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日本経済見通し四半期アップデート:アベノミクス2.0のスタート

ZUU online 9/6(火) 11:10配信

日銀の金融政策決定会合、総括的な検証を月末に控え、日本経済の四半期見通しを紹介する。

■成長率予測

◎2016年の実質GDP成長率は、潜在成長率程度の成長を予想(+0.5%)し、2017年は大きく上回る(+1.1%)と予想

グローバルな景気・マーケットの不安定感が続き、円高が進行してきた。企業心理への下押しが大きく、企業活動が抑制されており、2016年の実質GDP成長率は潜在成長率程度(+0.5%)になるだろう。政府・日銀の危機感は大きくなり、デフレ完全脱却へのコミットメントは強く、財政・金融政策による景気下支えが実施された。

政府の新たな経済対策は、2017年度末までに実質GDPを1%程度、押し上げる力があると考える。企業の雇用不足感は強く、1%程度の安定的な物価上昇率と整合的な自然失業率の3.5%程度から、3%を下回る水準に向けて失業率は更に低下し、実質総賃金が拡大し、内需の回復トレンドは強くなっていくだろう。

2017年には、米国景気の堅調な回復がFEDの利上げの進展につながり、円高圧力は自然に減じていくだろう。グローバルな景気・マーケットは安定化し、輸出と生産のサイクルも持ち直していくと考えられ、実質GDP成長率は潜在成長率を大幅に上回る(+1.1%)と考える。

■物価予測

◎2%の日銀目標の早期達成は困難

これまでの原油価格下落と円高の影響が残るとともに、2014年の実質GDP成長率が消費税率引き上げにより潜在成長率を下回り、2015年と2016年が潜在成長率なみにとどまり、需要超過幅の拡大のペースは、明らかに遅れている。2016の年末までは物価は下落を続けるだろう。2017年は、物価上昇が賃金上昇に遅れることによる、実質賃金の上昇が消費活動を刺激するという、これとは逆の展開になっていくと考えられる。

そのような需要の拡大が、原油価格の持ち直しと円安の再開とともに、2017年からの物価上昇につながると考える。しかし、2%程度の安定的な物価上昇には2.5%程度まで失業率が低下する必要がある。

■経済政策

◎単独緩和からポリシーミックスへ変化

9月に日銀は、金融政策の総括的な検証を行う。単純な追加金融緩和にはならないだろうし、2%の物価目標は政府・日銀で設けたものであり変更できず、引き締め政策と誤解されるような行動も不可能だろう。目標は「2年」という期限を設けたものではなく、中長期的に目指すものとされ、その実現まで金融緩和を継続していくスタンスへ変化するだろう。

目標の早期実現には、財政政策による需要拡大、そして成長戦略と構造改革による企業部門の刺激が重要で、日銀単独の緩和ではなく、政府との協働と時間が必要であることを、確認することになろう。政府は事業規模28兆円程度・財政措置13兆円程度の大規模な経済対策を実施し、これまでの緊縮から緩和に明確に転じており、必要になれば更なる景気対策も実施されるだろう。

企業活動の回復と合わせて、消滅していたネットの資金需要が復活し、それを間接的にマネタイズする金融政策の効果も強くなり、リフレ効果(アベノミクス2.0)が再び強くなるだろう。

会田卓司(あいだ・たくじ)

最終更新:9/6(火) 11:10

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