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アングル:中国が自賛するG20、水面下では難問めぐる攻防

ロイター 9月6日(火)17時12分配信

[北京 6日 ロイター] - 中国は、浙江省杭州市で開催した20カ国・地域(G20)首脳会合について、あからさまな対立もほとんどなく、ぜい弱な世界経済に対するさまざまな対策の必要性において各国のコンセンサスが得られ、ホスト国として成功裏に終えることができたと自画自賛する。

温室効果ガスの2大排出国である中国と米国は、昨年12月の第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択された温暖化対策「パリ協定」を批准したと共同で発表さえしている。

しかし、世界で最も影響力のあるリーダーたちが集結した今回のG20は、水面下でも順調に進んだわけではない。北朝鮮が弾道ミサイル3発を発射し、米国とロシアはシリア停戦をめぐり合意に達することはできず、保護貿易主義に対して具体策を打ち出せなかったことは外交的失敗だったと言える。

中国の国営メディアは、南シナ海のような問題で影が薄れるようなこともなく、サミットの栄光におおむね浴することができたとする一方で、自国の経済的野望を邪魔する西側の動きに対する中国政府の不満を漏らしている。

G20の数週間前、中国は、保護主義と被害妄想のように感じられる、自国の海外投資に対する「不当な疑惑」について、とりわけ不満を募らせていた。オーストラリア政府は、電力公社オースグリッドの売却入札で中国企業からの応札を拒否した。一方、英国も、中国が出資予定の英サマセット州ヒンクリーポイントの原発新設計画を延期している。

<G20の舞台裏>

西側諸国は水面下で、自国の目標を堅持していないとして中国を非難していた。

G20開催前、欧州のG20関係筋は、中国による議題が、世界経済の持続可能な成長にとって、真の意味で新たな節目となることに懐疑的だった。

中国は保護主義に対抗すべく、さらなる開放と措置を公然と求めてはいるが、西側の投資家にとって同国市場へのアクセスはいまだ非常に限られていると、欧州当局者は語る。

中国の外国人投資家が抱える大きな懸念は、同国でビジネスを行うのがますます困難になっていると感じられることだ。その背景には、効果的に外国人を締め出そうとする新たな法律や政策がある。

「習近平国家主席は、世界中で高まる保護主義に対抗する必要性について、はっきりと警鐘を鳴らした」と、在中米国商工会議所のジェームズ・ジマーマン会頭は言う。「だが、行動は言葉よりも雄弁だ。必要な国内改革を実施したり、外国の製品やサービスやテクノロジーに市場をもっと開放したりするのは中国次第なのだから」

杭州G20に詳しい複数の外交官によると、中国は当初、鉄鋼の過剰生産問題を共同声明に盛り込むことに抵抗していたが、結局、鉄鋼の供給過剰についてG20で協力することが盛り込まれた。

中国からの安い輸入品のせいで鉄鋼業界が危機的状況にある英国のような国にとって、この問題はカギとなる。

英首相官邸の当局者によれば、英国と米国は、G20で鉄鋼問題に協力して取り組む重要性を共同声明に盛り込むよう迫ったという。

G20を覆ったもう1つの暗い影は、英国民投票で決まった欧州連合(EU)離脱や、米大統領選の共和党候補であるドナルド・トランプ氏に体現されるような、自由貿易とグローバル化に対する世間の反発が高まっていることだ。

「貿易と自由市場の恩恵は、より多くの人々にもっと効果的に伝えられるべきだとするG20の分析に賛成だ」と語るのは、国際商業会議所のジョン・ダニロビッチ事務総長だ。

「あらゆる人にとって貿易がなぜ重要なのかを説明するのに、政財界の協力は不可欠だ」と、同事務総長は話した。

(Ben Blanchard記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

最終更新:9月6日(火)17時12分

ロイター