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線路の下を線路が走る? 西武新宿線、「幻の複々線計画」とは

乗りものニュース 9月6日(火)11時49分配信

上石神井~西武新宿間、幻の地下急行線計画とは?

 西武新宿駅と本川越駅(埼玉県川越市)を結ぶ西武鉄道の新宿線。ほぼ全線にわたり複線で運用されていますが、かつて複々線化計画があったことをご存知でしょうか。

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 新宿線の輸送人員は、国鉄新宿駅(当時)周辺に超高層ビルが林立するようになった1970年代から増加を続け、これに対応すべく西武鉄道社内で複々線化計画が浮上。同計画は1987(昭和62)年、特定都市鉄道整備事業の対象事業として政府に認定されました。

 複々線化計画は当初の案によると、上石神井駅(東京都練馬区)と西武新宿駅とのあいだで既存の線路直下およそ40~60mの深さに、急行列車などが走る線路(急行線)を新設するというものでした。つまり地下線になるわけですが、これは地上や高架での複々線化には、用地買収に多額の費用がかかることが予想されたためといいます。工事に必要な費用の総額は約1600億円と見積もられました。

 私鉄の歴史に詳しい大東文化大学の今城光英副学長によると、西武鉄道は1983(昭和58)年の西武有楽町線開通にともない、地下構造の新桜台駅(東京都練馬区)を新設した経験から、地下駅の建設には災害対策や照明などで多額のイニシャルコストやランニングコストがかかることを認識。そこで、地下に新設する新宿線の急行線においても駅の数を極力削減し、急行線は上石神井駅から高田馬場駅までノンストップで運行する計画だったといいます。

 しかし同計画は、1991(平成3)年をピークに新宿線の輸送量が減少に転じたことや、工事費が当初予定の1.8倍である約2900億円に膨張してしまったことを受け、1995(平成7)年に中止されました。

青山陽市郎(乗りものニュース編集部)

最終更新:9月6日(火)12時42分

乗りものニュース