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富山市の中華料理店、半世紀の歴史に幕 /富山

みんなの経済新聞ネットワーク 9月6日(火)10時55分配信

 富山市諏訪川原にある中華店「きりん飯店 本店」(富山市諏訪川原3)が9月4日、半世紀以上にわたる歴史に幕を下ろした。(富山経済新聞)

閉店の張り紙が貼られた本店外観

 55年前に店主の永栄清さん(82)が創業した同店。富山市内には、弟の永栄利雄さんが営む「雪見橋店」と息子の田中光則さんが営む「奥田店」との2つの支店がある。

 農家の家に生まれた永栄さん。手に職をつけようと1952(昭和27)年に上京し、中華料理店で働き腕を磨いた。1960(昭和35)年に帰郷、中華の料理人として仕事を続け1965(昭和40)年7月に現在の場所に店舗を構えた。

 「何か目玉になる商品が欲しい」と考え付いたのが、店の看板である焼き豚。5キロの豚のバラ肉を、しょうゆベースの門外不出のタレでおよそ3時間煮込み、子どもやお年寄りでも食べられるよう柔らかく仕上げる。

 厚さ8ミリに切りそろえられた焼き豚は1枚当たり120グラム強。うわさを聞き付けた客が押し寄せ、最盛時には1日当たりの焼き豚の仕込み量が、30キロを超えた日もあった。

 3年前に全国放送のテレビ番組で同店が紹介されてから、押し寄せた県外客のほとんどが番組で取り上げられた「中華丼」を注文するが、あくまで店主のお薦めは、焼き豚が3枚トッピングされた「焼豚麺」。古くから、客の好みに応じて麺の硬さも変える柔軟さも人気の要因となった。
 
 富山市内の50代の男性は「学生時代に焼豚麺を注文したが食べきれず、店主にやんわりと叱られた」と懐かしむ。

 ボリュームの多さが評判となり、親子2代にわたる常連客も多く店は繁盛していたが、長年の立ち仕事で数年前から膝を痛めた永栄さん。45年以上にわたって店主の兄と店を支えた妹の立道静子さん(73)は「最近では鍋を振るのもつらそうなので、残念だがしょうがない」と話す。

 永栄さんは「もう少し続けたくて後継者も探したが、万策尽きて苦渋の選択となった。店の味を受け継いだ2つの支店を、これからもご愛顧いただければ」と力強く話した。

みんなの経済新聞ネットワーク

最終更新:9月6日(火)10時55分

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