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「自治や人権の危機」名護市長、IUCNで沖縄支援訴え

沖縄タイムス 9/6(火) 7:35配信

 【ホノルルで平安名純代・米国特約記者】稲嶺進名護市長は4日、米ハワイ州ホノルル市で開催中の国際自然保護連合(IUCN)の世界自然保護総会の一環で記者会見し、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設計画について、辺野古移設が唯一と主張する日米両政府が、計画に反対する市民らを暴力的に排除する態勢の下、沖縄の自治や人権が危機に直面していると警鐘を鳴らした。大浦湾を守るために、世界各国の科学者や環境専門家など約9千人が参加するIUCNの関係者らに「われわれに力を貸してほしい」と訴えた。

 稲嶺市長は、新基地建設計画に反対する沖縄の民意は主要選挙で何度も明確に示され、大規模な抗議行動も展開してきたものの「日米両政府はまったく聞く耳を持たない」と批判。

 東村高江周辺で計画されているヘリパッド建設をめぐる過剰な武力行使について「地方自治も危ない。人権もおびやかされている」と指摘。「武力で平和は構築できない。心をひとつにしてお互いを信頼する関係ができれば、平和を私たちの手で勝ち取ることができる」と呼び掛けた。

 記者会見は、非政府組織(NGO)のジュゴン保護キャンペーンセンターが主催した。同センターの吉川秀樹さんは「日本政府は新基地建設計画は環境への影響はないと言っているが、政府は環境影響評価に関わった専門家らの名前すら明らかにしていない。米政府はこうした調査結果をなぜ信用できるのか」と疑問を示した。海勢頭豊さんは「大浦湾のジュゴンは平和の象徴。大浦湾を守ることは人類を守り、未来を守るための闘いだ」と述べた。

 ハワイ在住の映像作家のマイケル・ベイリーさんは「望まれない米軍基地の存在で沖縄の人々が土地を奪われ、何十年もの間にわたり自然や生活環境を破壊され、新たな基地建設計画のために人権までも奪われようとしていることがよく理解できた。稲嶺市長らの総会参加は非常に意義がある」と評価。「世界の環境専門家や活動家らにこの事実を伝えて、沖縄の人々にあなたたちは決して孤立しているのではないと伝えたい」と述べた。

■名護市長発言要旨 

 今回はIUCNの総会に、わが沖縄で活動を展開しているジュゴン保護キャンペンセンターを通じ、私も参加する機会を得た。関係者の皆さんに心から感謝と敬意を表する。

 今、わが名護市辺野古崎、大浦湾を埋め立てて、米軍の飛行場が造られようとしている。これは1996年の当時の橋本(龍太郎)首相とモンデール米大使による普天間基地返還合意に始まる。日米両政府が辺野古崎に普天間の代替施設を造るという計画が発表されて以来、日本政府と米政府は辺野古に移設するのが唯一の解決策だとし、計画を強権的に推し進め、警察や機動隊、海上保安庁職員などを動員し、頭ごなしに暴力的に計画に反対する市民を押さえつける状況がこれまで続いている。

 しかし現在の翁長知事が誕生し、埋め立て承認を取り消し、日本政府と沖縄県は裁判闘争に入った。私たちは日米両政府に対し、不条理な建設の計画、そして暴力的な鎮圧に対して市民運動を展開し、猛烈な反対行動を起こしてきた。そして市民や県民の思いは、あらゆる重要な選挙ではっきりと民意を示してきた。大きな抗議行動もこれまでに何度も展開してきた。しかし、日米両政府はまったく聞く耳を持たない。

 今回は、世界中に訴えるためにこのIUCNの総会に参加した。ぜひ私たちの声を聞いていただきたい、そして実情を知っていただきたい。そして多くの専門家の方々にぜひ力を貸していただきたい。私たちの子や孫の未来を、今いる私たち親の世代がいかにして立派な豊かな自然を残していけるかどうかは、今の私たちにかかっている。皆さん、ぜひ一緒に考えてください。そして皆さんのお考えもお聞かせてください。できるならば支援をいただきたい。

 私たち沖縄県民は戦後70年も0・6%の面積に74%の軍事基地を抱えてきた。もうこれ以上は我慢できない。地方自治も危ない。人権もおびやかされている。こういう状況が沖縄では今まさに現実に沖縄で起こっている。武力で平和は構築できない。沖縄には、いちゃりばちょーでーという言葉がある。心を開き、心をひとつにして、お互いを信頼する関係ができれば、平和を私たちの手で勝ち取ることができる。

最終更新:9/6(火) 15:50

沖縄タイムス