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アングル:「打倒アップル」焦るサムスン電子、品質管理にしわ寄せ

ロイター 9月7日(水)15時18分配信

[ソウル 6日 ロイター] - 世界最大のスマートフォン(スマホ)メーカーである韓国のサムスン電子<005930.KS>は、米アップル<AAPL.O>の新型「iPhone(アイフォーン)」などのライバル製品に先んじようと、新製品の発売サイクルの短期化に取り組んできた。

しかし、前のめりになるあまり、品質テストを十分に行っていないのではないかとの懸念が広がりつつある。

サムスン電子は昨年以降「ギャラクシーS」や「ギャラクシーノート」シリーズモデルの発売を1カ月程度、前倒ししている。その甲斐あって4─6月の利益は2年超ぶりの高水準となったが、一方でサプライチェーンに負担がかかり、メーカーとしての評判が揺らいでもいる。

サムスン電子は2日、新型スマホ「ギャラクシーノート7」のバッテリーに不具合が確認されたことを理由に、韓国や米国など10市場でリコールを実施すると発表。これら市場での販売を無期限に停止した。

アップルが今月、新型「iPhone」を発表すると見られるなか、サムスン電子はリコールで、モバイル事業復活が不透明になった。

「ソニーVSサムスン」の著書がある韓国科学技術院の張世進教授は「9月に『iPhone』が公開されることは周知であり、サムスンはアップルの先手を打とうと急ぎ過ぎたのではないか」と指摘。「サプライヤーも急がせることになった可能性がある」との見方を示した。

サムスン電子はロイターへの声明で、製品は「周到に準備」しており、「開発プロセスが適切に終わった後でのみ」発売すると強調した。

同社は2日、バッテリーサプライヤーの製造工程に問題があったと説明。モバイル事業トップは「品質管理の改善に努める」と述べた。

サムスン電子では昨年にも、サプライチェーン管理上の問題で、「ギャラクシーS6」シリーズの販売が伸び悩む事態が起きた。

「ギャラクシーS6エッジ」の特徴である丸みを帯びたスクリーンなどの生産に問題が生じたため、「ギャラクシーS6エッジ」自体の評判は高かったにもかかわらず、供給不足により失速してしまったのだ。

<背景に「急ぎ過ぎ」>

カウンターポイントのアナリスト、ジェフ・フィールドハック氏によると、サムスン電子は今年、「ギャラクシーS7」の発売を1カ月前倒しし、LG電子<066570.KS>の「G5」を出し抜くことに成功した。

フィールドハック氏は「サムスン電子は今回も、アップルより1カ月早く製品を出すことで、同じ効果を狙ったのではないか」と語った。

「一刻も早く市場に出そうとするあまり開発や検査の時間が短縮されることは多い。(今回のリコールにつながった)充電についても、すべてのシナリオが完全にはテストされなかった可能性がある」とした。

サムスン電子のある幹部は、リコール発表前にロイターに対して「当社のエンジニアは経験が非常に豊富であり、デザイン変更への対応を頼めばすぐ実行する。しかし、スケジュールが非常にきつくなっているため、その能力にも限界が来ているのかもしれない」と話していた。

リコール発表を受けて、地元証券会社の韓国投資は、サムスン電子の第3・四半期の営業利益見通しを1兆1000億ウォン引き下げて、7兆1000億ウォンとした。ただし、リコールはサムスン電子のスマホ事業のより幅広い回復を妨げることはないとの見方を示している。

(Se Young Lee記者 翻訳:吉川彩 編集:佐々木美和)

最終更新:9月7日(水)19時31分

ロイター