ここから本文です

ドラマタイトルに主役の名、近年なぜ多用されている?

オリコン 9月7日(水)8時40分配信

 9月に入り夏ドラマが終盤を迎えると同時に、次期新ドラマの情報も出揃ってきた。そのラインアップはというと、ジャンルはさまざまだが、『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)や『とげ 小市民 倉永晴之の逆襲』(フジテレビ系)、『石川五右衛門』(テレビ東京系)、『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)というように、気付けば“タイトルに主人公の名前が入ったドラマ”が目立つ。今期でも、『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』や『営業部長 吉良奈津子』(共にフジテレビ系)、『遺産相続弁護士 柿崎真一』(日本テレビ系)などがあるように、近年このような“名入りドラマ”が増えているのは事実である。『水戸黄門』や『寺内貫太郎一家』(共にTBS系)など、代々引き継いできたドラマタイトルの“流れ”ではあるが、今なぜ増加傾向にあるのだろうか? ドラマのタイトル史を振り返りつつ、その理由に迫ってみたい。

【写真】シリーズ化した『ドクターX』では、米倉涼子の脚線美が毎回話題に

◆TBSが先駆けとなった“名入りドラマ” 『水戸黄門』『半沢直樹』などヒット作多数

 この“タイトルに主人公の名前をつけたドラマ=名入りドラマ”は、民放ではTBSがその先駆けと言えるだろう。60年代に『水戸黄門』、70年代に『寺内貫太郎一家』や『3年B組金八先生』が放送され、どれもが高視聴率を獲得してシリーズ化される。その後、他局も追随し、80年代には『池中玄太80キロ』シリーズ(日本テレビ系)や『白鳥麗子でございます!』(TBS系)、90年代には『古畑任三郎』シリーズ(フジテレビ系)、『おそるべしっっ!!!音無可憐さん』(テレビ朝日系)、『サラリーマン金太郎』(TBS系)などなど、多くのタイトルがある。2000年代の初頭には少し落ち着いたが、また徐々に増加しはじめ、今年に至っては民放で約19本と2010年代の中でも最も多く“名入りドラマ”が存在している(ちなみに2015年は約8本、2014年と2013年は約11本)。

 「ここ数年の“名入りドラマ”ブームの火付け役と言えば、やっぱり『半沢直樹』(TBS系)でしょうね。池井戸潤さん原作の一連の企業小説『おれたちバブル入行組』などが原作ですが、このシリーズの主人公の名前をドラマのメインタイトルにすると、シンプルなインパクトとともに、主演の堺雅人さん演じる半沢が“キャラ立ち”してきたんです。孤軍奮闘して巨悪をぶっ潰すという爽快なストーリーも相まって、最終回では平均視聴率42.2%を記録(ビデオリサーチ調べ/関東地区)し社会現象にまでなりました」(ドラマ制作会社スタッフ)

 実際、過去の“名入りドラマ”には、『水戸黄門』(43.7%/1979年2月5日放送)や『3年B組金八先生』(39.9%/1980年3月28日放送)、『家政婦のミタ』(40.0%/2011年12月21日放送)など、高視聴率を記録した話題作が多い(すべてビデオリサーチ調べ/関東地区)。ドラマの主人公がキャラ立ちして視聴者に親しまれると、感情移入もしやすくなり、物語を最後まで追いかけたくなる。結果として視聴率も上がり、続編への期待からシリーズ化もしやすいのだ。

◆昔ながらの漫画やアニメがルーツ? 高齢化したテレビ視聴者を取り込む施策

 「ドラマのタイトルに主人公の名前を使うなんて直球すぎるし、どこかダサいイメージもあります。かと言って、バブル期のようなものや、ストーリーが分かりにくいタイトルは微妙。そこへ『半沢』的なド真ん中のタイトルがハマったんですね。そもそも日本人は、『サザエさん』(フジテレビ系)や『ドラえもん』(テレビ朝日系)などのアニメや漫画の世界で、主人公を冠にした作品には慣れ親しんいます。かつての(シルベスター・)スタローンの人気映画『ランボー』にしても、日本では主人公の名前をタイトルにして大ヒットし(原題『First Blood』)、ハリウッドがマネしてタイトルを変えたくらいですから(笑)。でも一方で、その主人公が視聴者に受け入れられなかった場合、目も当てられないことにもなります」(前出・スタッフ)

 確かに“名入りドラマ”のルーツは、漫画やアニメ、特撮ものにありそうだ。ロボットアニメで主役ロボの名前がタイトルになるのは当たり前だし(『鉄腕アトム』『鉄人28号』『マジンガーZ』『機動戦士ガンダム』『新世紀エヴァンゲリオン』など)、ヒーローもののアニメもほとんどそうだと言ってもいい(『タイガーマスク』『あしたのジョー』『キン肉マン』『それいけ!アンパンマン』など)。さらに、こうした“主人公の名前=作品のタイトル”というシンプルな形式は、現在特によくテレビを見ると言われる40代以上の層にはもっとも自然なもので刺さりやすいし、今の若者にとってもSNSなどで拡散する際に分かりやすいというメリットもある。

 いずれにしろ、近年の“名入りドラマ”の隆盛を見ても、やはりドラマは主人公の持つ“魅力”にかかっている。どんなに有名で人気のある俳優がドラマに出演したとしても、主人公自体に魅力がなければヒットは望めない。今後のドラマのゆくえは、いかに視聴者に訴求力のあるストーリーを紡ぎ出すことができるか? そして、演じる役者がいかにその人物を造形することができるかにかかっている、ということは間違いなさそうである。

最終更新:9月7日(水)8時40分

オリコン

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。