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被災バネに課題へ挑戦

紀伊民報 9月6日(火)16時46分配信

 2011年9月の紀伊半島大水害をバネに、地域課題に取り組んできた住民の挑戦が実を結びつつある。

 和歌山県新宮市熊野川町の山あい、過疎が進む小さな集落の廃校舎に「ブックカフェ・クジュウ」はある。教室には絵本や生活関連の雑誌など個性的な品ぞろえの本が並び、コーヒーと焼きたてのパンの香りが漂う。オープンから2年。かつて校庭だった駐車場には大阪や名古屋など他府県ナンバーの車も目立つ。

 木造平屋の廃校舎は大水害で浸水し、解体撤去寸前だった。そこで11年4月にIターンしてきたばかりの柴田哲弥さん(32)が「お金をかけて壊すより、地域のために生かしたい」と市に提案し、挑戦が始まった。

 目指したのは地元の人が気軽に集まり、外部とも交流できる場所づくり。柴田さんをはじめとするボランティアの若者が土砂を撤去することから始めた。作業を通じ、地元の人々との交流も深まった。13年11月に先行してカフェとパン店が、翌14年5月に本屋が開店した。

 柴田さんらは長年途絶えていた地区の盆踊りを復活させた。今夏で4回目の開催。かつての校庭に帰省した地区出身者らも集まり、毎年50人前後の参加がある。よみがえった廃校舎は、目指していた場所に近づきつつある。

最終更新:9月6日(火)16時46分

紀伊民報