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米比首脳会談を中止、ドゥテルテ大統領の侮蔑発言で

ロイター 9月6日(火)7時7分配信

[ビエンチャン 6日 ロイター] - 米ホワイトハウスは6日、オバマ大統領がフィリピンのドゥテルテ大統領との会談を中止したと明らかにした。ドゥテルテ大統領はオバマ大統領を品位を欠く言葉で表現していた。

ラオスで6─8日、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議と東アジアサミットが行われる。オバマ大統領とドゥテルテ大統領にとって初めての会談になる予定だった。

大胆な発言で知られるドゥテルテ大統領は会談が予定されていた前日の5日、記者団に対し、オバマ大統領のことをタガログ語で「ろくでなし」と表現した。

ドゥテルテ大統領のこのような侮辱的発言を伝えられたオバマ大統領は、「建設的で生産的な対話を行える時なのかどうか」をフィリピン当局者と協議するよう側近に指示したことを明らかにした。「会談を行うのであれば、建設的で、何かが実を結ぶという確信を持って臨みたい」と記者団に語った。

ホワイトハウスは、同盟国であるフィリピンでの人権侵害に対する懸念について、オバマ大統領がドゥテルテ大統領との会談で一切手加減をすることはないと明らかにしていた。

ドゥテルテ氏は麻薬撲滅を掲げて5月に大統領に当選。麻薬取り締まりを強化しており、超法規的な殺人などにより、約2400人の死者が出ている。

一方のドゥテルテ大統領は、人権侵害の問題を取り上げることは「無礼だ」と反論。そうした会話に発展すれば、オバマ大統領をののしることになるとし、この場面で侮辱的な言葉を用いた。

「麻薬密売人が1人残らず町から一掃されるまで、大勢が殺されるだろう。(最後の)1人が殺されるまで、われわれは続ける」と、ドゥテルテ大統領は述べた。

オバマ大統領は5日、麻薬撲滅への戦いの重要性は認識しているとしたうえで、それは法の支配の下で行われなくてはならないと主張していた。

首脳会談の中止決定から数時間後、ドゥテルテ大統領は自身の発言がオバマ大統領に対する「個人攻撃」と受け止められたことに対し遺憾の意を表明した。

「ドゥテルテ大統領は、オバマ大統領が超法規的殺害について『講義』するとの報道が、自身の強い言葉につながり、懸念を生んだと説明している」と、フィリピン政府はラオスで声明を発表。「大統領は自身の報道陣に向けた言葉がこのような論争を招いたことを遺憾に思っている」としている。

オバマ大統領のラオス訪問は、現職の米国大統領として初めて。5日の深夜に首都ビエンチャンに到着していた。

米国家安全保障会議(NSC)のプライス報道官によると、オバマ大統領は代わりに韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領と会談するという。5日に弾道ミサイル3発を発射した北朝鮮への対応も議題の1つになるとみられる。

<ASEAN首脳会議>

こうした異例とも言うべき、あからさまな緊張は、6日から始まったASEAN首脳会議と東アジアサミットに暗い影を落としかねない。

ASEANメンバー10カ国は、他地域の大国である中国、日本、韓国、オーストラリア、インド、ロシア、米国の首脳と会談する。

南シナ海問題をめぐり、フィリピンは米国にとって重要な同盟国となっている。米国は、世界的に不可欠な貿易ルートを軍事化し、空と海における移動の自由を脅かしているとして、中国を非難している。

一方、中国はそうした非難を一蹴。米国がいたずらに緊張を高めていると反論している。

フィリピンが提訴した裁判で、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は7月、南シナ海のほぼ全域にわたって主権が及ぶとする中国の主張を退ける判断を下した。中国はこの裁定を拒否している。

ドゥテルテ大統領は先月、全てのASEAN加盟国が仲裁裁判所の裁定を支持することを期待するが、フィリピンはASEAN首脳会議でこの問題には触れない方針であることを明らかにしている。

*内容を追加して再送します。

最終更新:9月6日(火)15時24分

ロイター