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いじめ防止に関する法律、効果は限定的

ウォール・ストリート・ジャーナル 9月6日(火)18時27分配信

 いじめ防止に関する法律が制定されると学校でのいじめ発生件数は徐々に減少する傾向があるものの、ネットいじめは増えることが多いとする研究が発表された。オンライン版のインジャリー・エピデミオロジー誌に掲載された。

 米国の大半の州ではいじめに関する法律が制定されているが、研究者グループによるとそれがどの程度いじめの阻止に効果があるかは判明していなかった。技術の発展とともに新たにネットいじめが起こりうる場が増えているが、そこで悪意に満ちたやりとりが行われていても、学校側が適切に対応をするのはかなり難しい、と研究者グループは指摘する。

 調査はアイオワ大学の研究者グループが小学校6年生、中学校2年生、そして高校2年生の生徒合計25万3000人を対象に実施した。2007年9月にアイオワ州でいじめ防止法が制定される前と、その後の2008年と2010年に同じグループを調査。言葉の暴力や精神的な嫌がらせ、体への暴力やネットいじめを過去1カ月に経験したかを生徒たちに聞いた。また教師がいじめ行為にどれだけ介入したかも調査した。

 全期間を通し、いじめを受けたと答えた生徒は47.3%だった。ネットいじめを経験したと答えた生徒は一番少なかったものの、いじめ防止に関する法律制定前の2年間と比較して法律制定後の初年度ではその人数は44%増加。2010年にはネットいじめを受けたと答えた生徒が法律制定前と比較して47%増えていた。

 他のいじめも法律制定後の初年度は増加したが、これはいじめへの関心が高まり、通報が増えたことが原因の可能性があると研究者グループは話す。その後の2年間はいじめの件数が減少したが、それでも法律制定前のレベルよりは多いままで推移している。

 教師による介入に関しては全体を通して評価をした生徒が多かったものの、法律制定後は教師がいじめ阻止に積極的に関わろうとする姿勢が弱まったことも調査では判明した。

 高校2年生のグループは法律制定前よりも後の方が言葉によるいじめが減ったと答えたが、全体を通して法律制定前よりも改善したのはこの年齢のこの項目だけであった。いじめ防止に関する法律は高校生に影響を与えやすいと調査は結論づけている。

(注意点:いじめの減少は防止法以外の対策による可能性もあると研究者らは指摘する。結果を検証するための対照実験は行われていない)

グループ行動が妊婦に与える影響

 グループで出生前ケアを受けた妊婦は、一対一の個人での出生前ケアを行った妊婦と比較して、出産ぎりぎりまで病院に行くのを我慢する傾向があることがジャーナル・オブ・ミッドワイファリー&ウィメンズ・ヘルス(助産術と女性の健康)誌にて発表された。

 グループによる検診や胎教は毎月助産師などと一緒に行われる点で通常のものと変わらないが、個人でやる場合よりも1回の時間が長く、血圧検査や体重測定に加えて他の妊婦とも話し合う場がもたれる。研究者らは女性が他の妊婦と交流を持つことで、妊娠中の痛みに対する忍耐力などが強まる可能性があると指摘する。なお出産まで時間がある中で入院をしてしまうと、帝王切開などの医療行為が実施される可能性が高くなると研究者らは指摘している。

 グループで妊婦をケアすることは母親が子育てをしていく上でいい効果があるとされていたが、出産行為そのものへの影響はこれまであまり知られていなかったと調査は報告している。

 研究は米オレゴン州にあるオレゴン・ヘルス・アンド・サイエンス大学で行われ、2009年から2014年の間にグループで出生前のケアを受けた30代前半の妊婦150人を対象とした。得られた数値は個人で同様のケアを受けた妊婦と比較して調査された。

 研究結果によるとグループでケアを受けた女性のうち、80%が活性分娩(ぶんべん)の状態で病院に入院しているが、それに対してグループではなく個人でケアを受けた女性は、その割合が69.8%だった。またグループでケアを受けた妊婦は入院の時点で子宮頚部拡張がより進んでおり、分娩中も硬膜外注射を利用する回数が少なかった。ただし両者の間で帝王切開を受けた人数の割合には差異が見られなかった。

 グループでの出生前ケアを受けた妊婦は個人で受けた妊婦と比較し、73%高い割合で活性分娩の段階で病院に入院していることも結果からは判明した。なお研究では妊婦の健康状態や経産婦かどうかなどの点も考慮されている。また、ケアの内容に関してはグループ型妊婦検診を行う「センタリング・プレグナンシー」と呼ばれる団体のプログラムと似たようなモデルが採用されている。

(注意点:グループでの出生前ケアを受けた妊婦が出産に関する講義を受けていたかどうかは考慮されていない。また対象となった妊婦はほとんどが既婚の白人女性)

会話をすることで高まるモチベーション

 転倒防止などを目的とした体操プログラムを行っている高齢者を調査したところ、電話で定期的に進展状況をやりとりすることで飛躍的に結果が改善することが判明した。調査はジャーナル・オブ・ジェリアトリック・フィジカル・セラピー(老齢者理学療法)誌に掲載された。

 調査は12週間にわたるプログラムを実施している高齢者を対象に行われ、研究者が毎週1回電話を入れることでどのような変化があるかを調べた。電話を受けなかったグループと比較した結果、通話をした高齢者はプログラムを長く継続する傾向があり、結果的に体力も大幅に改善することが判明したという。

 自宅用の体操プログラムは交通手段がない高齢者には便利だが、実際に長期間の内容を消化する割合はとても低いと研究者らは話している。研究者グループは電話でコンタクトをとり続けることで、高齢者が運動を続ける義務を感じ始めた可能性があると話す。

 ジョージア州にあるブレノー大学の研究グループは、今回の調査のために高齢者向けのクリニックの外来にかかっている64歳から88歳までの77人を募集。調査対象は男性が中心で、全員が過去1年の間に2回以上は転倒を経験し、理学療法士が作った自宅用体操プログラムを通して、足腰の筋肉を鍛えるなどしていた。研究グループはその77人のうちの半数と毎週15分にわたって電話で話をし、体操に関する質問や転倒などの報告をしたという。

 実験後の体のバランス感覚などを調べるため、77人には4週間ごとに14の項目からなる身体テストが行われた。テストには片足で立つ練習や床に落ちている物を拾う動きなども含まれていた。

 最初の1カ月は77人全員が同じような進歩を見せたが、バランス感覚を測るテストでは電話を受けていないグループの成果が2カ月目から下がり始めた。一方、電話を受けているグループは上昇を続けた。実験期間中の上達を数値化すると、電話を受け続けたグループは6.3ポイントもバランス感覚が上昇したのに対し、電話を受けていないグループは3.9ポイントのみの改善だった。医学的にも意義があるとされる6.5ポイントに近い数字を達成するなど、その成果は統計的にも大きなものであったと研究者グループは結論付けている。

(注意点:研究に参加した女性はわずか3人だった。うつ病や体の痛みなど運動継続に影響を与える可能性がある項目は考慮されなかった。)

カロリー摂取を認識する能力、肥満に影響か

 わずかでも肥満気味の子供は、どの程度のカロリーを摂取しているのか体が認識できていない可能性があるとする研究が、科学雑誌「PLOS One」に掲載された。

 調査を行った研究チームは18カ月にわたって対象となった子供たちの食事を研究し、学校の休み時間に砂糖入りの飲料とすり替えて無糖の飲み物を与え、その変化を研究した。するとボディマス指数(肥満度指数、BMI)が低い子供は得られなかった分のカロリーを他のものから摂取する傾向が見られたが、BMI指数が高い子供は減らしたカロリー分を他の食事や飲み物からとろうとしなかった。これは肥満気味の子供の体は飲み物にカロリーが少なかったことを認識できなかった可能性があると研究グループは話し、逆にカロリーをとり過ぎた場合でも同様に認識できない可能性があると結論付けている。

 今回の研究は無糖の飲み物が肥満に与える影響を調べた調査の一環として行われ、5歳から11歳までの子供を対象としてオランダで実施された。研究では238人の肥満気味の子供と239人のそうでない子供が比較された。それぞれのグループの半分がゼロカロリーの人工甘味料が使われた飲み物を学校の休み時間に与えられ、他は104キロカロリー程度の砂糖(小さじ6.5杯分)入りの飲み物を与えられた。

 BMIが低い子供は、減らされた分の65%に当たるカロリーをその後の食事などで摂取していたが、BMIが高い子供はその数値が13%にとどまった。数値は子供の成長と消費カロリーのバランスを考慮した統計モデルを基準に予測された。

 無糖の飲み物を摂取したBMIが低い子供は、砂糖入りの飲み物を摂取した子供と比較して平均して1.4ポンド(635グラム)ほど少ない体重増加だった。それと比べ、無糖の飲み物を摂取した肥満気味の子供は、砂糖入りの飲み物を摂取した子供と比べて3.4ポンド(1.5キロ)低い体重増加にとどまった。

 アメリカ国内では肥満や糖尿病を防ぐため、砂糖入りの飲み物の販売を制限している都市もある。太りやすい子供にこそ、そのような手法は有効かもしれないと研究チームは結論付けている。

(注意点:遺伝や人種的な違いも肥満傾向に影響することがあると研究者らは付け加えている)

By ANN LUKITS

最終更新:9月6日(火)18時27分

ウォール・ストリート・ジャーナル

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。