなるファミコン向け「新作ソフト」を作り上げました。ファミコンの性能を限界まで駆使した音楽と映像が話題を呼び、5000本以上を完売。9月末には次作のアクションゲームの発売が決まっています。レトロなファミコンカセットに詰め込んだ、その技術を取材しました。

【画像】これが、あのファミコン?萌えキャラが画面いっぱいに現れる一枚絵

部屋にファミコン20台

 入るとそこは「ファミコンの部屋」でした。

 新作ソフトを作った、埼玉県在住のRIKI(りき)さんは、2誌で連載を持つ漫画家です。趣味で集めたファミコンは新旧モデル計20台。ゲームのプレー用、画面の録画用、さらにゲーム音楽再生用などに使い分けていて、部屋のあちこちにディスプレーにつながれたファミコンがあります。

「3分だけ、聞いていただいていいですか」とRIKIさん。

 棚には、特殊な基板を組み込み「悪魔城伝説」や「ラグランジュポイント」など合計9本ものソフトをさしたファミコン2台が並んでいます。見慣れない光景に驚いていると、接続されたスピーカーから、激しいロック調にアレンジされた「ドラゴンクエストII」のフィールド曲「遙かなる旅路」が流れ始めました。

 9本のソフトの内蔵音源をフル活用して、ファミコン単体では不可能な重厚な音色を作り出しています。これもゲーム作りに関係があるのか尋ねると、RIKIさんは「私はファミコンの限界に迫る表現を聴いたり、見たりするのが大好きなんです」と楽しそうに笑います。

カセットで発売にこだわり

 いすに座ると、今度はRIKIさんから100円玉を渡されました。目の前のテレビの脇に、コイン投入口のある箱がついています。100円玉を入れると……自動でテレビの電源が入りました。この演出も「来た人に、わくわくしてファミコンを楽しんでもらうため」。ファミコンにさしこんであるRIKIさん製作のソフト「8BIT MUSIC POWER」が、にぎやかな音楽とともに動き始めました。

 「8BIT MUSIC POWER」は今年1月に発売。カセットを当時の形状で再現し、ファミコンの実機でも動きます。内容は、操作できる音楽アルバムのような作りです。「ゼビウス」や「スターソルジャー」など往年の名作ゲームをてがけた作曲家たちに、オリジナル曲の制作を依頼。12曲をミュージックビデオのようなド派手な映像とともに聞くことができます。

 個人製作のうえ、任天堂のライセンス商品でもありません。しかし、1994年6月発売の「高橋名人の冒険島IV」以来、まとまった数量生産されたファミコン向けソフトは例がなく、すぐにインターネットなどで話題に。ネットショップなどで5000本以上を完売しました。

 RIKIさんは「私は、ファミコンからのゲームの劇的な進化を、子供のころから見てきた幸せな世代です。当時の衝撃と感動を忘れられなくて、ソフトまで作ってしまった。それでも、今どきファミコンソフトなんて売れるわけない、という気持ちもあって。売り切れるなんて、こんな奇跡ないなと思っています」

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最終更新:9月10日(土)19時1分

withnews