ここから本文です

【ヤクルト】山田、2年連続トリプルスリーを確実にした「ロケットスタート」の原点

スポーツ報知 9月7日(水)5時23分配信

◆DeNA6―1ヤクルト(6日・横浜)

 ヤクルト・山田がDeNA戦の初回に今季30個目の盗塁となる二盗を決め、史上初の2年連続トリプルスリーに当確ランプをともした。同一シーズンで打率3割、30本塁打、30盗塁をマークするトリプルスリーは山田も含めて過去10人が記録しているが、2度達成すれば史上初の快挙。山田は7月26日の阪神戦で30本塁打を突破。この日も34号ソロを放った。打率もシーズンの規定打席を既に満たし、3割2分5厘をマーク。達成はほぼ確実だ。

 確信を持って駆け出した。初回2死。山田は井納から左前安打で出塁すると、続くバレンティンの初球。誰にもマネできない、スペシャルなスタートを切った。警戒していたDeNAバッテリーもボールを大きく外して対抗したが、関係ない。今季、30盗塁目が決まった。

 「井納さんの体がホームの方に動いたと、直感ですけど感じました。最高のスタートが切れたと思う」

 9回には8月7日の阪神戦(神宮)以来の34号ソロ。打率は3割2分5厘に上昇した。昨季、史上9人目のトリプルスリーを達成。今季もこの日まで史上初の2年連続トリプルスリーに向けて実質、あと1盗塁に迫っていた。“王手”をかけてからは7試合足踏みが続いたが、ついに初の偉業に当確ランプをともした。

 “ロケットスタート”の原点は、小学校時代にある。当時を知る宝塚リトル・李相鎬(そうこう)監督(58)は「瞬発力はあの時から群を抜いていた」と振り返る。リトルリーグでは、リード禁止。投球がベースの上を通過した時に初めて離塁が許されるが、実際には捕手が捕球した瞬間にスタートを切るような形で、盗塁は簡単にできるものではない。

 だが、山田は違った。捕手が少しでも隙を見せれば二盗、三盗は当たり前。捕手がボールをはじいた時には、必ず次の塁を陥れた。背番号1は「反応が良いのは昔からですね。次の塁を狙う姿勢は、小学生の時から習慣付いているというか、それが自分の野球スタイルです」と胸を張った。

 進化の跡は、随所に見える。リードは自分の体調、グラウンドの状態、試合の流れ―。その時の条件によって幅を微調整する。「走らない時でも(リードで)相手に重圧をかける」と自らに課している。投手のクセを見抜く洞察力にも優れ、投球動作に入ってから捕手のミットにボールが届くまで、1・2秒以上かかる相手なら、捕手がどんなに強肩だろうと関係ない。

 試合後などに行う三木ヘッド兼内野守備走塁コーチとの反省会。昨季、一番多かったのがスライディングの話題だった。それでも、三木コーチは「哲人は(守備の時に)二塁で他の選手のスライディングを感じている。それを頭の中で整理して、自分に生かせる。気付く力が本当に素晴らしい」。アンテナを常に張り巡らせている男は、ライバルの技術を吸収し、ベースに突き刺さるようなスライディングを手に入れた。

 天性の才能とスピードに技術がかみ合い、驚異の成長を遂げた。盗塁成功率は93・8%。個人記録のためではなく、チームのためを思ってきた山田らしい数字だ。「もっとホッとすると思ったけど、まだシーズンはある。まだまだ走っていきたい」。若きスーパースターが、プロ野球の歴史を塗り替えた。(中村 晃大)

最終更新:9月20日(火)3時18分

スポーツ報知

スポーツナビ 野球情報