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アメリカも恐れぬドゥテルテ大統領 「無法者」の無法状態宣言が支持される背景

BuzzFeed Japan 9/6(火) 11:56配信

9月2日夜、フィリピン南部ダバオ市で起きた爆発事件。少なくとも14人が死亡し、ドゥテルテ大統領は「無法状態(state of lawlessness)を宣言した。

ドラッグの売人たちに「自首しろ、さもなくば殺す」と公然と言い放ち、オバマ大統領に「サノバビッチ」と国家首脳間では前代未聞の暴言を吐くドゥテルテ大統領。

無法状態を宣言したことに、日本のネットでは「無法者が無法状態を宣言」「テロリストは容赦なく殺す宣言?」といった声が上がった。

ここには、「無法状態」という言葉に対する誤解があるようだ。フィリピンで記者をしていた筆者が解説する。【BuzzFeed Japan / Kantaro Suzuki】

そもそも「無法状態宣言」とは?

ドゥテルテ大統領が発令したこの宣言は、政府がダバオ市の治安について「無法=無秩序な状態である」と宣言したという意味ではない。政府が法律を超えて強権的に容疑者を取り締まることを自動的に肯定する宣言でもない。

フィリピンの法に照らせば、ドゥテルテ大統領は合法的な権限を行使しただけだ。「無法状態宣言」には、どういった法的位置付けがあり、効果があるのか。

憲法で規定された「無法状態宣言」

1987年に策定されたフィリピン共和国憲法は、国軍司令官でもある大統領に、軍隊を指揮して、反政府勢力による反乱やクーデターなど国内の危機的状態を鎮圧する権限が与えられている。

また、危機的状態の度合いによって、非常時に軍隊に完全に統治権を委ねる命令「戒厳令」を布告する権利も大統領には付与されている。

ドゥテルテ大統領が発令した「無法状態宣言」も、戒厳令布告の権限を付与している憲法7条18項を根拠にしている。しかし、逮捕令状無しで軍隊が国民を拘束する権利も付与する戒厳令ほど圧政的な性質はない。

ドゥテルテ大統領自身も発令直後のインタビューで「戒厳令とは異なる」と念を押している。合法的に軍が警察と協力し、反政府勢力を掃討するためと説明している。

過去の政権でも、同様の「無法状態宣言」が発令されている。

歴代政権との違いは、今回の宣言の適応範囲が、爆発のあったミンダナオ地方の一部地域だけでなく、全国を対象としていることだ。

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最終更新:9/6(火) 13:23

BuzzFeed Japan