ここから本文です

「空港は毎日が想定外」特集・成田空港のJAL接客No.1選ぶN-1グランプリ

Aviation Wire 9月7日(水)11時21分配信

 国際線を利用する際、多くの人が最初に接するのが航空会社の地上旅客係員(グランドスタッフ)だ。最近はウェブチェックインを利用する人が増えたが、手荷物を預けることが多い国際線の場合、チェックインカウンターの係員がどのように接客するかで、航空会社の印象が大きく左右される。

 日本航空(JAL/JL、9201)は、成田空港に勤務する地上旅客係員(グランドスタッフ)の接客技術を競う「N-1グランプリ 2016」を、空港内のオペレーションセンターで開催した。10年ほど前に始まったアナウンス技術のコンテストから発展したもので、9月2日に開いた今回で4回目を迎えた。

 成田空港のチェックインカウンターや搭乗口での業務は、JALの子会社JALスカイの成田事業所が担当。JAL便のほか、海外から乗り入れる航空会社の業務も受託している。旅客係員は、第1部から第3部まで3つの部に分かれてシフトを組んでおり、1つの部が約300人、計900人が働いている。

 大会には3つ部から予選や選考を勝ち抜いた9人が参加。審査はアナウンスと接客の2項目で実施された。1位から3位を受賞した3人は、11月に全国の旅客係員が羽田に集まり、接客技術を競う「空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」に、成田代表として出場する。

◆日本語も英語も通じない

 午前の部では、イレギュラー運航などの案内アナウンス技術が審査され、午後の部となるチェックインカウンターでの接客技術を審査する1人8分間の「ロールプレイ審査」では、国籍や渡航目的が異なる4組の乗客役を社員が演じ、出場者は接客技術を競った。

 中でも出場者が対応に苦慮していたのが、近年増えている中国人客への接客シナリオ。1番目に登場する男性客で、日本語も英語もわからない人を想定した。機内に持ち込めない危険物の確認や、窓側と通路側のどちらを希望するかなど、出場者は身振り手振りや簡単な中国語で対応していた。

 この1番目の中国人客役の接客に、多くの出場者は時間が掛かっていた。このため、列に並ぶ残り3組の乗客役からは「疲れた」といったセリフが漏れ聞こえてくるなど、列が早く進んで欲しいことを態度で示していた。

 2番目の乗客は、ロサンゼルスに赴任した夫のもとへ引っ越す妊娠した母親と小さな男の子。妊娠していることに出場者が気づくか、列に並んで待ちくたびれた子供にどう接するかなど、乗客がどのような状況に置かれるかをしっかり把握できているかが審査されたようだ。

 3番目の乗客は、ニューヨークへ出張する米国人女性2人組。演じた女性社員は海外生活が豊富で、列に並んでいる時も常に英語で会話して待つなど、本格的なものだった。

 出場者が応対するカウンターはエコノミークラスを想定していたが、彼女たちはビジネスクラスの乗客を想定。搭乗するクラスを間違えて並んでしまった人にどう接するかも、審査基準のようだった。

 そして9人の出場者が全員到達しなかったのが4組目の乗客。友達同士でソウル旅行へ向かう女性2人組がだった。乗客役の社員たちは、カウンターで乗客としてどう演技するかだけではなく、待ち時間の過ごし方もそれぞれの乗客の特徴をつかんでいた。

◆毎日が想定外

 アナウンスとロールプレイを総合的に審査した結果、成田事業所第2部所属の尾野彩佳さん(21)が優勝。入社2年目で、ファーストクラスカウンターなどを担当するプレミアムグループに所属する。第2位は第3部の佐藤綾さん(25)、第3位は第1部の平坂彩さん(23)が選ばれた。尾野さんには、優勝者の証となるティアラと賞状が贈られ、3人は11月14日のプロフェッショナルコンテスト予選、15日の本選に挑む。

 入賞した3人にとって、1人目が中国人客役というのは想定外だったという。中国人客との会話は普段から難しいという尾野さんは、「業務で少し覚えた中国語の“ライターはカバンの中に入れないでください”や数字は使えました」と話す。

 2位の佐藤さんも、「日本語が通じる人なのか、英語が通じる人なのか、中国語しか通じない人なのか、最初は判断に迷いました」と話す。カウンターでも言葉が通じない経験をするという佐藤さんも、ライターなどの単語や数字を覚えた。簡単な単語を使うと、相手もわかろうとしてくれるという。

 そして、中国人客役に接客に時間が掛かる中、後に並ぶ乗客役から「疲れたね」といったセリフが聞こえてくるのは、「プレッシャーになりました」と率直な感想を述べた。

 3位の平坂さんは、「言葉が通じないことにあせりました」と振り返る。「空港は毎日が想定外。何万人という人がいらっしゃる中で、それに対応できてこそ本当のプロと言えます」と話す平坂さんは、11月のコンテストでは臨機応変な対応が出来るようにしたいという。

 N-1グランプリの“N-1”は「成田のナンバー1」を表わす。尾野さんら成田の上位3人は、11月に全国から集まるJALの空港サービスのプロたちの中でも、ナンバー1を目指す。

Tadayuki YOSHIKAWA

最終更新:9月7日(水)11時21分

Aviation Wire

いかにして巨大イカを見つけたか
人類は水中撮影を始めたときから巨大イカ(ダイオウイカ)を探し求めてきました。しかしその深海の怪物を見つけることは難しく、今まで撮影に成功したことはありませんでした。海洋学者であり発明家でもあるエディス・ウィダーは、ダイオウイカの初の撮影を可能にした知見とチームワークについて語ります。