ここから本文です

高級魚“子持ちホンモロコ”埼玉県が量産に初成功 ブランド強化へ

埼玉新聞 9/6(火) 10:30配信

 埼玉県水産研究所(加須市)は、コイ科の淡水魚で高級食材の「ホンモロコ」に卵が入った「子持ちホンモロコ」を量産する養殖技術の確立に全国で初めて成功した。10月の本格出荷を前に生産者にPRし、2017年度中に生産者に子持ちが生まれる卵を提供できるようにする。埼玉はホンモロコ生産で全国1位の産地。同研究所は「子持ちになるとブランドが高くなる。生産者に養殖技術を紹介し、料理店などに提供できるようにしたい」と付加価値を高め、量産体制に乗り出す。

 ホンモロコは琵琶湖(滋賀県)原産で、体長は10~15センチ。関西地方の料亭などでは、甘露煮やすし種の素材として使われており、琵琶湖の天然物は高級魚として珍重されている。

 県内は、利根川流域の県東部地域で古くから川魚を食べる習慣や捕獲して売買するなど、川魚文化があった。同研究所では「埼玉を代表する魚を育てよう」とホンモロコの養殖に取り組み、1992年に全国で初めて水田を利用した養殖技術を確立。休耕田の有効活用や農家の経営安定を図るため、ホンモロコの養殖を奨励した。09年度には生産量が23トンとなり、全国1位に。10年度以降も年間約20トンを生産している。

 子持ちモロコは「子持ちシシャモ」のように卵がたっぷり入っているのが特徴。生産者から「モロコを販売する時、卵の入ったメスが人気がある」、料理店から「モロコにも子持ちがあると、メニューの幅が広がる」との声が寄せられたことから、同研究所は12年度から量産する養殖技術の開発を進めてきた。

 同研究所によると、ホンモロコは高い水温になるとメスの半数がオスに変わる性質があるという。今回の研究で、水温によって変わった「偽オス」とメスを人工授精ではなく、自然交配によってメスを量産する養殖技術を確立した。

 本年度に、子持ちモロコを生み出す5千匹から200万粒の卵をつくり、来年度に子持ちとなる120万匹の稚魚を生産する計画だ。

 県内では現在、加須市や行田市など45戸がホンモロコを生産。県は「彩のモロコ」としてブランド化を推進し、のぼり旗などを立ててPRしている。年間約20トンの生産量のうち、7割が直接販売され、3割が甘露煮などの加工品になっている。直売では1キロ約3千円で売られている。

 同研究所は「子持ちモロコを量産することで、さらにブランド力を強化したい。単価を上げて販売もできそうで、生産者の利益も期待できる」としている。

 ホンモロコは10~2月にかけて出荷され、特に冬場が旬。生産者の行田市南河原の「いまむら養魚場」の今村武蔵さん(73)は、「子持ちはひとまわり大きく、食材としてもさまざまな活用ができるのではないか。消費者から人気が出るだろうし、量産可能になったら、養殖に取り組んでみたい」と話している。

最終更新:9/6(火) 10:30

埼玉新聞