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糖尿病患者に警鐘 骨密度低下10年早く 奥羽大の衛藤教授ら

福島民報 9月6日(火)10時6分配信

 奥羽大薬学部の衛藤雅昭教授(薬学部長、糖尿病専門医)、斉藤美恵子非常勤講師らでつくる学内の研究チームは、糖尿病患者は骨の密度が糖尿病でない人と比べると10年程度、早く低下する傾向を臨床研究で突き止めた。糖尿病の合併症に骨粗しょう症が含まれると科学的に立証しており、糖尿病患者に警鐘を鳴らしている。

■骨粗しょう症は合併症 臨床研究で立証

 衛藤氏らは今回の臨床研究結果を踏まえた薬物治療の研究成果を15日にドイツ・ミュンヘンで開かれる第52回欧州糖尿病学会で発表する。
 臨床研究では、糖尿病の女性127人と、糖尿病ではない女性622人の骨密度を50代から80代まで10年ごとの年代別に調べた。その結果、どの年代でも糖尿病患者は、糖尿病ではない人と比べて骨密度の低下が確認された。
 研究では、50代の糖尿病女性は84%で糖尿病ではない60代の83%とほぼ同じ水準となった。60代の糖尿病女性の78%は糖尿病ではない70代の79%とほぼ同水準だった。他の年代でも同様の傾向が表れており、糖尿病患者の骨密度低下の進行は、糖尿病ではない人よりも10年程度早いことを示しているという。
 これまで医師らの経験則で糖尿病による骨粗しょう症の進行が指摘されていたが、両者の関係や骨密度低下の進行への影響度合いが科学的に裏付けられた研究は類を見ないとしている。糖尿病の合併症には動脈硬化症や網膜症、神経障害、腎症などが一般的だ。今回の臨床研究によって骨粗しょう症への危険性に対する認識の広まりが期待される。
 糖尿病の合併症に詳しい愛知医科大医学部内科学の中村二郎教授は「骨粗しょう症と糖尿病の因果関係を示す研究として価値がある。糖尿病患者の骨粗しょう症予防促進につながるよう願う」と話す。
 認知症や寝たきりの原因の多くは、骨がもろくなってからの転倒、骨折が目立つ。衛藤氏は「特に糖尿病の患者は日頃から食事などで意識的にカルシウムを摂取するなどして予防に努め、定期的に骨密度を測定して骨粗しょう症の早期発見、治療に努めてほしい」と呼び掛けている。近年、骨粗しょう症の治療薬の開発が進み、早期に治療に踏み切れば効果が得られやすいとしている。

■県内糖尿病外来4100人 26年

 厚生労働省の調査では、平成26年10月時点での福島県内の糖尿病による外来総数は4100人、入院総数は300人に上っている。
 同省の別の調査(27年、概数)では糖尿病による県内の死亡者数は280人。人口10万人当たりの死亡率は14.7で、全国平均の10.6を上回っている。

福島民報社

最終更新:9月6日(火)10時17分

福島民報