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相手を落とすなら「質問力」 こんなシーンではどう使う?

日刊ゲンダイDIGITAL 9月7日(水)9時26分配信

 夏休みも終わり、今年度も折り返し地点に差し掛かった。営業成績がいまひとつのサラリーマンは、「質問力」で巻き返したい。10万人のビジネスパーソンを指導してきた話し方のプロは、「冗舌な営業マンより、質問ができる営業マンが結果を出している」と言う。「人を動かしてしまう すごい質問力」の著者で櫻井弘話し方研究所の櫻井弘代表に、ビジネス場面で成功する質問のコツを聞いた。

「ビジネスの最終目的は、相手を説得することです。ただ多くの人が誤解していると思いますが、説得とは相手を言いくるめることではありません。自発的にその気になるように働きかけること。その際のポイントになるのが質問なのです。質問とは、聞き手の“質”が“問”われる行為。以前、あるコンサルタントに『櫻井さんの話し方の持ち味ってなんですか?』と聞かれたことがあります。“なんだろう”と考えだしたとき、すかさず彼は『私は、掴みだと思うんです』と自説を述べ始めた。自分の考えを最初に言われると、人は『君に言われたくない』と反発したくなるものです。質問でワンクッション入れることで、『言われてみれば――』と相手の考えを受け入れる態勢が自然とできるんです。彼はそのやり方で成果を出していましたね」

 それでは実際のビジネスの場面でどのように質問を使うと効果的なのか。櫻井氏のアドバイスはこうだ。

■言われたことしかやらない若手に仕事をさせる

A「山田くん、来週までに会議用の資料をまとめてくれ」

B「山田くん、君の仕事は時間に正確で助かっている。そこで、来週の会議の資料をまとめてほしいのだが、どうだろう?」

「上司が部下に仕事を頼む場合、Bの方がモチベーションが上がります。『やってくれ』と言われて『YES』と言う場合、言われた方には“やらされている”という意識が働きます。ところが、『どうだろう?』と言われて『YES』と答えた場合は、自分で決断している格好になる。後者の方が、その仕事に対する責任感も強くなります」

■取引先の迷う相手に 最後のひと押しをしたい

A「先ほど、社長はお客さまの笑顔が一番とおっしゃいましたね? まさに、今回私たちが目指すプロジェクトは、笑顔を引き出せるもので――」

B「そこをなんとか。我々も、今回のプロジェクトを成功させないと、大変なんです」

「ビジネスの場で自分たちの都合を持ち出すのはナンセンス。“最後のひと押し”は、相手の会社の理念や会話の中で出た言葉を借りて、質問として投げかけるのがいいです。それも『お客さまの笑顔を』『お客さまを大切に』とか、普遍的な部分を問いかけに使うと、相手は『確かにそうだけど』と隙を見せます。また、商談で相手が断ろうとしている場合、『うちの社員の4割が反対しています』とネガティブな情報として数字を挙げてくることがあります。そこは、『6割は賛成なのに、いいんですか?』と変換させて、問いかける。こうすることで結果が覆ることも珍しくありません」

■会議で企画を通したい

「小さなYESを重ねるのがポイントです。本題に入る前に、『今日、暑くないですか』などと相手がYESと答える質問をいくつも、投げかける。心理的に、断りづらくする手法です。また、最初に質問をすると、聞いている側は『指されるかも』と警戒し、しっかり聞こうという気持ちになります」

 通したい企画とは別に捨てる企画も用意して、決定権を持つ相手に「どちらがお好きですか?」と質問し、通したい企画を選ばせる方法もある。

「最初から、『~と思います。やりましょう』と断定すると、相手は押し付けられた気分になり、反論するものです」

 押し付けた感じにならなければ、相手にも嫌われない。話し上手は聞き上手と肝に銘ずるべきだ。

最終更新:9月7日(水)9時26分

日刊ゲンダイDIGITAL