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セコム、ドローン警備の完全自動化に成功  現場急行や不審者追跡はAIが判断

日刊工業新聞電子版 9月6日(火)16時30分配信

安全確保と両立、飛ぶか飛ばないかもAI判断

 セコムは飛行ロボット(ドローン)による警備サービスを展開する。ドローンは普及が始まったものの、遠隔操作型が中心だ。人間が監視している環境を、人間が操縦して飛ばしている。飛行機能だけの機体はいくつもあり、差別化が難しくなっている。セコムのドローンは自律型。現場への急行や不審者追跡などのタスクを人工知能(AI)が担う。警備の自動化に成功し、設備点検などへの応用が広がった。

 「安全確保と自動化を両立するには制御AIの作り込みが必須だった」と、セコムの進藤健輔執行役員技術開発本部長は振り返る。センサーが異常を検知すると警備ドローンが現場に急行し不審車両のナンバーを撮影し、不審者を追跡する。不審者が敷地から逃げれば、逃走方向を記録し、充電ポートに帰還。コントロールセンターの警備員はリアルタイムでドローンからの映像を見て現場で何が起こっているか把握する。

 セコムは、離陸から駆け付け、追跡撮影、帰還までの一連の流れをAIで自動化した。安全を確保しながら、これらの仕事を遂行するのは簡単ではない。離陸時は風速などの気象条件や全地球測位システム(GPS)信号を受信できる人工衛星の数を確認し飛び立つ。GPS衛星が少ないとドローンの位置計測誤差が大きくなるためだ。強風でドローンが流されるなど、安全飛行できない状況では飛ばないことを選ぶ。離陸後は現場への飛行ルートを自動生成し、樹木やビル陰などを避けたルートを導き出す。

制御系を二重化、バックアップに自動切り替え

 現場に着いたら不審者から距離を一定に保って様子を撮影。不審車両は形状を測り、前後からナンバープレートを撮影する。不審者が逃走したらポートへ帰還し、充電して次の出動を待つ。AIが状況変化に応じて次々と判断していく。同時に飛行中は電池残量など、自身の機体に異常がないかチェックしている。CPUを2台積んで制御系を二重化し、片方にエラーが出ればもう片方に切り替える。

 AIの要が、位置計測技術だ。進藤執行役員は「制御AIがいくら賢くても、土台となる位置データに誤差があるとすべてがずれてしまう」と説明する。GPSはドローンとポートの両方に搭載し、二重化した。飛行中のGPS信号の確保を含め、計測誤差を数センチメートルに抑えた。充電ポートの設計も工夫した。着陸点がずれても、機械的に機体の位置を調整して充電プラグを接続する。AIにメカ、センサーを組み合わせて信頼性を高めた。

 一連の自動化で定期巡回が可能になった。ドローンが窓や屋上などを撮影して、不審物がないか判定する。この不審物抽出は画像処理系のAIを利用する。画像はクラウドで処理でき、現場ごとの劣化状態のデータをAIに学習させれば不審物以外に設備の傷や劣化を探せる。進藤執行役員は「技術的には警備と同時に目視検査もできてしまう。良い技術ができると可能性が広がり、より開発が忙しくなる」とAIの可能性に言及する。(小寺貴之)

最終更新:9月6日(火)16時30分

日刊工業新聞電子版