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帰国14年、地村保志さんの今 拉致解決へ積極的に発言

福井新聞ONLINE 9月6日(火)8時40分配信

 福井県小浜市の拉致被害者、地村保志さん(61)が署名活動に参加したり、集会の場で自ら発言したりと、拉致問題解決に向けて積極的な動きを見せている。2002年10月に北朝鮮から帰国してから間もなく14年。北朝鮮のミサイル問題がクローズアップされる中で拉致の風化という懸念に加え、同級生たちが支援組織救う会福井で懸命に活動していることが、地村さんの背中を押している。

 8月29日、拉致被害者家族の思いを映像にまとめた政府の啓発作品の上映会があった同県敦賀市の会場には、約200人が詰めかけた。司会者が聴衆に感想を求めると、一般席に座る地村さんが手を挙げた。

 「日朝交渉で生存者が一日も早く、一人でも多く帰ってくることが重要。今、この問題を風化させてはいけない」

 地村さんが多くの聴衆を前に発言するのは珍しく、会場は静まり返った。出席していた拉致被害者家族連絡会の飯塚繁雄代表(78)は「注目される立場でよくしゃべってくれた」と感謝した。

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 地村さんは今年3月に小浜市役所を退職して以降、拉致問題解決に向けた積極的な言動が目立っている。

 5月には同県若狭町で開かれた「若狭・三方五湖ツーデーマーチ」で、県特定失踪者の真相究明を願う会主催の署名活動に参加。署名した人には救出活動の象徴のブルーリボンを配り、早期解決を訴えた。

 その1カ月前に小浜市であった、救う会福井の前会長の池田欣一さん(93)の退任感謝の会では「拉致は今後の日朝関係でも重要な課題として残っていくと思う。僕らは新しい世代として跡を継いでいきたい」と踏み込んで発言し、周囲を驚かせた。池田さんから会長を引き継いだ森本信二さん(60)は「正直あそこまで話すとは思わなかった」と振り返る。

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 最近の地村さんの言動の変化の背景には、北朝鮮のミサイル問題ばかりが注目され、拉致が風化するという懸念がある。29日の上映会で地村さんは「日朝間の交渉において、(拉致を)第一の懸案問題として取り上げてほしい」と、政府に呼び掛けた。

 もう一つ、地村さんを後押ししているのは、救う会福井の衣替えだ。森本さんは地村さんの小中学校の同級生で、少年野球ではバッテリー(投手は地村さん)を組んだ「竹馬の友」(森本さん)だ。森本さんが会長就任後は、地村さんと魚釣りやお伊勢参りに出掛け、心身両面で支えてきた同級生15人が新たに会のメンバーに加わった。

 上映会に4人の同級生と出席した地村さんは帰り際、「同級生が一生懸命やっているのに『僕は知らんわ』というわけにはいかない。森本会長の隣には僕がいなきゃという思いがある」と語った。

最終更新:9月6日(火)12時11分

福井新聞ONLINE