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お金に働いてもらうために、お金を動かす

ITmedia ビジネスオンライン 9月6日(火)6時40分配信

 営業の仕事をしていて、「自分の売り上げによって給料が大きく変わる」という人が多いのではないでしょうか。それは、クラブで働く私たちも同じ。たくさんの報酬を得ている経営者の頭の中は仕事のことでいっぱいで休むという概念がないのか、第一線でバリバリ仕事をしています。その原動力とは何ですかと尋ねると、みなさんそろって「動けばお金が動くのに動かない手はない」とおっしゃいます。

【自分のお金を働きに出す】

 「動けばお金が動く」とはどういう意味でしょうか? 今回は、私が働く銀座のケースを例に挙げながらご紹介します。

●「お金を動かす」とは、お金に働いてもらうこと

 以前の記事で、われわれホステスはお店に雇われている従業員ではなく業務委託契約者だと書きました。ホステスは自分のお客さまを持っていて、そのことを業界用語で“係”、関西では“口座”と言います。

 例えば、私のお客さまで、山田さん(仮名)という人がいたとします。山田さんが来店したとき、お店側は「ママの口座の山田さん」とか「ママの係」と認識します。このように、自分の“係”を持つようになると、お年賀やお中元の贈り物はもちろん、会社に訪問するときの交通費や手みやげなども全て自分のポケットマネーを使わなければいけません。

 それらはすべて普段のお礼としてするものなので、それをやったからといってお客さまがすぐに来店される保証はありません。物を買うのにもお金がいりますし、会社へ行く際にも交通費が必要にになります。私のお金があちこちに動いていることになります。

 よく、「金は天下の回りもの」と言います。すぐに自分の利になるわけではないけれど、常にお金を動かしていれば、新しい形になっていずれは自分のところに戻って来るという意味です。出費はキツイですが、「利を乗せて返ってくるように」という思いを込めて、自分のお金を働きに出すのです。決して安くはありませんが、身銭を切るのはちゃんとした理由があるのです。

●「動く」の第一歩はアポ取りから

 「できれば効率よく営業したい」。そう思うのは、ビジネスパーソンもわれわれホステスも同じです。

 「同伴」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? ほとんどのお店ではノルマがあるのでホステスになりたてのときは自分の“係”がまだいませんので、この同伴の回数がお給料に大きく影響します。

 ノルマをクリアし一定の回数を上回ると、同伴賞(いわゆるボーナス)をもらえますが、初めのころはなかなかコツがつかめず、たった1回の同伴の約束でさえとても難しいことのように感じます。

 営業職のビジネスパーソンが先方の都合のよい日時を聞くのと同様、まずアポを取らなければいけません。簡単に約束を取り付けられればいいのですが、「○○さまのご都合のよいお日にちをうかがえますか?」と聞いても返信がなかったり、「今は分からないので、また後日連絡します」と後回しにされることも珍しくありません。

 ホステスの同伴も同じで、「お食事、ご一緒させていただけませんか?」と連絡しても、お客さまが「食事をごちそうしなくてはならないうえに、時間の縛りもある。その後クラブにも行かなきゃならない。面倒だなあ……」と思ったらこの営業は失敗です。ホステスが食事代をもつ場合もありますが、まれなケースです。

 では、とても忙しい人のアポを取るにはどうすればいいのでしょうか? 私の経験則でお話しすると、断られない1つの方法として、二者択一があります。

 「Aはどうですか?」と言うよりも、「AとB、どちらのお日にちがよろしいですか?」というように、多少強引かなと思うくらいでも、アポが取れることを前提に連絡をするのも1つのテクニックだと思います。

●タイミングを見極める

 とはいえ、「AとB、どちらにしますか?」と何度聞いても返答がないときは、時間を置くことも必要です。総合建設業会社の会長のAさんはこうおっしゃいます。

 「僕は、強引なやり方や強烈な先輩たちを見て育ってきたから、今この立場になって『会ってもいいかな』って思う人は、元気なオーナー企業の人ばかりだよ。みんなちょっと強引なところもあるけれど、かわいげのある生意気さというか、そういうのを見ていると日本もまだ大丈夫かなって思えて安心する。逆に、教科書通りのステレオタイプの人間には会う気がしない。

 人と会うのは、タイミングの問題もある。何度リスケしても会えない場合は、『この人とは会うタイミングじゃない』と判断しなければいけない。これはプライベートでも同じ。レストランの予約が取れなかったり、休みが合わなかったり、そうしたときは『今はそのタイミングじゃないんだな』と思わなければいけない」

●お金を動かす場所を意識する

 そうは言っても、営業をするにはコストがかかります。自分が一度手放したお金がぐるりと回って自分に返ってくるタイミングはいつなのか気になりますし、気長に待つ余裕もなくなってきます。効率よく営業するにはどうしたらいいのか尋ねると、Aさんはこうおっしゃいました。

 「お金を動かして一秒でも早くそのリターンを期待するのなら、お金を動かす場所を明確に意識しなければならない。営業職の人の場合、会社や取引先の人たちや、仕事をサポートしてくれる家族になる。そういうお金を生む場所や人に絞り込まなくてはいけない。われわれの場合は、取引先の相手や土地だ。そこにお金を動かすと周りもどんどんお金を落としてくれるから、早いペースで自分に返ってくるんだよ。

 ゲームセンターでUFOキャッチャーがあるけれど、あれと同じイメージだよ。やたらとクレーンを突っ込んでも効率よくお菓子は取れないし、すくったお菓子を置くタイミングや場所もよく考えないと無駄になってしまう。効率よく営業するには、はっきりとしたイメージを持ってお金を動かさないと散財することになる」

 最後にご紹介するのは、私がヘルプの時代からお世話になっている酒造会社役員のBさん。Bさんは、動くこととお金の関係はクルマみたいなものだとおっしゃいます。

 「クルマは行きたい所まで連れて行ってくれるけれど、走行距離に応じてガソリンはなくなっていく。あてもなく走っていたらガソリンを補給できずにガス欠で止まってしまうけれど、ガソリンスタンドがどこにあるのかを知っていれば効率的に走行できる。仕事も同じ。動けばお金がなくなるけれど商談がまとまればまた返ってくる。クルマは、動かさないと車体も中のガソリンも駄目になる。そうならないためには、適度にクルマを走らせたほうがいい。なくなるのがイヤだからと言ってお金を動かさないままでいると、それさえ駄目になるよ」

(桃谷優希)

最終更新:9月6日(火)6時40分

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