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【ライブレポート】谷山浩子、還暦コンサートはサプライズもありファンタジーと毒が混じりまくった盛りだくさんのライブ

BARKS 9/7(水) 16:59配信

8月29日、東京・品川プリンス内クラブexにて、谷山浩子コンサート“猫森集会 Unlimited~還暦Birthday Party~”が行われた。クラブexは、円形ホールの中央に円形ステージ、周りをぐるりと客席が取り囲み、2回のバルコニー席からも見下ろせるおしゃれな作り。二部構成の特別仕様、サプライズあり、盛りだくさんのライブの内容をレポートしよう。

「ようこそおいでくださいました。人生を振り返っても、誕生日に何かをやるのは初めてです。昭和のマンガの、お金持ちの子みたいな感じがします(笑)」

この日の第一部は“谷山浩子のオールナイトニッポンモバイル”公開録音。谷山浩子、プロデューサー・石井AQ、ラジオのディレクターと放送作家がステージに登場し、メールを読んだり、リレー小説を朗読したり、“マリアージュ~赤い糸”のコーナーを、観客全員参加で盛り上がったり。観客のほとんどが番組視聴者ゆえ、あうんの呼吸でさくさく進み録音は無事終了。15分の休憩後に第二部、お待ちかねのコンサートが始まる。

午後8時、これまで書いた膨大な楽曲の歌詞ファイルを抱え、谷山浩子再登場。「曲は決めていません。ファイルの中から引いて、出た曲を歌います」。そして、いきなり出たのは「鏡」。MCによると、アルバム『銀の記憶』に収録のこの曲、森山良子から“ドロドロした女の歌を”と依頼を受け書いたものの、“あまりに怖すぎてボツになった”という曲。そんなに怖い歌を、ずっと変わらぬキュートでファンシーな声で歌う、シュールな楽しさ。

続いて引き当てたのは、なつかしい「花を飾って(KAMAKURA)」。この曲が収録された『水の中のライオン』は、どこか異国情緒の漂う曲調が印象的な、浮遊感漂うアルバムだった。その次の「もみの木」は、さらになつかしい。79年の傑作『夢半球』のB面1曲目、さわやかな朝の訪れを告げる名曲。「本当は、もみの木じゃなくてひのきなんですよね」と暴露しつつ、さわやかに歌い上げる声が朝日のようにまぶしい。

「愛をもういちど」は、1979年公開、劇場版『未来少年コナン』の主題歌で、当時研ナオコが歌ったもの。谷山浩子バージョンは『しっぽのきもち』で聴ける。当時のアニソンらしく快活な曲調を、元気よく歌う声が若い。さらに「ほおずきランプともして」が出ると、思わず“どのアルバムだっけ?”。『空飛ぶ日曜日』と、観客席からすかさず声が飛ぶ。80年代半ば、音楽的にひとつのピークを迎えていた谷山浩子が、異空間に迷い込むような感覚の、何枚かのアルバムを作っていた頃の1枚。わらべうたのようなメロディと歌詞が、はるかな郷愁を呼び起こす、美しい曲。

続けて「窓あかり」。昨年、斉藤由貴のアルバムに楽曲提供したもので、谷山浩子としてのレコーディングはまだない。あたたかいムードのスロー・チューンを、ふんわりと伸びやかに歌う。実はこの前に1曲歌詞ファイルから引いたのだが、“…ダメだ、メロディが思い出せない”ということで即却下。何百曲もあれば、そんなこともあるのだろう。次に出たのは「恋人の種」。谷山浩子、作曲家として何度目かの開眼をとげた1990年の名作『冷たい水の中をきみと歩いていく』収録。深い思いを込めて、切々と歌い語るスロー・チューン。この曲も含め、今日は普段あまり歌わない曲が連続して出てくるらしく、「なんて渋いコンサートなんだろう」と苦笑い。これぞ、曲を決めないコンサートの醍醐味と言うべきか。

続いて飛び出したのは「時の少女」。橋本一子と組み、ジャズ、ニューウェーヴ、現代アートさえ感じるような音世界へと突入した、81年の名盤のタイトル曲。さらに「暗い終わり方でもいいですか?」と言いつつ、本編ラストは「漂流楽団」。現実と空想と時間の間をすり抜けてゆく、スケールの大きな2曲を歌いあげる、透明な歌声に念がこもる。気がつけば午後9時を回っていた。

アンコールは、いきなりサプライズ。バースデー・ケーキの登場だ。実はサプライズが苦手と事前にスタッフに伝えていたため、本人も了承済みの企画だったが、プレゼンターになった歴代ディレクターとマネージャー計4人の登場は知らなかったようで、本気でびっくり。裏の裏をかいた、スタッフの遊び心の勝ちと言うべきか。

「輪の中にいるのが苦手な性格ですが。でも今日は大丈夫。うれしいです」

最後にお礼の歌を歌いますと言って、選んだのは「猫の森には帰れない」。さらにこれでは終わらず、「1曲と言われたけどどうしてもあと1曲!」と、最後の最後に「恋するニワトリ」を。ステージを降りる谷山浩子に贈られるあたたかい拍手。いつ何どき、どんなコンサートでも感じられる、谷山浩子ファンのあたたかさは、この日も変わらずあたたかかった。

来年は、デビュー45周年。4月29日には、東京国際フォーラム ホールCで、“デビュー45周年大収穫祭”が行われることも発表された。曲ができるたび、アルバムが出るたびに、世界に名曲を増やしてゆく谷山浩子。来年春までの間にまた新しい曲が聴けることを願いつつ、それでは来年4月29日、45周年記念コンサートで必ずお会いしましょう。

取材・文●宮本英夫

セットリスト
<谷山浩子 猫森集会 Unlimited ~還暦Birthday Party~>
8月29日(月) クラブeX (品川プリンスホテル内)
1.鏡
2.花を飾って(KAMAKURA)
3.もみの木
4.愛をもういちど
5.ほおずきランプともして
6.窓あかり
7.恋人の種
8.時の少女
9.漂流楽団
En1.ねこの森には帰れない
En2.恋するニワトリ

リリース情報
谷山浩子と栗コーダーカルテット
『ひろコーダー☆栗コーダー』
2016年9月14日発売
YCCW-10282 \2,700(本体価格) + 税
収録曲:
1.恋するニワトリ
2.不思議なアリス
3.ピヨの恩返し
4.そっくりハウス
5.猫のみた夢
6.意味なしアリス
7.月が誘う
8.しっぽのきもち(Instrumental)

ライブ・イベント情報
<谷山浩子・猫森集会2016 ~ Season 15 ~>
【公演日程】
<Aプログラム>
ゲスト:渡辺等 ~等くん船長と音楽の不思議を巡る旅~
・9/17(土)18:30開場 / 19:00開演
・9/19(月・祝)17:00開場 / 17:30開演

<Bプログラム>
ゲスト:分島花音 ~花音と浩子のへんてこカノン~
・9/18(日)17:00開場 / 17:30開演

<Cプログラム>
ゲスト:斎藤ネコ ~なんとかなるなるトリオのオールリクエストライブ~
・9/21(水)18:30開場 / 19:00開演
・9/22(木・祝)17:00開場 / 17:30開演

<Dプログラム>
ゲスト:新居昭乃 ~昭乃と浩子の秘密すぎる花園~
・9/24(土)17:00開場 / 17:30開演
・9/25(日)17:00開場 / 17:30開演

【出演】谷山浩子、石井AQ (Syn.他)
【会場】全労済ホール/スペース・ゼロ
    (東京都渋谷区代々木2-12-10 全労済会館B1)
【お問合せ】ネクストロード 03-5114-7444 (平日14:00~18:00)

<谷山浩子ソロライブツアー2016>
前売¥5,800(税込)  当日¥6,300(税込)※別途ドリンク代のかかる会場がございます。

10/01(土) 札幌 KRAPS HALL
10/02(日) 16:30/17:00 札幌 KRAPS HALL
10/15(土) 17:00/17:30 神戸酒心館
10/16(日) 16:30/17:00 広島 ゲバントホール
10/21(金) 18:30/19:00 名古屋市千種文化小劇場
10/22(土) 17:00/17:30 京都文化博物館 別館
10/29(土) 17:00/17:30 仙台 エル・パーク仙台 スタジオホール
10/30(日) 17:00/17:30 郡山 創空間 富や蔵
11/05(土) 17:00/17:30 福岡 ROOMS
11/06(日) 16:30/17:00 福岡 ROOMS
11/12(土) 17:00/17:30 鎌倉 歐林洞ギャラリーサロン
11/19(土) 17:00/17:30 長野市芸術館リサイタルホール
11/23(水・祝) 17:00/17:30 金沢21世紀美術館 シアター21
12/03(土) 17:00/17:30 高松 SUMUS cafe
12/04(日) 17:00/17:30 松山 MONK
12/16(金) 18:00/18:30 大阪 ザ・フェニックスホール

<谷山浩子コンサート2016>
12月10日(土) 17:00開場/17:30開演 江東区文化センターホール
お問合せ:ネクストロード 03-5114-7444(平日14:00~18:00)

<谷山浩子コンサート~デビュー45周年大収穫祭~>
2017年4月29日(土) 16:45開場/17:30開演 東京国際フォーラム ホールC
お問合せ:ネクストロード 03-5114-7444(平日14:00~18:00)

<ニューアルバム『ひろコーダー☆栗コーダー』発売記念リリースイベント>
10月10日(月・祝)21:00~ (東京)タワーレコード新宿店 7F特設ステージ
出演:谷山浩子と栗コーダーカルテット
内容: ミニライブ+特典会  ※ライブの観覧は無料です
特典会参加券配布対象店舗:タワーレコード新宿店 03-5360-7811

最終更新:9/7(水) 16:59

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