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これぞ矢口史靖監督の原点! 8ミリ自主映画『雨女』をPFFで上映

ぴあ映画生活 9月7日(水)12時5分配信

間もなく開催がスタートする第38回PFFぴあフィルムフェスティバル。今回の映画祭でひとつの目玉企画となるのが“8ミリ・マッドネス!!~自主映画パンク時代~”だ。この特集は、現在第一線で活躍する映画監督の原点となった8ミリ自主映画の傑作を集めたもの。『雨女』は矢口史靖監督が1990年に発表し、同年PFFでグランプリに輝いた一作だ。

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矢口史靖監督の名から浮かぶ、作品イメージはどんなものだろう? 出世作となった『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』、『ハッピーフライト』に一昨年発表された『WOOD JOB!(ウッジョブ)…』など、いずれにしても“明快なエンターテイメント”というイメージはあるのではなかろうか。そのイメージをもって矢口監督が自主映画として発表した『雨女』を観ると、ちょっと驚くかもしれない。表面だけでみると、あまりに“明快な娯楽”とは映像も内容も程遠いので。

ただ、それはあくまで表層上に過ぎない。『雨女』のひとつひとつをつぶさに見ていくと、実は矢口監督ののちにしっかりとつながる優れた“エンターテインメント性”がこの時点で随所に発揮されていることに気づくはずだ。

『雨女』は簡単に説明すると、本作の翌年、奇しくも公開される『テルマ&ルイーズ』と重なるような、ふたりの女の子が暴走する物語。傍若無人な行為に走るふたりの日常が描かれる。ただ、その表現手法はよく言えばジャンル・ミックス、悪く言えばもうはちゃめちゃ。近年の映画でいえばデヴィッド・フィンチャー監督の『パニック・ルーム』を思わせるような室外から室内へと導くオープニングのショットからはじまり、あるシーンは女性の足先を執拗に追った官能ロマン、あるシーンは女の子のかわいさをきっちりとらえた当時、流行していたアイドル映画、あるシーンは身も凍るようなホラー、あるシーンは1発勝負のドキュメンタリーと、映画のカラーがこちらも驚くくらいころころと変わっていく。それはある意味、バラバラでまとまりがない。

でも、一方で混然一体となってこちらに向かってくるようなパワーも不思議と宿る。そのパワーの源は、何かといえば、矢口ワールドの真骨頂といっていい“エンターテイメント性”にほかならない。巻き込まれた素人ははた迷惑だったと思わずにいられない過激なアプローチで撮られたドキュメンタリー映像、今だったら許されないかもしれない炎上シーン、四谷怪談を想起させるおどろおどろしさが漂うホラーの場面など、いずれの映像も驚きや面白さが溢れ、一喜一憂させられる。とにかく映画のひとつの大きな醍醐味である“娯楽”を体感できるといっていい。それは同時に矢口史靖という才能のスタートに出会うことでもあるといえるだろう。

最後にひとつ、ちょっとしたトリビアネタを加えておくと、俳優、監督として活躍中で矢口監督の盟友として知られる鈴木卓爾、そして、あの異端児、鈴木清順監督も出演。この登場シーンもお見逃しなく。

文:水上賢治

第38回PFFぴあフィルムフェスティバル
9月10日(土)から23日(金)まで 東京国立近代美術館フィルムセンター(月曜休館)
10月29日(土)から11月4日(金) まで 京都シネマ
11月3日(木・祝)から6日(日) まで 神戸アートビレッジセンター
11月11日(金)から13日(日) まで 愛知芸術文化センター
2017年4月 福岡市総合図書館

最終更新:9月7日(水)12時9分

ぴあ映画生活

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。