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東京ゲームショウ2016前に読んでおくべき! 『龍が如く6 命の詩。』横山昌義プロデューサーへの1万字インタビュー

ファミ通.com 9/7(水) 22:22配信

文・取材:ライター 齋藤モゲ

●舞台設定から物語、そしてゲームの内容まで、そのすべてを聞く!
  2016年8月4日に発売された週刊ファミ通の新コーナー“龍速”において、一問一答スタイルで掲載された横山昌義氏(『龍が如く6 命の詩。』のプロデューサー&脚本/演出担当)へのインタビュー。今回はその内容のフルバージョンを再構成して掲載する! 誌面掲載当時は書けなかったことも数多く追加し、東京ゲームショウ2016開催前の段階で、横山氏が言えることのすべてがここに凝縮されているので、『龍が如く』ファンは一読すべし!

※本インタビューは、週刊ファミ通2016年8月18・25日合併号(2016年8月4日発売)の“龍速”記事内に掲載した内容に、加筆・修正を施した完全版です。
※以下では『龍が如く6 命の詩。』を『龍6』と表記します。


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●『龍6』の新たな舞台は、なぜ広島・尾道だったのか?
――『龍6』での舞台のひとつに尾道仁涯町を据えた理由はどこにあるのでしょう?

横山昌義氏(以下、横山) 最大の理由は、失踪した遥にもっとも相応しい場所だったからです。『龍6』の物語を考えるに当たっては、『龍が如く5 夢、叶えし者』(以下、『龍5』)の続きであることを猛烈に意識しました。ですから『龍6』は、『龍が如く』シリーズ史上、もっともつながり重視の物語になっていると思います。『龍5』の結末の後をイメージしていくうえで、軸となったのは桐生と遥のその後です。遥はあの後どういう道を進んでいったのか? それを考えれば考えるほど、東京や大阪といった歓楽街ではない、情緒ある田舎の街が頭の中に浮かびました。じつは『龍5』以降、全国のあちこちの街に取材に行き、自分の目でたくさんの街を見たのですが、『龍6』の物語を作り上げるには、尾道仁涯町が必要不可欠だと思ったんです。

――『龍6』の構想は、そんなに以前から練られていたのですね?

横山 構想自体は『龍5』を作り終えた直後からですね。正直、これまでは前の作品の内容をあまり引きずらない作りかたをしています。そして、それをくり返し、『龍5』でゲームとしての立て付けの大きさみたいなものは最高峰に達しました。だからこそ『龍6』は、『龍5』までシリーズを遊んでくれた人を丸ごと納得させるものでないとダメだ、という意識があって。『龍5』を遊んでくださった方はわかると思うのですが、そのクライマックスは衝撃的ですし、受け取りかたによっては、グッドエンディングにもバッドエンディングにも見えるものでした。だからこそ『龍6』では、物語を作りだす最初の段階で、きちんと“終わりかた”というものを意識しました。そのうえで『龍6』は“桐生一馬伝説、最終章”と銘打つことになったんです。

――舞台としての広島・尾道の採用は、極道映画などでも有名な場所なので、それが理由だと思われた方も多かったと思うのですが。

横山  『仁義なき戦い』という名作映画がある以上、“広島”というキーワードを公開したときにそう言われることも予想していましたし、ロケ地としての魅力があるから、過去の映像作品でも使われてきたのだと思います。ただ、本作は「舞台は広島だ」と言うより、「舞台は尾道だ」と言うのが正しい表現。『龍6』のストーリーは、どうしても尾道でなければ作ることができなかったんですよ。正直、尾道がたまたま広島県だっただけで、もしも尾道が岡山県にあったとしても、やっぱり尾道を舞台にしたと思います(笑)。

――『龍6』物語を楽しむ際には、尾道になった理由も気にしながら遊んでみたいと思います。

横山 物語が描かれる舞台としても重要なのですが、街が持つ魅力も神室町と正反対のものになるので、楽しんでいただけると思います。

――それにしても、シリーズ全作に登場する神室町も、『龍6』ではプレイステーション4専用になったことで作り込みの深度がすさまじいものになりましたね。

横山 そうですね。『龍6』の体験版(編集部注:2016年1月21日発売のPS4/PS3ソフト『龍が如く 極』にダウンロードコードが封入されていた『龍6』先行体験版のこと)に触れていただいた方はわかると思うのですが、いままで街の“裏側”だった部分もしっかりと作り込みたいという想いがあって。たとえば“ハンバーガー店の2階から外の様子を見る”なんてこともできますし、そういうシーンがバトルの起点になったりすることもあると思っていただければと。そして、それが限定されたイベントシーンでなく、ふつうに起こるのが『龍6』なんです。街の作りについても、かつてないほどの掘り下げかたをしているので、神室町だけでも十分に楽しんでいただけると思いますよ。

――話をうかがっているだけで、街歩きが楽しみになりますね。

横山 そもそも最初の『龍が如く』の神室町が持っていた魅力って、歓楽街が持つアンダーグラウンド感とか、淫靡さなどの再現がありつつ、その根っこにあったのは“実際の世界ではなかなか開けられない扉を開ける”という体験だったと思うんです。代表的な例で言えば、キャバクラですね。当時(編集部注:初代『龍が如く』が発売されたのは2005年12月)はいまほど一般的な存在ではなくて、店に入ることに躊躇していた人も多かったと思うんです。でも「ゲームという仮想空間なんだから、ぜひ入って遊んでほしい、このゲームで最初の一歩を踏み出してほしい」という想いがあって。その思想をそのまま具現化したのが神室町自体だったりするんですね。ただ、いまではみんな神室町で“入るのに躊躇する”なんてことはなくなったと思うんですよ。『龍6』ではそこを見直し、改めて“なかなか開けられない扉を開ける体験”をしてほしいと思っていて。もちろん、神室町にもそういう要素は盛り込んでいますが、その中のひとつに、尾道仁涯町のうらぶれたスナック街があったりするんですよ。

――確かに、スナックって地元の常連さんばかりのイメージで、街の外から訪れた人間はちょっと入りづらいですね。

横山 でも、本当はぜんぜん入ってもいいわけで。少し勇気を出せば、楽しめるかもしれない。実際には、一見さんお断りの場合もたくさんありますけどね(笑)。

――やっぱり、そういうお店もあるんですよね(笑)。

横山 それで言うと、じつはスナックだけじゃなくて、尾道という土地は、街自体もけっこう入りづらい(笑)。有名な観光地なのですけど、わかりやすく観光地化されているところと、そうじゃないところのギャップがすごいんです。

――ああ、あるほど。

横山 私たちが『龍6』で描きたかったのは、尾道の観光地化されていない部分。そこに行くと、やっぱり“よそ者が入ってしまった感”をけっこう感じてしまうのですけど、その感じをダイレクトに表現できたらな、と思いました。それこそが“なかなか開けられない扉を開ける体験”に繋がるのではないかと思って(笑)。

――よそ者感みたいな空気の再現をしようというのは、おもしろいですね。でも、それはすごくわかりやすい“開けられない扉”なのかもしれません。

横山 あと、これは実際の尾道も同じなのですが、尾道仁涯町はかつて栄えていた面影はあるものの、隣町が発展したせいで、現在では人が少なくなってしまったという街なんです。しかも、大掛かりな区画整理がされるでもなく、年を重ねるごとに増築をくり返していった結果、街自体が迷路のようになっている。物語を作る側の視点で考えると、奇跡のような地域なんですよ。

――すでに公開されている画面写真でも、その迷路感は見られましたね。

横山 直線が少なくて、入り組んでいますからね。また、坂が多いので、すごく立体的なのも特徴です。そういう意味でも、神室町との対比ができておもしろい。場所によっては、隣家の2階と3階が繋がっているようなところもありますからね。

――歩いているだけで、かなり混乱しそうです(笑)。

横山 いやあ、私も取材に行ったとき「どうしてこの街はこんな作りなんだろう?」と、何度も思ったくらいですから(笑)。あと、今回は街の各所にご協力していただいたことも、これまでと少し違うところですね。たとえば、尾道仁涯町に登場するロープウェイは、許可をいただいて収録しています。ですから、尾道仁涯町はいままで『龍が如く』シリーズで描いてきた以上にリアルな街になっていますよ。

――なるほど。でも、街の名前自体は尾道ではなく、尾道仁涯町なんですね?

横山 それは、あくまでもシリーズ制作上のポリシーです。以前からインタビューなどではお話していますが、『龍が如く』は街を“再現”するのではなく、リアリティーを感じられるワクワクする街を“表現”しています。言葉遊びみたいに聞こえるかもしれませんが、我々は“ゲーム”を楽しくするために、必要とあらば街中やビルの中で暴れて建物を破壊したり、敵の血を壁や地面に擦りつけたりもします。これらの行為自体は、リアリティーを感じられるものの、アンリアルなものでなければなりませんし、架空の空間でこそ成立するものだと思っています。こんなにリアルに街を作っておいて、なに屁理屈言ってんだと思われるかもしれませんが(笑)

――とはいえ、そこまでリアルに作り込まれていることを考えると、ゲームを遊んでから尾道へ観光に行ったり、逆にゲームを始める前に尾道に行っておくのも楽しそうですね。

横山 実際、どちらをやっても楽しいと思いますよ。私たちとしても、そういう視点で観光したときに楽しめるような仕掛けを考えています。まだ詳しくは言えないのですけれど。

――おお! 新しい試みですね。

横山 いずれ発表できると思いますので、楽しみにしていてください。

――ちなみに、ゲームのバランスとしては、神室町と尾道仁涯町の比率はどの程度になるのでしょう?

横山 話の都合上、ふたつの街を行き来するのですが、だいたい5:5くらいになりそうです。『龍が如く』シリーズの場合、皆さんがどこの街のプレイスポットでじっくり遊ぶかによっても、滞在時間が大きく変わるので、一概には言えないのですが。

――尾道仁涯町にあるプレイスポットは、どんなものになる予定ですか?

横山 神室町と共通するプレイスポットは少ないですね。ただ、尾道仁涯町の画面写真からイメージしていただけるような遊びが入っていると思いますよ。ゲーム的にも抜群におもしろいネタが詰まっている街なので。

――海があって、山があって、それらに相応しいようなスポットが……?

横山 そういうことですね。それ以外にも“尾道っぽい遊び”で楽しめるように。これまでの『龍が如く』は、おもに歓楽街を舞台としてきました。だから、神室町以外の街が登場しても、プレイスポット自体は似たようなものが多かったんです。でも本作では、神室町と似たような構成要素を表現するのはやめて、“尾道仁涯町でなければ成立しない新たな遊び”というものを目指しています。リアルで尾道に行けば、もしかするとその内容が想像できるかもしれませんね。尾道仁涯町には神室町にない魅力があるので、それを最大限活かしたいなと。当然、プレイスポット以外にも、それだけでゲーム1本ぶんと言えるような、大規模な新要素を予定しています。

――これまでとはまったく違う“街遊び”が楽しめそうですね。ちなみに、今回のプレイスポットの量と質は、どのような感じになるのでしょうか。

横山 もちろん、たくさん入っていますよ。どちらかと言えば、プレイスポットの数がどうこうというより、大きな新しい遊びがたくさん入っているという感じですね。プレイスポットクラスの遊びでは、従来通りのものから、いまっぽい流行りのものまで……。ただ、先ほど言った大きな遊びというのは、そういう規模感のモノではなくて。たとえば、雑誌のファミ通さんだったら、数ページが説明に割かれるような、そんな規模感の新しい仕掛けを用意しています。

――たとえば、過去作品で言うなら“キャバつく”くらいのサイズ感をイメージすればいいのでしょうか?

横山 そうですねえ……『龍が如く 維新!』のときのバトルダンジョンくらいの、「これだけでゲームとして成立するのでは?」というイメージで考えていただけると(笑)。

――おお! それは期待しています!

●“桐生一馬伝説、最終章”の意味と、そこにかける意気込みとは?
――『龍6』では早々に“桐生一馬伝説、最終章”と銘打ったわけですが、そういう作品を作ることに対する“恐れ”はありましたか?

横山 恐れはないですね。これは名越(編集部注:名越稔洋氏。『龍が如く』シリーズの総合監督)もつねづね言っているのですが、作り手には“始めたからには終わらせる責任がある”と。その終わりかたも、売れなかったから続編が出ないという商売的な都合には絶対にしたくない。だから、これまでも『龍が如く』シリーズの制作時は、終わりというものをつねに意識して作ってきました。本作では“桐生一馬伝説、最終章”を銘打つことになりましたが、物語をひと区切りさせるための覚悟は、これまでと何も変わらないです。

――シリーズファンとしては、永遠に続いてほしいと考えるものだと思うのですけれど。

横山 とはいえ、現実と同じように年を重ねていくことを選んだ桐生一馬の物語では、やっぱり永遠に続けることはあり得ないのも事実です。

――“桐生一馬伝説、最終章”という集大成的な作品を手掛けるに当たって、開発スタッフの皆さんの意気込みが違う、なんていうことはありますか?

横山 物語のコンセプトとしては集大成という側面もありますが、内容的にはおとなしくまとめるつもりは毛頭なく、ストーリーやゲーム性の面で、かなり踏み込んだチャレンジをしています。たとえば脚本で言うと、私は今回、シリーズ構成に近い立場になっており、執筆のメインは古田(編集部注:古田剛志氏。龍が如くスタジオ 脚本/演出補)が担当しています。そこに私と名越が章やシーンごとに脚本を担当したりして、一時期の連ドラに近い形で制作しているんです。オンリーワンで制作していないぶん、私には書けないセリフがあったり、キャラクターが生まれていると思います。これは脚本に限ったことではなく、今回はバトルチームやモーションチームなどでも大抜擢されたスタッフが活躍しています。これはシリーズが始まってから10年が経ち、“龍らしさ”というものがスタッフのあいだで共有されているからこそ、作り手を変え、思想を変え、新しいものをアウトプットしていきたいからなんです。だから“最終章”でありながらも、これまでの『龍が如く』とは違った魅力を随所に感じてもらえるタイトルになっていると思いますよ。

――「最後だから」という感じではなく、むしろかなり挑戦的な作品なのですね。

横山 そうだと思います。

――プレイステーション4専用になったことで、横山さんが印象的だったことは?

横山 『龍6』先行体験版で、技術的な基礎の部分はお披露目しましたが、街の外と室内の切り換わりがないことや、処理能力の高さによってもたらされる新しい遊びが増えことが印象的ですね。ただ、個人的にいちばん強く実感しているのは“桐生一馬”がカッコよくなったことです。純粋にモデリングが美しくなったというのもありますが、カメラに向かって歩いてくるだけでカッコいい。そのときの桐生の感情やイラつき、口では表現できない“心”をきちんと表現できるようになっています。これはいままで技術的に拾い切れていなかった桐生の身体のモーションと、フェイスモーションのアクターである三元雅芸くんの演技や、声優の黒田崇矢さんの演技を受け止める器が著しく進化したということです。公開中のPVでも感じていただけるかもしれませんが、ゲームとしてさらに一段上の表現を手に入れられたと感じています。

――いままでだったら、それは出てこなかったと?

横山 ムリでしたね。演じていたとしても、その細かさは拾うことができなかったですし。逆にそういう細かいところが拾えるとわかって、三元くんもこれまでにない演技をしてくる。そして、そういった演技を、顔の表情を作るフェイシャルチームがキッチリと活かす。このような複合効果のおかげで、実在感がこれまでとはケタ違いなんです。とはいえ、それが実写っぽいということでもなく。CGならではの良さがあり、『龍が如く』ならではの空気感を出せたと思っています。だからこそ、これまで以上に実在の人物をモデルにしたキャラクターの中に桐生がいても、違和感がないんです。

――確かに。クオリティーの高い桐生に合わせられるから、実在キャストのキャラクターをよりリアルにできたり、ということもありそうです。

横山 それはありますね。加えて、CGだからこそできる演技というものがありますからね。たとえば、ビートたけしさんの演じる広瀬徹という役。彼は、ふだんのビートたけしさんが演じる役とはまた違った演技やアクションをする。それはやっぱり新鮮ですしね。

――『龍が如く』だからできること、ですね。

●これ以上ないキャスト陣について
――ちなみに、いま(編集部注:本取材を行ったのは、2016年7月末)発表されている以外の、隠し球的な“芸能人キャスト”の方は出演するのでしょうか?

横山 主要“芸能人キャスト”という意味合いでは、現段階で発表されている方がすべてになります。ただ、それとは違う形で有名人が登場する予定はあります。

――なるほど。そこも楽しみにしておきます。まあ……いま発表されている方たちだけでも、ラインアップを見るとハンパじゃないですからね(笑)。

横山 でしょう? もう二度と集められないような布陣ですからね。というか、今後『龍6』を越えるキャストを揃えることは、ちょっと難しいんじゃないですかね。どうすればいいんだろう? レオナルド・ディカプリオでも呼んでくるとか、そういう話になりますよね(笑)。

――(笑)。でも、そうなっちゃいますよね(笑)。

横山 ちなみに、個人的にすごくうれしかったのは、巌見兵三役を演じている津嘉山正種さんをキャスティングできたこと。私は津嘉山正種さんの大ファンで、『龍が如く』シリーズに出演していただくことが悲願だったんです。あまりにもファン過ぎて、津嘉山正種さんのときは、ほかのスタッフに音声監督を代わってもらいました(笑)。

――ええっ!?

横山 というのも、私の人生に大きな影響を与えた映画『男たちの挽歌』のチョウ・ユンファの声を津嘉山正種さんが担当していたんです。だから、私にとっては、神に近い存在。冷静にディレクションできるか不安があったので、プロデューサー的ポジションで収録に立ち会わせてもらいました。

――なるほど。そんな経緯があったのですね。

横山 実際収録して、津嘉山正種さんの演技と技術はまさに神業でした。津嘉山さんの場合、いわゆるアフレコでの収録となったのですが、ゆっくり喋っているように聞こえるんですけれど、早いテンポで動いているフェイシャルアニメーションとバッチリ合うんです。エンジニアともども「どうして!?」みたいな(笑)。津嘉山さん以外にもビッグ・ロウ役の森田順平さんや菅井克己役の中尾隆聖さんなど、脇を固めるキャストの皆さんもものすごく上手な方たちばかり。そういう意味でも、今回のキャストはすさまじいです。

――確かにそうですね。キャストの面で言えば、宇佐美勇太役の藤原竜也さんと南雲剛役の宮迫博之さんは、芸能人キャストでは初めてとなる2度目の登場ですよね。

横山 今回はまったく別のキャラクターとしての出演なんですけどね。シリーズファンとしては、目新しさが少ないかもしれませんけれど(笑)。

――いやいや、おふたりとも上手ですから。

横山 そこなんです。ふたりとも、とにかく演技がうまい。そして、独自の世界観をもっています。宇佐美勇太に関しては、藤原竜也さんのイメージで脚本を書いてしまったので、お願いする際に藤原竜也さんしか考えられなくなってしまったというのがあります。南雲剛に関しても、キャラクター的に宮迫博之さんしかいなかったですね。しかも、どちらの役もストーリー的にものすごく重要なキャラクターでしたので、フレッシュなキャスティングを狙うよりも、最終的なクオリティーが確実にイメージできる役者さんにお願いしたかったということがあります。

――物語とキャラクター、そしてキャストのマッチングには、注目したいと思います。



●『龍6』では、神室町にどんな動きが起きているのか
――『龍6』での裏社会の動きについて、さわりの部分を教えていただけますか。

横山 ティザーPVの中に街が燃えているシーンがありますが、あの火事で亜細亜街が焼けてしまいます。そして、旧亜細亜街が新たに生まれ変わるとき、中国マフィアの連中が流れ込んでくるんですよ。その影響で、神室町に新しい秩序が生まれる。ただ、基本的に神室町を押さえているのは東城会ですし、彼らも街を押さえているつもりになっているので、中国マフィアとは衝突するわけですね。そこに、生き残っていたジングォン派という韓国マフィアが絡んでくる。『龍6』の裏社会の構造は、そんな形からスタートします。

――「東城会が神室町を押さえているつもりになっている」という部分が気になります。

横山 『龍6』の東城会は、牙を失っているんですよ。暴力団に対する法の締め付けが激しくなり、東城会は“身動きの取れない名門”になってしまっている。ところが、神室町の中国マフィアや韓国マフィアは、極道組織のようなしがらみが少ないので、臆することなく自由に動きます。だから、各地で食い合いが起こるし、東城会にもほころびがでてしまうんですよ。

――なるほど。

横山 そんななか、唯一気を吐いているのが小栗旬さん演じる染谷巧という男なんですね。彼は、東城会の中でただひとり、神室町の中国マフィアや韓国マフィアと戦える男。ある意味、彼によって東城会が支えられているような状態なんです。そんな状況下で、桐生が刑務所から出所してくる。これが『龍6』冒頭の裏社会事情ですね。

――桐生が刑務所に入っていたのは2年半ですから、決して長い時間ではありません。でも、その期間で神室町の状況はかなり変わったのですね。

横山 そう、たかが2年半です。でもそのあいだに、少しずつあちこちが変わり、それがすごく大きな違和感につながっていくんですよ。

――そして、その2年半のあいだに、遥も失踪をするわけですね。

横山 そうですね。

●さらに、いま聞けることはすべて聞く!
――7月26日に公開されたティザーPVを観ての質問がいくつかあって、それを立て続けにお伺いしたいと思います。まず、神室町なのですが、スケールが若干変わっていますか?

横山 今回、キャラクターと建物など街のすべてのものをリアルサイズに変更しています。それが影響して、少し大きく感じるのかもしれません。これまでは街に対してキャラクターの身長や幅などが大きすぎた部分がありましたので、椅子や看板、ドアのサイズ含め徹底的にリアルサイズ化し、さらに臨場感を高められるようにしています。

――映像には桐生が沖縄で営む養護施設アサガオが映し出されるシーンがありましたが、桐生がゲーム内の沖縄でアレコレするわけではない?

横山 ムービーパートが中心になりますが、『龍が如く3』で登場したアサガオや、そこにいる子どもたちは本作に出てきます。キャラクターチームには「本当に作るんですか!?」なんて驚かれましたけど。実際、作るのはタイヘンでしたし(笑)。ただ、成長した彼らの姿を見られるので、『龍が如く3』で遊んだことのある方にとっては、楽しみのひとつになると思います。

――キャラクターチームの方々のご苦労、お察しします(笑)。

横山 でも、そこを描かないわけにはいかないですから(笑)。じつは三雄が野球推薦で高校に進学する、しないの話があるのですが、そこにティザーPVでも少し描かれている「元アイドルだった遥が沖縄でいっしょに住んでいる」みたいな話が絡まってくるので、子どもたちのいまの姿や状況を描くことがすごく大事になってくるんです。

――三雄はそんな感じになっているんですね。

横山 『龍が如く3』では、アサガオの子どもたちが全員が砂浜で野球をやるシーンがあるんですよ。当時からスタッフ間でのおもしろ話として、「彼らが大きくなったらどんな大人になるのか」という話をよくしていたんです。ヤツは手癖が悪いから一度は警察のお世話になるはず、とか、彼女は足がすごく速いから高校駅伝で区間賞とるはず、みたいな(笑)。三雄のエピソードも、そういった話の中から生まれています。

――なるほど(笑)。今回も登場することが明らかになっている秋山駿や真島吾朗ら、シリーズの主要人物たちは、どのような状況で物語に加わっていくのでしょうか。

横山 神室町や東城会の変化と同様に、彼らにも少しずつ変化があって。桐生が出所したときの“彼らのいま”というところに、ひとつの謎があるんです。今回は桐生が単独主人公の作品ですから、桐生が刑務所にいた空白の時間は、プレイヤーである皆さんにも同じように空白として共有していただきたい。そんな意図もあって、現段階で彼らについて述べることはありません。

――なるほど。それでは、彼らの動向については、楽しみにしたいと思います。

横山 ひとつ言えるのは、それぞれに何かしらの出来事が起きているのは間違いありません。そもそも、彼らを繋いでいるのは桐生であって、彼らはべつに友だちではない。だから、起きた出来事に対して、かつてチームだったからどうこうという話はないんです。あくまでも、何か事件があって、そこに桐生がいないと繋がれない人たちなので。

――ちなみに、サイの花屋は登場しますか?

横山 残念ながら『龍6』では出てこないですね(笑)。

――では、『龍が如く 維新!』のときにあったような、プレイステーションVitaとの連動みたいなものはあるのでしょうか?

横山 これも予定していないです。ですが今回は前述の“大きな遊び”がありますので、ぜひともそちらを期待しておいてください。

――期待しています! では、最後に『龍6』に期待する皆さんに向けて、総括したコメントをいただけますか。

横山 久しぶりに桐生一馬単独主人公の作品にしたことで、人間ドラマとしては、極まった1本になっていると思います。桐生目線でのドラマとしては、シリーズ究極の出来なんじゃないかな、と。「ほかの主人公を採用しない」という決断も、そこに行き着くためのものです。東京ゲームショウ2016や週刊ファミ通などで、最新情報をどんどん出していきますので、今後の発表にもぜひご注目を。ソフトの発売までにはもう少しありますが、ぜひとも“桐生一馬伝説、最終章”の全容にご期待ください!

最終更新:9/7(水) 22:22

ファミ通.com